2025年5〜6月のトルコ旅行記です(料金は2026年5月調べのものを記載してます)。
世界遺産「イスタンブール歴史地区」を構成する「ゼイレック・モスク(Zeyrek Mosque/Zeyrek Camii)」を訪問しました。元々ビザンツ時代の修道院附属の教会で、オスマン時代にモスクに転用され、現在もモスクとして運営されています。現存するビザンツ建築の宗教建造物としてはアヤソフィアに次ぐ規模を持ちます。
この記事では、「ゼイレック・モスク」の見どころや特徴、歴史などを解説していきます。
世界遺産「イスタンブール歴史地区」の全体の解説は以下より。

ゼイレック・モスクとは?
ゼイレック・モスク(ゼイレク・モスク)は、12世紀のビザンツ帝国時代に建造されたギリシャ正教会の「パントクラトール修道院」が前身です。それぞれ別の時期に建造された修道院附属の2つの聖堂と1つの礼拝堂から構成される複合建築物です。アヤソフィアに次いで、イスタンブールに現存する最大のビザンツ宗教建築物です。モスクはトルコ語で「Camii」なのでゼイレック・ジャーミィ(ゼイレク・ジャーミィ)とも呼ばれます。
ゼイレック・モスクの歴史を簡単な解説していきます。
1118年〜1124年:ビザンツ皇帝ヨハネス2世の妃イレーネにより、コンスタンティノープル(現イスタンブール)にてパントクラトール修道院が建てられました(この夫妻はアヤソフィアのモザイク画にも登場)。現在残る南聖堂はこの時期に建設されたものです。
1134年:妻のイレーネ死後、ヨハネス2世は最初の教会(南聖堂)の北側に、別の教会(北聖堂)を建造しました。その後聖ミカエルへ捧げた礼拝堂により2つの教会は接続され、複合建築物となりました。
1204年〜1261年:第4回十字軍遠征により、コンスタンティノープルが占領され、ラテン帝国が成立すると、パントクラトール修道院はカトリック化しました(その後ビザンツ帝国が復興しギリシャ正教会に戻る)。
1453年〜:オスマン帝国によりコンスタンティノープルが陥落し、ビザンツ帝国は滅亡しました。1497年から1498年にかけて、パントクラトール修道院の教会はモスクに転用され、修道院内の他の施設はマドラサ(イスラムの学校)として利用されました。ゼイレック・モスクの名前は、マドラサで教えていた学者モッラ・ゼイレクに由来します。その後マドラサは放棄され、モスクに転用された教会のみ残りました。
1766年:地震により崩壊し、修復されました。
1985年に「イスタンブール歴史地区」を構成する世界遺産に登録されました。
21世紀初頭までにかなり老朽化し、一部崩壊したたため、ユネスコの危機遺産に登録された時期もありましたが、大規模な修復を経て現在モスクとして運営されています。
場所・料金・営業時間
ゼイレック・モスクの場所は以下となります。ファティ地区の高台にあります。最寄りのバス停は「Unkapanı」です。メトロやトラムではアクセスしにくい場所ですね。
自分はシェフザーデ・モスク観光後に歩いて向かったので、15分ほど歩きました。途中で世界遺産である「ウァレンス水道橋」も観れたのでよかったです。

モスクなので入場料金は無料となります(2026年4月調べ)。女性はスカーフで頭を覆う必要があります(スカーフは入口で貸し出しあり)。営業時間は24時間と書いてありましたが、観光客はおそらく朝から夕方頃のみ入場可能と思われます。他のモスクと同じように礼拝時間は入場できません。日中であればお昼前後、17時前後を避ければ礼拝時間と被らないと思います。金曜に関しては集団礼拝があるので、昼過ぎから入場可能になると思います(正確な時間は不明)。
- チケット料金:無料
- 営業時間:不明 ※礼拝の時間は入場禁止
全体図
ゼイレック・モスクの全体図です。構造が少し複雑ですが、3つの建物からなる複合建築物と考えると分かりやすいです。
こちらは外観の図面です。2つの聖堂、1つの礼拝堂から構成されます。ドームの数は全部で5つです。

内部の平面図です。入口(赤矢印)から入り、南聖堂→礼拝堂→北聖堂の順に見学する感じです。礼拝エリアはミフラーブのある南聖堂です。ドームは楕円です。生で見ると分かりますが結構歪な形をしています。

