2025年5〜6月のトルコ旅行記です(料金は2026年4月調べのものを記載してます)。
トルコの人気観光都市イスタンブールの旧市街は、「イスタンブール歴史地区」として世界遺産に登録されています。イスタンブールは長い歴史に渡り、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国といった大帝国の中心都市でした。各時代の歴史的建造物も数多く残っています。
この記事では、「イスタンブール歴史地区」はどのような世界遺産なのか、イスタンブールの歴史、構成資産の特徴や見どころ、料金なども踏まえて解説していきます。
世界遺産「イスタンブール歴史地区」とは?
イスタンブールの旧市街は、1985年に「イスタンブール歴史地区(地域)」として世界遺産に登録されました。
イスタンブールはトルコの大都市であり、ボスポラス海峡のヨーロッパ側に位置しています。ローマ帝国、ビザンツ帝国時代には首都「コンスタンティノープル」として、オスマン帝国時代には首都「イスタンブール」として発展してきました。
イスタンブールは長い歴史の中で、ヨーロッパとアジアの文化、キリスト教、イスラム教が混ざり合った独特な都市であり、世界遺産に登録された旧市街では数多くの見応えある各時代の歴史建造物を観光できます。歴史好きにはたまらない観光地だと思います。
イスタンブール歴史地区は以下の理由により世界遺産に登録されました。
- イスタンブールの歴史地区には、ビザンツ帝国時代とオスマン帝国時代の傑作と認められている建造物が含まれている(登録基準1)。
- イスタンブールの建造物は、ヨーロッパと近東の両方において、建築、記念碑芸術、空間構成の発展に多大な影響を与えてきた(登録基準2)。
- イスタンブールは、数多くの質の高い建築物を通して、ビザンツ帝国とオスマン帝国の文明を他に類を見ない形で証言している(登録基準3)。
- イスタンブールは、人類史の非常に重要な局面を示す傑出した記念碑、建築物、技術施設群の集合体である(登録基準4)。
| 登録名 | イスタンブール歴史地区(歴史地域) (Historic Areas of Istanbul) |
| 国 | トルコ |
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 登録基準 | (1)、(2)、(3)、(4) |
| 登録年 | 1985年 |
世界遺産「イスタンブール歴史地区」は以下の地図の4つのエリアで構成されます。
「スルタンアフメト地区」:アヤソフィアやブルーモスク、トプカプ宮殿など、イスタンブールを代表する建造物が集中する。
「スレイマニエ・モスク地区」:オスマン帝国全盛期のスレイマン1世のモスクがある。
「ゼイレク・モスク地区」:アヤソフィアに次ぐビザンツ時代の建造物ゼイレク・モスクがある。
「大城壁地区」:1000年近く街を守ってきたテオドシウスの城壁がある。
特にスルタンアフメト地区は、イスタンブールを観光するなら必ず訪問すべきおすすめスポットです。

イスタンブールの歴史
イスタンブールの歴史を簡単に解説します。
イスタンブールは元々、紀元前7世紀頃にギリシャ人の植民都市「ビザンティオン」として建設されました。
その後、アケメネス朝ペルシア、アレクサンドロス大王のマケドニア王国、共和政ローマ、ローマ帝国など多くの国の支配の元、自治を維持してきました。
330年ローマ皇帝コンスタンティヌス1世により、ローマ帝国の首都「コンスタンティノープル」となりました。

395年にローマ帝国が東西分裂した後は、コンスタンティノープルは「東ローマ帝国(ビザンツ帝国)」の首都となりました。
第4回十字軍により建国された「ラテン帝国」により一時的に支配された時期はありましたが(1204〜1261年)、コンスタンティノープルは1000年以上もの間外部からの侵入を防ぎ、発展していきました。
1453年にオスマン帝国のメフメト2世によりコンスタンティノープルは陥落し、ビザンツ帝国は滅亡しました。コンスタンティノープルはオスマン帝国支配の元、新たな首都「イスタンブール」と改称され、トプカプ宮殿やスレイマニエ・モスク、スルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)など多くのイスラム建築が造られました。

現在のイスタンブールは、ヨーロッパとアジアに跨るトルコ共和国最大の都市であり(首都はアンカラ)、多くの歴史建造物や美しい街並みで世界中の人を魅了し続けています。
1985年に「イスタンブール歴史地区」として世界遺産に登録されました。
スルタンアフメト地区の主な構成資産
