トルコ

イスタンブール「イェニ・モスク(ニュー・モスク)」「エジプシャンバザール」見どころを写真で解説!

イェニ・モスク(ニュー・モスク) トルコ

2025年5〜6月のトルコ旅行記です(料金は2026年5月調べのものを記載してます)。

イスタンブール旧市街のエミノニュ地区にある「イェニ・モスク(Yeni Mosque)」を訪問しました。金角湾沿いに凛として建つ美しいモスクです。

この記事では「イェニ・モスク」の見どころや特徴、歴史などを写真付きで解説していきます。また、敷地内にある「エジプシャン・バザール」なども紹介します。

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イェニ・モスクの歴史

イェニ・モスクのイェニとはトルコ語で「新しい」という意味です。そのため英語ではニュー・モスク(New Mosque)と呼ばれます。モスクはトルコ語でジャーミィ(Camii)なのでイェニ・ジャーミィとも呼ばれます。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)の歴史を簡単に解説します。完成までに70年近くかかっており、違う時代を生きた2人の女性スルタンにより建造されたという少し変わった歴史を持ちます。

ヴァーリデ・スルタン・モスク

イェニ・モスク(ニュー・モスク)は、13代スルタンのメフメト3世の母サフィエ・スルタン(12代ムラト3世の妻)により、1597年から建造が始まりました。彼女はヴァーリデ・スルタン(母后)として宮廷にて権力を振いました。ヴァーリデ・スルタンとは現スルタンの母親に与えられた称号で、ムラト3世により創設されました。17世紀頃からのオスマン帝国では、君主であるスルタンの権威が徐々に衰退し始め、ヴァーリデ・スルタンや大宰相らが権力を握る時代が続きました。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
サフィエ・スルタン

当時モスクは「ヴァーリデ・スルタン・モスク」と呼ばれていました。モスクの建設はサフィエ・スルタンの宗教心からではなく、自身の威信を高めるためだったとも言われています。また、モスク以外にも敷地内にてエジプシャン・バザール(スパイス・バザール)の建造にも取り掛かりました。

モスクの設計者はミマール・シナンの弟子である建築家ダヴト・アガですが、建設途中で彼は亡くなり、さらに莫大な建設費用やサフィエの政治に対する反感などもあり、モスク建設計画は1603年に放棄されました。

ニュー・ヴァーリデ・スルタン・モスク

ヴァーリデ・スルタン・モスクは徐々に廃墟化し、1660年の火災で大きな被害を受けました。

19代スルタンのメフメト4世のヴァーリデ・スルタン(母后)であるトゥルハン・スルタン(18代イブラヒムの妻)は、宮廷建築家ムスタファ・アガの提案により、1660年からモスク建設を再スタートさせました。合わせてエジプシャン・バザール(スパイス・バザール)も完成に向けて取り掛かりました。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
トゥルハン・スルタン

トゥルハン・スルタンはメフメト4世の摂政を務めるなど、30年以上に渡りオスマン帝国の事実上の支配者として君臨しました。16世紀後半〜18世紀初頭の女性が政治的影響力を持った時代の中でも彼女は傑出した存在でした。

1665年にモスクは完成し、「ニュー・ヴァーリデ・スルタン・モスク」と名付けられましたが、現在ではニュー・モスク(イェニ・モスク)と呼ばれています。

行き方・料金・営業時間

イェニ・モスク(ニュー・モスク)はイスタンブール旧市街のエミノニュ地区にあります。ガラタ橋の近く、金角湾沿いに建っています。行き方は、トラムT1またはT5のEminönü(エミノニュ)駅、または路線バスのEminönü停留所から徒歩で数分程度です。旧市街中心からもアクセスしやすい場所にあります。近くに観光スポットであるリュステム・パシャ・モスクがあるので、合わせて観光するのが良いかなと思います。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)の入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年5月調べ)。

  • 入場チケット料金:無料
  • 営業時間:不明 ※礼拝時間中は入場禁止

モスクなので入場料は無料です。毎日礼拝(5回)があり、礼拝時間は入場できません。営業時間は不明ですが、日中であればお昼前後、17時前後を避ければ礼拝時間と被らないと思います。また、金曜は集団礼拝があるので昼以降からしか入れないと思われます。詳しい礼拝時間はこちらより。