主な見どころや特徴
ゼイレック・モスクの主な見どころや特徴を解説していきます。観光の所要時間は30分程度かなと思います。
レンガと石による外観
外観はレンガと石積みで造られており、典型的な中期ビザンツ建築です。イスタンブールに現存するビザンツ時代の多くの建造物に見られます。現存するビザンツ建築で最大規模のアヤソフィアよりは大分は小さいですが、アヤソフィアを除けば、イスタンブールで最大のビザンツ時代の宗教建築です。
レンガの並びがリズミカルで見応えあります。

ミナレットはレンガ製で1本のみです。ムカルナス(鍾乳洞のようなイスラムの装飾)もレンガで構築されています。

周辺には石がゴロゴロと置いてあります。元々使われていた建築材の一部でしょうか。

南聖堂エリア
ミナレットがある側にまわると入口があります。


中へ入るとまず南聖堂のナルテクス(聖堂入口部分のロビー)があります。天井は剥き出しのレンガです。教会時代の十字架のレリーフも残っています。ナルテクスは外部と内部2つあり、平面図では内部にドームがありますが、中からはよく分かりませんでした。
南聖堂エリアです。修道院建造時に建てられた聖堂で、ゼイレック・モスクで最も古いエリアとなります。こちらは現在ムスリムの礼拝する空間となっています。全体的に漆喰で覆われており、その上から絵が描かれています。ドームは少しだけ楕円です。
こちらの柱はオスマン時代のもののようです。バロック様式の影響を受けてます。

ミフラーブ(聖地メッカの方向を示す窪み)がある周辺は色大理石で装飾されています。ミフラーブはメッカの方向を向いているため教会の中心軸とは一致せず、少しずれて取り付けられています。アヤソフィアなど教会からモスクに転用された建物は全てこのようになっていますね。

ミフラーブとミンバル(説教壇)はバロック調です。1766年の地震後の修復にて付け加えられたものです。ミンバルは大理石ですね。
入口を振り返ると2階にはスルタン礼拝用の小部屋が見えます。

床は赤い絨毯が敷かれています。その下にはオリジナルの大理石の床があり、一部見学できるらしいのですが、訪問時はそのことを知らなくて完全に見落としました(係の人に言わないと見学できないのかも)。
礼拝堂エリア
南北の聖堂の間にある礼拝堂エリアです。元々は南北の聖堂を繋げるために建てられました。ドームは2つあり、かなり楕円です。元々正円だったのでしょうか。分かりませんが、地震で歪んでしまったのかもです。
アプス(後陣)にはビザンツの教会時代のものと思われるレリーフも少し残っています。
ゼイレック・モスク内は南聖堂エリアに一部大理石は残っていますが、1766年の地震で大理石やモザイク画はほぼ壊れてしまったとのことです。その後の修復で壁や柱など多くの場所に色大理石に見せかけた絵が描かれましたが、かなり雑な描き方なのが気になります。これのせいで全体的にチープに見えてしまうのは勿体ないと思います。
北聖堂エリア
北聖堂エリアです。創建は1134年頃です。こちらも楕円ドームです。
北聖堂エリアの柱は石造りで漆喰が塗られていません。
礼拝堂と同じく、部分的にビザンツ時代と思われるレリーフが残っています。
色大理石の絵が剥がれた場所もあります。触れないように保護されているのでオリジナルの壁なんですかね。

2階
ゼイレック・モスクは2階に上がることもできます。2階から眺める景色もまた良いですね。ドームの模様なども近くで見れます。
南聖堂エリアの2階部分にあるスルタン礼拝用の小部屋です。

2階にもオリジナルと思われる遺構があります。

眺めの良いカフェ「Zeyrek Hane」
ゼイレック・モスクのすぐ隣には「Zeyrek Hane」というカフェがあります。緑もある素敵な雰囲気のカフェで、休憩するにはもってこいの場所です。
カフェから眺める街の景色もよいですね。少し向こうの丘に見えるのはスレイマニエ・モスクです。
チャイとケーキで小休止しました。ケーキは少し甘すぎでしたが、ノンシュガーのチャイとの組み合わせが良い感じでした。

まとめ
ゼイレック・モスクの観光の見どころ・特徴などのまとめです。
- 現在残る貴重な中期ビザンツ教会建築(現在はモスクとして運営)
- 地震で崩壊しているため、内部は教会時の面影は少ない
- 観光の所要時間は30〜40分程度
- ドームが楕円で歪なのがまた面白い
- モスクの目の前にあるカフェ「Zeyrek Hane」からの眺めが良い





