世界遺産「イスタンブール歴史地区」の観光メインスポット「スルタンアフメト地区」(遺跡公園地区)にある主な構成資産を地図で紹介します。世界遺産に登録されている4つの地区の中で最も歴史建造物が多いです。
①スルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)
②ヒッポドローム
③アヤソフィア(ハギア・ソフィア)
④地下宮殿
⑤トプカプ宮殿
⑥ソコルル・メフメト・パシャ・モスク
⑦キュチュク・アヤ・ソフィア
スルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)
世界で最も美しいモスクと評される「スルタンアフメト・モスク」です。内部は2万枚以上の青のイズニクタイルで装飾されており、別名「ブルーモスク」と呼ばれています。
オスマン帝国14代目スルタンのアフメト1世により、1609年から1616年にかけて、かつてビザンツ王宮があった場所に建造されました。設計者はメフメト・アーです。設計ミスで6本もミナレットを建ててしまい、当時は批判されたとのことです。
人気のスポットであり、常に観光客で溢れてます。「象の足」と呼ばれる巨大な柱に支えられた大空間は息を呑むような美しさです。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。
- チケット料金:無料
- 営業時間:8:30~日没1時間前くらいまで ※1日5回の礼拝時間中は入場禁止、金曜は集団礼拝なので昼過ぎまで入場禁止
ヒッポドローム
ローマ帝国、ビザンツ帝国時代の競馬場「ヒッポドローム」の跡地です。ギリシャ語でピッポは「馬」、ドロームは「道」の意味です。トルコ語では「アト・メイダヌ」(馬の広場)と呼ばれています。
3世紀にローマ皇帝セプティミス・セウェルスにより建設され、4世紀にコンスタンティヌス1世が修復しました。当時は10万人を収容できる大娯楽施設でしたが、15世紀以降のオスマン支配時代には公園になり、現在では当時の遺構は僅かに残るのみです。また、広場には390年にローマ皇帝テオドシウス1世がエジプトから運んだオベリスク(紀元前1490年のもの)が建てられており、とても状態が良く、一見の価値があります。
アヤソフィア(ハギア・ソフィア)
ビザンツ帝国を代表するギリシャ正教会の大聖堂「アヤソフィア」です。「ハギア・ソフィア」(ギリシャ語)とも呼ばれます。大ドームを擁し、ビザンツ建築の最高傑作と言われています。
360年創建で、537年にビザンツ皇帝ユスティニアヌス1世により現在の形に再建されました。1453年以降のオスマン時代にはモスクに転用され、キリスト教とイスラム教の要素が混在する建物となりました。
トルコ共和国成立以降、2020年7月までは博物館として運営されてきましたが、現在ではモスクに戻っています。礼拝する1階部分はムスリム以外入場禁止となっていますが、2階だけでも十分見応えあります。ビザンツ時代のモザイク画は必見です。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。詳細は公式サイトにて。
- チケット料金:34.9ユーロ
- 営業時間:4月~9月→9:00~19:30 / 10月~3月→8:00~19:30 ※金曜は礼拝のため午前中は入場禁止
地下宮殿
「地下宮殿」は、スルタンアフメト地区の地下に広がるローマ・ビザンツ帝国時代の貯水池です。336本の大理石円柱が使われ、貯水池の遺構の中でも最大規模のものです。
ローマ皇帝コンスタンティヌス1世〜ビザンツ皇帝ユスティニアヌス1世の時代(4〜6世紀)に整備されました。イスタンブールに今も残るヴァレンス水道橋から運ばれた水がここに貯められました。美的効果を求めてない場所なので、柱など統一感はなく、各地から運ばれた建築材料がその場凌ぎのように用いられています。メデューサ頭部のレリーフがある土台もその一部です。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。詳細は公式サイトにて。キャッシュでの支払い対応していないとのことです。
- チケット料金:9:00~18:30→1950TL / 19:30~22:00→3000TL(チケット売り場でのみの販売)
- 営業時間:9:00~22:00
トプカプ宮殿
オスマン帝国スルタンの居城「トプカプ宮殿」です。コンスタンティノープルを陥落させた7代目スルタンのメフメト2世により建造され、1478年頃に完成しました。植民都市ビザンティオン時代のアクロポリスがあったと言われる場所に建設されました。
