2025年5〜6月のトルコ旅行記です(料金は2026年4月調べのものを記載してます)。
世界遺産「イスタンブール歴史地区」を構成する「ソコルル・メフメト・パシャ・モスク」(Sokollu Mehmed Pasha Mosque)を訪問しました。全盛期の美しいイズニク製のタイルを観ることができます。タイルが好きな人にはブルーモスクよりもこちらの方がオススメです。自分はイスタンブールで観光したモスクの中で1番のお気に入りです。
この記事では、「ソコルル・メフメト・パシャ・モスク」の見どころを解説していきます(イスタンブール新市街にも同名のものがありますが、旧市街の方のモスクです)。
世界遺産「イスタンブール歴史地区」の全体の解説は以下より。

ソコルル・メフメト・パシャ・モスクとは?
「ソコルル・メフメト・パシャ・モスク」は、モスクの名前にもなっている大宰相ソコルル(ソコッル)・メフメト・パシャとその妻イスミハン・スルタン(11代セリム2世の娘)により建造されました。モスクはトルコ語でジャーミィ(Camii)なので、ソコルル・メフメト・パシャ・ジャーミィとも呼ばれます。
設計したのは著名な建築家ミマール・シナンです。1572年に完成しました。シナンは宮廷建築家としてセリム1世、スレイマン1世、セリム2世、ムラト3世と4人ものスルタンに仕えており(100歳近くまで生きた人なのでめちゃ長寿)、この時代のイスラム建築の設計にほぼ関わっています。
ソコルル・メフメト・パシャもスレイマン1世、セリム2世、ムラト3世に仕えた名大宰相として有名です。

ソコルル・メフメト・パシャはセルビア人で、幼い頃にデヴシルメ制度(オスマン帝国の徴兵制)により、軍隊イェニチェリに配属され、最終的に政治家になった人物です。
1579年に暗殺される(ムラト3世によるという説あり)までの約15年間、スルタンに次ぐ権力を持つ大宰相として帝国の政治運営を担いました。
彼関連で有名なものとしては、ボスニア・ヘルツェゴビナのヴィシェグラードにある世界遺産「ソコルル・メフメト・パシャ橋」があります。これもシナンの設計です。
ソコルル・メフメト・パシャ・モスクは、1985年に「イスタンブール歴史地区」を構成する世界遺産として登録されました。
場所・料金・営業時間
ソコルル・メフメト・パシャ・モスクの場所の地図となります。旧市街のスルタンアフメト地区にあります。スルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)から徒歩10分程度です。
入場チケット料金はモスクなので無料です(2026年4月時点)。営業時間は調べましたが不明です。他のモスクと同じように1日5回ある礼拝、金曜の集団礼拝の時間は入れないので注意が必要です。
- チケット料金:無料
- 営業時間:不明 ※礼拝時間中は入場禁止
全体図
ソコルル・メフメト・パシャ・モスクの全体図です。
まずこちらはモスクの断面図です。急斜面という建築的に難しい立地ですが、天才建築家ミマール・シナンは、階段を造り正面入口と中庭を2階建て構造にすることで見事にクリアしています。

こちらはモスクの平面図です。入口はいくつかありますが、正面入口から入るのが分かりやすいかなと思います。礼拝室は外から見ると四角形ですが、内部は六角形の平面プランで、その上に円形の主ドーム(⑥)が載っています。さらに主ドームを支える副ドーム(⑦)が4つあります。礼拝室は小さ目ですが、独立した柱が無いので(六角形の頂点にある柱が全て壁と一体化してる)、空間は結構広く、たくさんのムスリムを収容できるように造られています。

①中庭への階段
②中庭
③泉亭
④回廊
⑤マドラサ(学校)
⑥主ドーム:直径13m/天井の高さ23m
⑦副ドーム(半ドーム)×4
⑧ミフラーブ:メッカの方向を示す窪み
⑨ミンバル:説教壇
⑩ミナレット×1
主な見どころ
ソコルル・メフメト・パシャ・モスク(ジャーミィ)の主な見どころを順番に解説していきます。観光の所要時間は15〜20分程度かなと思います。
外観・中庭
大理石で造られています。基本オスマンのモスクは大理石が多いですね。小型のモスクなのでミナレットは1本のみです。

