2023年4月のベトナム旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
フエの世界遺産「フエの建造物群」を構成する資産の1つ「トゥドゥック帝廟」を訪問しました。トゥドゥック帝は阮朝(グエン朝)の4代皇帝です。静かで趣きのある美しい廟でした。見どころなど紹介していきます。
世界遺産「フエの建造物群」の全体の解説や阮朝(グエン朝)の歴史はこちらから。

ツアーを利用するのもアリ
フエの世界遺産はかなり広範囲なので、自力で移動するより、現地ツアーを使って主要なものを観光するのが良いと思います(トゥドゥック帝廟が組み込まれてるツアーは少ないかもですが)。
自分たちは、初日にフエ王宮とトゥドゥック帝廟を観光して、2日目はツアーを使って他の帝廟や寺院に行きました。フエ王宮の観光はかなり時間がかかるので、ツアーで行くと見る時間が少な過ぎて、じっくり見たい人は若干不完全燃焼かもしれません。
今回使ったツアーはベトナムお馴染みのツアー会社「シンツーリスト」です。バス移動費と英語ガイドとランチ付きの1日フルのツアーで30万ドン(1800円くらい)ほどでした。ただし入場料は含まないです。色んなフエ世界遺産ツアーがあるようです。
あと、お馴染みの「klook」でもフエの世界遺産のツアーが提供されてます。klookの会員登録の際に以下の紹介コードを入力していただくと、登録後すぐに500円もらえますので、是非活用ください!
紹介コード:LPPU3Y
トゥドゥック帝廟の場所・料金
世界遺産トゥドゥック帝廟はフエ王宮から南に6キロほど行ったところにあります。
かなり複雑な道を行くので、タクシーで行くのがよいかと思います。自分達は、フエ王宮からGrabタクシーを利用して向かいました。12万ドン(700円くらい)でした。ありがたいことに運転手の方は観光が終わるのを待っててくれて、帰りはホテルまで10万ドン(600円くらい)で乗せてくれました。
トゥドゥック帝廟の入場料は、15万ドン(900円弱)でした。フエ王宮も行く人はセット購入しましょう。少し安くなります。セット購入の場合、フエ王宮にプラスして「トゥドゥック帝廟」「カイディン帝廟」「ミンマン帝廟」のどれを組み合わせるかで値段が変わってきます。王宮+帝廟2つで42万ドン(2500円弱)、王宮+帝廟3つで53万ドン(3000円強)です。注意点としては、チケットは2日間有効ですが、各遺産への入場は1回限りです。2025年現在もこの料金のようです。

トゥドゥック帝はどんな人?
この廟で祀られているトゥドゥック帝は4代目皇帝で、在位は1847〜83年と歴代皇帝の中でも一番期間が長いです。

トゥドゥック帝は儒教を重要視し、キリスト教を禁止したことをきっかけにフランスの侵略を許してしまいました。南部がフランスに占領されたり、宗主国の「清」とフランスの戦争が始まったりと、激動の時代を生きた皇帝だなと想像できます。
トゥドゥック帝廟は、彼の存命中の1864〜1867年に完成しており、生前は離宮として使用されていました。トゥドゥック帝は、ここに身体を休めに訪れ、詩文を作ったり、蓮池で舟遊びを楽しみました。そのためか、この廟は風情のある別荘地のような雰囲気を持っています。
トゥドゥック帝廟の全体図
トゥドゥック帝廟はそこまで広くないため、観光にかかる所要時間は大体1時間程度ですが、じっくり見学したい場合は2〜3時間見ておくとよいかもしれません。
入口から入って、右側が蓮池(4番)、左側が建物群(8〜14番)という配置になっています。最奥には、皇后の陵墓(15番)と息子である7代皇帝キエンフック帝の陵墓(17番)があります。門は全部で1~3番ですが、1番のみが出入口となっていると思います。今回の訪問では蓮池(4番)とその左側の建築群エリア(8〜14番)を見学しました。

風情のある蓮池
世界遺産トゥドゥック帝廟の見どころを順番に紹介していきます。トゥドゥック帝廟の入口である「務謙門」(1番)です。入るとチケット売り場があります。

廟内に入ると、まず目に入ってくるのは広大な蓮池(4番)です。

池に面して、「愈謙榭」(5番)と「冲謙榭」(6番)という建物があります。
こちらは「愈謙榭」です。屋根のみの釣殿です。3段屋根が印象的です。トゥドゥック帝はここで蓮池を眺めながら、詩文を作成したのかもしれません。

向こうに見えるのは木造建築の「冲謙榭」です。蓮池を見ながら涼める場所です。池には鯉がたくさん泳いでいます。

「冲謙榭」では1日数回、宮廷伝統音楽の演奏があるとのことですが、訪れた時は演奏はやってませんでした。

トゥドゥック帝廟では、多くの建物に「謙」の字が入ってます。これはフランスの侵攻を許してしまったことを恥じて、用いられたとのことです。「謙」には、「へりくだる、譲る」という意味があります。
鳥の鳴き声がしていて、何となく懐かしいような風景ですね。穏やかな時間が流れてます。

池中には小さい島(7番)があります。トゥドゥック帝は舟遊びで島へ行ったりしてたのでしょうか。

ひっそり建つ建築物
トゥドゥック帝廟では、蓮池と対になるように複数の建築が並んでいます。
小さい門を通ると3つの建物がコの字に並んでいます。「至謙堂」(8番)です。

全体的に落ち着いた造りの建物ですね。



至謙堂の隣には、広い敷地(9番)があります。基壇のような石があるので、元々何か建っていたのでしょうか?

こちらは「謙宮門」(10番)です。立派な門です。

門を背に蓮池側を見るとこんな感じです。

門を潜ると、「和謙殿」(11番)があります。礼拝堂です。中にはトゥドゥック帝と皇后の位牌が祀られています。生前は長期滞在用の宮殿として機能していました。

先に進むと、「良謙殿」(12番)があります。本殿と建物の造りは似ていますね。隣にある質素な造りの建物は「鳴謙堂」と呼ばれ、ベトナムで2番目に古い劇場とのことです。現在では劇場としては機能していません。

皇帝の陵墓エリア
蓮池を右手にして少し歩くと、トゥドゥック帝の陵墓があるエリアへ行けます。
役人の像が並んでいます。陵墓の番人のようです。

馬もいました。

その先には、トゥドゥック帝廟でおそらく一番見応えがある建築の「碑亭」(13番)があります。

装飾も鮮やかです。


中に大きな碑石があります。これにはトゥドゥック帝の功績が5000文字くらいで書かれています。他の帝廟の碑文と違い、トゥドゥック帝自らが書きました。内容はフランスに支配されてしまったことや国への憂いなどとのことです。

柱に描かれてる龍と雲の絵が見事です。

碑亭の向こうには小さな池があり、遠くに門が見えます。

門を潜って進むと、トゥドゥック帝の石棺(14番)がありました。実際のところ、遺体は秘密裏に埋葬されたため、ここにはありません。他の帝廟も同じですが、現在でも遺体の場所は分からないとのことです。遺体が埋葬されている帝廟は、カイディン帝廟のみです。

まとめ
トゥドゥック帝廟のまとめです。
- 道が複雑なのでタクシーかツアーで行くのがよい
- 風情ある緑豊かな廟
- 街の喧騒から離れた静かな空間
- 碑亭が見応えある