歴代スルタンにより増改築され、19世紀中頃までスルタンの居住地として機能していました。
敷地内には「ハレム」と呼ばれるスルタンとその家族、女性たちが暮らした後宮があり、その豪華絢爛な内装はトプカプ宮殿の観光の目玉となっています。日本の江戸時代で言う「大奥」に当たるものです。また、トプカプ宮殿の外庭にある「アヤイレーネ」はビザンツ時代の教会で、オスマン帝国の支配下でもモスクに作り変えられなかった数少ない建造物です(倉庫として使われた)。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。詳細は公式サイトにて。
- チケット料金:2750TL(ハレム+アヤイレーネ込み) ※ミュージアムパス対象
- 営業時間:9:00~18:00
ソコルル・メフメト・パシャ・モスク
オスマン帝国全盛期のスルタンであるスレイマン1世の大宰相ソコルル・メフメト・パシャにより、1571年に建造された「ソコルル・メフメト・パシャ・モスク」です。設計者はオスマン建築史で最も著名な宮廷建築家ミマール・シナンです。
小さいモスクですが、内部には全盛期のイズニクタイルが効果的に使用されており、とても美しいです。個人的にかなりお気に入りのモスクです。観光客で溢れるスルタンアフメト地区でもあまり訪れる人が多くないので、ゆっくり観れます。おすすめスポットです。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。
- チケット料金:無料
- 営業時間:不明 ※1日5回の礼拝時間中は入場禁止、金曜は集団礼拝なので昼過ぎまで入場禁止
キュチュク・アヤソフィア
リトル・アヤソフィアとも呼ばれる「キュチュク・アヤソフィア」です。名前だけで特にアヤソフィアと似てる部分はあまり無いかなと思います。
6世紀にビザンツ皇帝ユスティニアヌス1世により建造されたギリシャ正教会の聖堂ですが、オスマン帝国支配下の15世紀にモスクに転用されました。
アヤソフィアやブルーモスクなどと違い、8角形(天井は16分割)のドームです。内部は装飾も控え目でシンプルですが、大理石の柱や柱頭の透かし彫りなど、ビザンツ時代の面影が残っています。こちらもソコルル・メフメト・パシャ・モスクと同様、観光客少な目なのでゆっくり観れます。おすすめスポットです。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。詳細は公式サイトにて。
- チケット料金:無料
- 営業時間:8:00~20:00 ※1日5回の礼拝時間中は入場禁止、金曜は集団礼拝なので昼過ぎまで入場禁止
スレイマニエ・モスク地区の主な構成資産
続いて「スレイマニエ・モスク地区」です。スレイマニエ・モスクと付属保護地区とも呼ばれます。丘の上にあるスレイマニエ・モスクを中心としたエリアです。地図で主な構成資産を紹介します。
①スレイマニエ・モスク
②シェフザーデ・モスク
③ヴァレンス水道橋
スレイマニエ・モスク
オスマン帝国全盛期のスルタンであるスレイマン1世により1550〜1557年にかけて建造された「スレイマニエ・モスク」です。オスマン建築の最高傑作の1つと言われています。設計者はミマール・シナンです。丘の上ににあり、イスタンブールの各地から見ることができます。
建築家ミマール・シナンはアヤソフィアの大ドーム(直径32m)を長年研究し、自分が設計する多くのモスクに壮大なドーム構造を取り入れることに成功しました。スレイマニエ・モスクはアヤソフィアに並ぶ大ドーム構造を採用したシナンの代表作です(ドーム直径は27.5mでアヤソフィアに一歩及ばず)。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。
- チケット料金:無料
- 営業時間:8:30~16:45 ※1日5回の礼拝時間中は入場禁止、金曜は集団礼拝なので昼過ぎまで入場禁止
シェフザーデ・モスク
スレイマン1世が21歳で死去した王子メフメトのために1543〜1548年にかけて建造した「シェフザーデ・モスク」です。シェフザーデは「王子」の意味です。建築家ミマール・シナンの最初の大作です。スレイマニエ・モスクより一回り小さいです。
タイルなどの派手な装飾はほぼ無く、漆喰の白を基調として、ドームやアーチなど部分的に色付けされています。敷地内にあるメフメト王子をはじめとした廟群では、各廟の内観がタイルやステンドグラスで美しい装飾が施されています。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。