あとモスクなので女性はスカーフで頭を覆う必要があります(スカーフは入口で貸し出しあり)。

全体図

イェニ・モスク(ニュー・モスク)の全体図は以下となります。規模は中規模くらいです。構造は主ドーム(④)と4つの副ドーム(⑤)から成っており、イスタンブール旧市街の中心にあるスルタンアフメト・モスクや、ファティ地区のシェフザーデ・モスクを参考に設計されたと言われています。天井の高さはシェフザーデ・モスクと大体同じくらいで、主ドームはひと回り小さいです。正面入口に赤矢印を記載してますが、側面からも入れます。また、右上はスルタンのラウンジとの接続部分で、その下を通ることができます。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
元画像はWikipediaより

①中庭
②泉亭
③回廊
④主ドーム:直径17.5m/天井の高さ36m

⑤副ドーム(半ドーム)×4
⑥隅のドーム×4
⑦ミフラーブ:メッカの方向を示す窪み
⑧ミンバル:説教壇
⑨ミナレット×2

主な見どころや特徴

イェニ・モスク(ニュー・モスク)の主な見どころや特徴を写真付きで解説していきます。観光の所要時間はモスクだけなら30分程度、敷地内のエジプシャン・バザールやトゥルハン廟なども観光するなら全部で1時間〜1時間30分くらいはかかるかなと思います。

外観・中庭

周りに障害となるものがないので、しっかり全体の写真を撮ることができます。まず正面です。様々な大きさのドームがあるのがよく分かります。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ミフラーブがあるキブラ壁側(裏側)と側面です。側面には柱廊があり、バットレス(控え壁)がそこに溶け込んでいます。ミマール・シナンの設計をちゃんと受け継いでますね(スレイマニエ・モスクの記事参照)。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ミナレット(⑨)は2本です。バルコニーが3つあります。ムカルナス装飾もしっかり見えます。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

正面入口から入ります。中庭(①)と泉亭(②)です。中庭では何かのイベントがあったのか分かりませんが、テントが設営されてました。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

こちらは回廊(③)です。回廊の天井には小ドームが並んでます。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

礼拝室への入口です。入口上部のムカルナスには金箔が施されてます。礼拝室入口側の回廊部分はびっしりタイル装飾です。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

フレスコ画とタイル張りの内観

礼拝室内部です。全体的な印象としては淡い色合いで、スルタンアフメト・モスクに似ているなと思いました。ドームやアーチに施されたフレスコ画のデザインがとても繊細です。深いグリーンと朱赤を基調とした全体的に落ち着いた色使いが美しいです。アンティークの絨毯みたいな高級感があります。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ドーム下天井です。ペンデンティブを使って主ドーム(④)が載せられています。ドームはシェフザーデ・モスクよりひと回り小さいくらいです。4つの副ドーム(⑤)で支えられており、副ドームはさらに小さい半ドームで支えられています。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ミフラーブ(⑦)とミンバル(⑧)があるキブラ壁側です。ステンドグラスが美しいです。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

主ドームを支える大きな柱です。柱の下部分はタイル張りで、上部分はフレスコ画です。タイルは白と青が基調となっています。全盛期イズニクタイルのような鮮やかな赤色などは使われていないです。すでに赤色の原料が枯渇している時代だったのかなと思われます。全盛期イズニクタイルで有名なリュステム・パシャ・モスク(イェニ・モスクの近くにある)とは大分印象が違います。ただ、イェニ・モスクはフレスコ画の色合いが淡く繊細なので、白と青を基調としたシンプルなタイルを使うことで見た目のバランスがとても良い感じになっていると思います。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

礼拝室の左右には側廊もあります。周壁はタイル装飾多めです。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

こちらはムアッズィン(礼拝を呼びかける人)が礼拝をする屋根付きのエリアです。ここで聖地メッカのカーバ神殿のタイルパネルを発見しました。オリジナルでしょうか。触れないように保護されています。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

