2023年4月のカンボジア旅行記です。
世界遺産「アンコール」観光です。構成資産の1つ「プノン・バケン寺院」へ。プノン・バケンは、夕日の観光名所として有名な山です。プノン・バケン寺院はそこに建っているピラミッド式寺院です。
世界遺産アンコールの全体の解説はこちら。アンコール朝の歴史と世界遺産を構成する各寺院を紹介しています。

プノン・バケン寺院とは?
| 創設年 | 9世紀末 |
| 創設者 | ヤショーヴァルマン1世 |
| 宗教 | ヒンドゥー教シヴァ派 |
| 形態 | 山岳式/ピラミッド式 |
| 建築材 | 砂岩/レンガ |
プノン・バケン寺院はプノン・バケン山の上に建つピラミッド式寺院です。標高67mのプノン・バケン山はプノン・ボック山、プノン・クロム山とともにアンコール三聖山と呼ばれています。
ヤショーヴァルマン1世(在位889〜910年)が、後世のアンコール・トムの地域を含んだ都ヤショーダラプラを建設し、その中心的寺院として9世紀末に造りました。アンコール朝初期の代表的なピラミッド寺院です。他のピラミッド寺院と同じく、インドの須弥山を表現しています。
6層のピラミッドで、高さは47mです。5層目までの各基壇にはそれぞれ12基の小祠堂が配置され、6層目には中央祠堂を含む5つの祠堂があります。ピラミッド周囲にはレンガ造りの祠堂が計44基配置されています。インドネシアの仏教寺院ボロブドゥールと類似していると言われています。何らか交流があったのかと思われます。
プノン・バケンからはアンコール地域を360度広く見渡すことができ、地上でアンコール・ワットを唯一見下ろせる場所です。
また夕日鑑賞の名所であり、夕方頃からプノン・バケンからの夕日を見るために沢山の人が訪れます。
以下ではクメール建築を楽しむためのポイントを紹介しています。ご覧ください。

場所・料金・営業時間
プノン・バケンの場所は以下となります。アンコール・ワットの北西1300m、アンコール・トムの南400mに位置します。
プノン・バケンは「アンコールパス」というチケットで入場できます。
詳細は以下の記事で紹介しています。

プノン・バケンの営業時間は5:00〜19:00です。夕日鑑賞のために19:00まで開いています。
プノン・バケン寺院の全体マップ
プノン・バケン寺院は、ラテライトの周壁内に6層の砂岩ピラミッド、44基のレンガ祠堂、砂岩の経蔵などがあります。遺跡の観光に必要な所要時間は1時間が目安です。

山頂までの道のり
夕日観光の時間に合わせて、15:00頃に訪れました。プノン・バケン山の入口です。シンハ像が護っています。

世界遺産のモニュメントです。

このような緩やかな道をひたすら登っていきます。頂上までは歩いて約30分ほどです。有料でゾウに乗って登ることもできるみたいですね。ここに限らずですが、アンコール地域は赤土なので、白い靴を履いていくと靴が赤土色になりますので、遺跡探索する場合はご注意ください。

中腹からの景色
途中右手に立派な遺跡が見えました。世界遺産アンコールを構成する寺院「バクセイ・チャムクロン」です。行く予定がなかったので、ここで見れてラッキーでした。

10世紀初頭にハルシャヴァルマン1世(在位910〜923年)により建造された、シヴァ神を祀ったヒンドゥー教寺院です。プノン・バケン寺院を建設したヤショーヴァルマン1世に捧げられた寺院でもあります。

4層のピラミッド式寺院です。4層のラテライトの基壇の上に大きなレンガ祠堂が1基あります。

少し歩くと、今度は遠くに「西バライ」(アンコール地域最大の貯水池)が見えるビューポイントがありました。


遠くに気球も見えました。今回の旅では乗っていませんが、気球でアンコールを上から見下ろすことができる「アンコールバルーン」というサービスです。普通の気球とは違い、周遊はせず、100m上空からアンコールを眺めることができます。

さらに進んでいきます。

プノン・バケン寺院に到着
プノン・バケン寺院に到着しました。ラテライトの周壁です。この中が寺院となります。

中に入り、まずは東方面へ。砂岩の経蔵です。ごつごつした造りです。経蔵の前には仏像もあります。これは後世置かれたものですね。

周囲を見渡すと、山のような砂岩がありました。崩壊したパーツが集められているようです。今後修復などで利用していくのかもですね。

崩壊して今は無き東門を出ると、何かが祀られているようです。

仏陀の足跡とのことです。アンコール朝が後に仏教も取り入れていたことが分かりますね(カンボジアは現在仏教国)。

東側から見るピラミッド寺院です。逆光のため暗いです。

ピラミッドの基壇は砂岩です。そして各基壇には砂岩の小祠堂が並んでいます。

小祠堂は各基壇に12基ずつ配置されています。

階段を上ります。シンハ像です。

基壇に配置されている小祠堂です。修復されているのか、かなり綺麗かと思います。

ピラミッド頂上へ
ピラミッド頂上へ到着しました。目の前にさらに基壇(6層目)があり、真ん中には中央祠堂が配置されています。

屋根は大分崩壊していますが、立派な祠堂だったことが分かります。



レリーフはかなり綺麗に残っていました。



上から見下ろした寺院境内です。ピラミッド周りにはレンガの祠堂が並んでいます。

シヴァ神の象徴であるリンガとヨニです。

すでに崩壊している祠堂の開口部から見る別の祠堂。額縁構図というやつです。

頂上からはアンコール地域を360度のパノラマで見渡すことができます。遠くにアンコール・ワットが見えます。プノン・バケンは地上で唯一アンコール・ワットを見下ろせる場所でもあります。カンボジアで若くして命を落とした戦場カメラマンの一ノ瀬泰造を描いた映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」では、プノン・バケン寺院からアンコール・ワットを見て思いを馳せるシーンが出てきますね。

夕日鑑賞
プノン・バケンは夕日観光の名所でもあります。夕日観光は遺跡の上に登るため、300人という人数制限があります。夕日を見たい人は少し早めに行って、場所を確保するとよいかと思います。時期によっては16:00頃に向かってもすでに定員になってしまうこともあるようです。
プノバ・バケン寺院でまったりしながら、西バライに沈んでいく夕日を鑑賞しました。残念ながら曇り空だったので綺麗には見れませんでした。


まとめ
世界遺産プノン・バケン寺院の観光のまとめです。
- 麓から歩いて30分ほどで着く(象に乗って行くサービスもあり)
- 夕日鑑賞するときは早めに行くべし(定員300名)
- ピラミッド頂上では360度のパノラマでアンコール地域を見渡せる
- 地上でアンコール・ワットを見下ろせる唯一の場所
- 中央祠堂のレリーフが美しい
- 観光に必要な所要時間は1時間が目安