正面入口です。階段を上がっていくと少しずつモスクが見えてきます。視覚的にも面白いです。他のモスクにはない特徴です。
中庭です。目の前には大理石の泉亭があります。地元の子供達がサッカーをして遊んでいました。異国でのこういう風景は良きですね。回廊はガラス張りになっており中には入れずでした。向こう側にはドームの付いた部屋が回廊に沿っていくつも並んでおり、当時はマドラサ(学校)として使われていたとのことです。
礼拝室前のドーム付き柱廊と礼拝室入口です。入口上部にはイスラム建築の特徴であるムカルナス(鍾乳洞みたいな装飾)が見えます。オスマン中期以降のモスクは全部こんな感じのムカルナスなので、少し面白みに欠けます。
内部空間とドーム
礼拝室内部へ。入った瞬間に心を奪われました。大理石とミフラーブ周辺のイズニクタイルの色合いのバランスが素晴らしく、とても上品さを感じます。部屋の左右には2階建ての柱廊があります。観光客は誰もいなく、静寂の時間が流れていました。
主ドームです。六角形平面にペンデンティブ(ドームのコーナー部分の逆三角形部分)を使って円形ドームが載せられています。ペンデンティブにはフレスコ画が描かれてることが多いですが、ソコルル・メフメト・パシャ・モスクは珍しくタイル装飾です。

ペンデンティブに関しては以下の記事にてアヤソフィアを例に詳しく解説しています。

真下からドーム天井を見上げた図です。美しいです。ドームのあるモスクを訪問すると必ずやりたくなります。万華鏡のようです。

ペンデンティブを支える柱(六角形の頂点にある柱)は全て壁と一体化しています。柱が独立して立ってないので、空間を邪魔するものがありません。規模は小さいですが、できるだけ礼拝空間を広くしようとする意図が感じられます。シナンが設計した多くのモスクは基本的に空間の広さに重きが置かれてることが多いかなと思います。
全盛期イズニクタイル「トマト赤」
ソコルル・メフメト・パシャ・モスクの最大の見どころは、16世紀の全盛期のイズニクタイルが効果的に使われていることかなと思います。また、幾何学模様は少な目で、ほとんどが植物模様です。お花の模様など可愛らしさもありますが、全体的には上品にまとまっています。
こちらはミフラーブとミンバルです。タイルの多くはミフラーブ周辺に使われています。ミフラーブの上部には綺麗なステンドグラスもあります。
16世紀の全盛期イズニクタイルの大きな特徴は「トマト赤」と呼ばれる光沢のある鮮やかな赤色です。100年ほどで原料が枯渇して「トマト赤」タイルは生産されなくなったので、かなり貴重と言えます。ミンバルの頂上の三角や柱廊にも美しい赤色のタイルが使われています。

カーバ神殿の黒石
ソコルル・メフメト・パシャ・モスクには、聖地メッカのカーバ神殿の「黒石」の破片が何ヶ所か埋め込まれてます。本物なのでしょうか?知らないとほぼ気付けないし、まあ気付けなくても全然良い気もしますが、撮影したので紹介します。
カーバ神殿の黒石がある部分には赤◯してます。まずミフラーブの窪みのすぐ上に埋め込まれてます。

こちらはミンバルの入口のカリグラフィーのすぐ上に埋め込まれています。

3つ目は見つかるまで時間がかかりましたが何とか発見しました。礼拝室の入口の開口部のまぐさにあります(室内へ入って振り返ればすぐ分かる)。かなり小さいので見つけるのが大変でした。ちなみにスレイマニエ・モスクにあるスレイマン1世廟にも、同じようにカーバ神殿の黒石が埋め込まれてます。

まとめ
ソコルル・メフメト・パシャ・モスク(ジャーミィ)の観光の見どころなどまとめです。
- 16世紀の全盛期イズニクタイルを楽しめる
- タイルは植物模様が多く、可愛らしい
- ブルーモスクより青いと思う
- 隠れた名建築で観光の穴場
- 観光の所要時間は15〜20分程度
- カーバ神殿の黒石の破片が3ヶ所ほど埋め込まれてる