周辺の施設(キュリエ内)

オスマン帝国のモスクは、その敷地内に霊廟、マドラサ(学校)、ハマム(浴場)、ダールッシァ(精神病院)、イマーレット(慈善給食所)、キャラバンサライ(隊商宿)、タブハーネ(宿舎)、バザールなどが複合的に配置されており、公共施設群「キュリエ」(Külliye)となっていることが多いです。イェニ・モスク(ニュー・モスク)もキュリエで構成されており、いくつか施設が残っています。順番に解説していきます。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ちなみにこちらはキュリエを上から見た写真です(フンキャル・カスルに展示されてた)。L字型のエジプシャンバザールがインパクトありますね。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

エジプシャン・バザール

スパイス・バザールとも呼ばれるL字型の市場です。エジプトから輸入された香辛料を取り扱う店が立ち並んでいたため、このような名前で呼ばれるようになりました。1597年モスクと同時に建設が開始され、1664年に完成しました。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

イスタンブールで有名なグランド・バザールは多くの観光客で賑わっていますが、エジプシャン・バザールは地元民も通う活気あるバザールです。個人的にはグランド・バザールよりもエジプシャン・バザールの方が好きな感じです(迷わないし)。ここでお土産を買うのも良いですね。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

様々なフレーバーティーやスパイスが売っています。見てるだけで楽しいです。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

こちらはちょうどL字部分にあるアザーン・パビリオンです。おそらくバザールの建造完成当初からあるものかと思います。バザールが開かれる前にここで礼拝を呼びかけ、職人達は祈祷をしたとのことです。説明パネルには日本語もあります。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

トゥルハン廟

イェニ・モスク(ニュー・モスク)を完成させたヴァーリデ・スルタンであるトゥルハン・スルタンの霊廟です。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

入口部分はタイルをはじめ細やかな装飾が施されています。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

トルコのモスクでたくさん見かけるキュンデカリ技法で作られた木製の扉です。トルコの伝統的な技法で、釘や接着剤を一切使わず、木片を幾何学的に組み合わせています。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

霊廟内部です。美しいですね。周壁はタイル張りです。トゥルハン・スルタン以外にも、息子であるメフメト4世(19代スルタン)、アフメト2世(21代スルタン)、ムスタファ2世(22代スルタン)、マフムト1世(24代スルタン)、オスマン3世(25代スルタン)、その家族らも埋葬されています。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

四角形平面の四隅にスキンチを使って円形へ近づけてドームが載せられています。窓も多くて光がたくさん入ってきます。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ステンドグラスも細やかな装飾で良きです。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

フュンキャル・カスル(ラウンジ)

フュンキャル・カスルはトルコ語です。スルタンの離宮という意味があり、ここではイェニ・モスク(ニュー・モスク)と繋がっているスルタンのプライベートラウンジとして機能していました。写真の右側の入口から入って進んでいくと奥に見えるラウンジまで辿り着けます。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ラウンジまでは長い上りの通路を歩きます。ここは展示館になっています。時期によって展示されるものは変わるようです。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

ラウンジの入口です。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

思ったより広いです。天井以外はタイル張りという賑やかな通路です。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)

トプカプ宮殿のハレムにあるようなタイル張りの部屋がいくつもあります。イェニ・モスクと同じく、時代的に全盛期イズニクタイルの鮮やかな赤色は使われてないですね。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

こちらは暖炉と美しいステンドグラスがある部屋です。

イェニ・モスク(ニュー・モスク)
イェニ・モスク(ニュー・モスク)

まとめ

イェニ・モスク(ニュー・モスク)の観光の見どころや特徴のまとめです。

  • 2人の女性スルタンが関わり、完成までに70年もかかったモスク
  • 礼拝室の繊細なフレスコ画と力強いタイル装飾のバランスが美しい
  • タイルはたくさん使われているが、全盛期イズニクタイルのような鮮やかさはない
  • 観光の所要時間はモスクだけなら30分程度、周辺の施設も観光するなら1時間〜1時間30分程度はかかると思う
  • L字型のエジプシャン・バザールが程よい規模でとても良い感じ
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