- チケット料金:無料
- 営業時間:不明 ※1日5回の礼拝時間中は入場禁止、金曜は集団礼拝なので昼過ぎまで入場禁止
ヴァレンス水道橋
イスタンブール北西の水源から市内の貯水池へ中継する役割を果たしていた2段アーチの「ヴァレンス水道橋」です。全長551kmの最末端の一部(800m)が現在残っています。
4世紀にローマ皇帝ウァレンス時代に完成しました。その後ビザンツ帝国、オスマン帝国と長い時代に渡り、水道橋として機能しました。
現在では水道橋の下は車道になっており、毎日アーチの内側を自動車が通っています。
ゼイレク・モスク地区の主な構成資産
「ゼイレク・モスク地区」は「ゼイレク・モスクと付属保護地区」とも呼ばれます。このエリアの主な構成資産はゼイレク・モスクになります。
ゼイレク・モスクの場所は以下の地図です。
ゼイレク・モスク
「ゼイレク・モスク」は元々12世紀に建造されたパントクラトール修道院の付属教会でしたが、オスマン時代にモスクに転用されました。12世紀に建造された2つの聖堂と1つの礼拝堂の複合建築物であり、少し複雑な構造をしています。
18世紀の地震で被害を受けましたが、修復して現在に至ります。一部は現役のモスクとして使われています。アヤソフィアに次いで、イスタンブールに現存する最大のビザンツ建築物です。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。詳細は公式サイトにて。
- チケット料金:無料
- 営業時間:不明 ※1日5回の礼拝時間中は入場禁止、金曜は集団礼拝なので昼過ぎまで入場禁止
大城壁地区の主な構成資産
最後は「大城壁地区」です。こちらは名前の通り、全長約6kmに渡るテオドシウスの城壁があるエリアです。主な構成資産を地図で紹介します。
①テオドシウスの城壁
②カーリエ・モスク(カーリエ博物館)
③ミフリマー・スルタン・モスク
テオドシウスの城壁
1000年以上ビザンツ帝国の首都コンスタンティノープル(現イスタンブール)を守り抜いた二重の鉄壁「テオドシウスの城壁」です。世界史的に類を見ない物凄い頑丈な城壁です。
404年頃から着工され、413年ローマ皇帝テオドシウス2世により完成しました。城壁は二重ですが、さらに外堀があるので、実質三重の防御となっています。1453年にオスマン帝国のメフメト2世により、城壁が突破され、ビザンツ帝国は滅亡しました。
大城壁地区はあまり治安が良くないため、観光はできれば複数人で明るいうちに行くことをおすすめします。あと基本的には人通りがそれなりにある城壁の外側歩くと良いかと思います。
カーリエ・モスク(カーリエ博物館)
キリスト教のフレスコ画やモザイク画を堪能できる「カーリエ・モスク」です。
ローマ皇帝コンスタンティヌス1世とテオドシウス2世の時代(4〜5世紀)に建造されたコーラ修道院附属聖堂が前身となっています。何世紀にも渡り増改築され、オスマン時代の16世紀にモスクに転用されました。トルコ共和国成立後は博物館として運営されていましたが、アヤソフィアと同じく、2024年にモスクに戻りました。
小規模の建物ですが、ビザンティン芸術の傑作とされるフレスコ画やモザイク画のオンパレードを楽しめます。近年はスルタンアフメト地区のモザイク博物館が改修中で開いてないので、モザイク画を観たかったらカーリエ・モスクへ訪問することをおすすめします。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。詳細は公式サイトにて。
- チケット料金:20ユーロ
- 営業時間:9:00~18:00 ※金曜は集団礼拝のため休み
ミフリマー・スルタン・モスク
スレイマン1世の愛娘ミフリマー・スルタンが1562〜1565年にかけて建設した「ミフリマー・スルタン・モスク」です。設計者は宮廷建築家のミマール・シナンです。
オスマン建築のモスクは、大ドームの四辺または二辺に半ドームを取り入れ構造を強くすることが多いですが、ミフリマー・スルタン・モスクは大ドームのみの構造になっています。そのため窓を多く設置することができ、内部に自然光が十分入ってくるためとても明るいです。個人的にかなり好きなモスクです。喧騒から離れた静かな中庭もとても良かったです。城壁地区ならここは是非おすすめしたいです。
入場チケット料金と営業時間は以下となります(2026年4月調べ)。詳細は公式サイトにて。
- チケット料金:無料
- 営業時間:不明 ※1日5回の礼拝時間中は入場禁止、金曜は集団礼拝なので昼過ぎまで入場禁止























































