2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
世界遺産「ブハラ歴史地区」を構成する資産であるラビハウズ(Lyab-i Hauz)建築群の以下の3つの施設を訪問しました。
「クケルダシュ・マドラサ」(Kukeldash Madrasah)
「ナディール・ディヴァンベギ・マドラサ」(Nodir Devonbegi Madrasah)
「ナディール・ディヴァンベギ・ハーンカー」(Nodir Devonbegi Khanqah)
人工池のラビハウズをこれらの建造物がコの字で囲んでおり(綺麗なコの字ではないですが)、サマルカンドの世界遺産レギスタン広場を彷彿させます。これらの3施設を紹介していきます。
世界遺産「ブハラ歴史地区」の解説は以下より。

場所・料金
ラビハウズ建築群はブハラ旧市街の中心部にあります。池の周りにコの字を描くように世界遺産の歴史的建造物が建っています。
ラビハウズの北側の道を挟んだ所には①クケルダシュ・マドラサ、ラビハウズの東西にはそれぞれ②ナディール・ディヴァンベギ・マドラサと③ナディール・ディヴァンベギ・ハーンカーが建っています。3つの世界遺産は全て16~17世紀のブハラ=ハン国時代の建物です。
入場料金はクケルダシュ・マドラサは無料でした。
ナディール・ディヴァンベギ・マドラサはイベントがある時は入場料が必要みたいです。
ナディール・ディヴァンベギ・ハーンカーはプチ博物館にもなっていて、入場料20000スム(240円くらい)かかりました。2025年時点の料金は調べましたが不明です。値上がりしている可能性はあります。
ラビハウズ
ラビハウズは46m x36mの人工池です。ハウズは池のことで、ラビハウズは「池のそば」という意味になります。
ブハラ=ハン国の大臣ナディール・ディヴァンベギがここに大きな池を造りたいと思い、土地の持ち主のユダヤ人女性に売ってくれるように頼んだところきっぱりと断られました。そこでナディール・デイヴァンベギは、彼女の家の下に運河を通し、その結果運河の水が家を流し始めたので、彼女は仕方なく土地を手放さざるを得なかったのことです。それで1620年ラビハウズが造られたという伝説があります。まあ酷い話ですね(笑)。
現在のラビハウズは世界遺産の3つの歴史建造物以外にも、カフェやレストラン、お土産物屋さんもたくさん集まっており観光客で盛り上がってます。観光地ではありますが、周りにはたくさん樹木も茂っており、地元の人の憩いの場にもなっています。

夜はライトアップされ、昼と同じく賑やかです。

クケルダシュ・マドラサ
ラビハウズの北側に建つ世界遺産「クケルダシュ・マドラサ」です。建造は1569年ブハラ=ハン国の君主アブドゥッラー2世(シャフリサブスを破壊した人物)の時代です。高官であり慈善家でもあったクルババ・クケルタシュの命令により建てられ、彼の名前にちなんで名付けられました。ブハラ最大のマドラサであり、80×60メートルの広さを誇ります。

タイル装飾は部分的にあり、全体的にはレンガ造りのシンプルなマドラサです。

内部もレンガ造りの天井など所々見応えありました。またお店も入ってます。絵描きさんがいらっしゃいました。

中庭は広々とした空間です。タイル装飾はほぼ無く、漆喰とレンガで構成された建築でした。

マドラサにはいくつかお店が入っており、外側からアクセスできます。

こちらはブハラでも有名なスザニのお店です。世界遺産の史跡でお店を出してることがすでに素敵ですね。スザニは中央アジアで古くから作られている刺繍布で、デザインも可愛らしく、ウズベキスタンのお土産の定番でもあります。「スザニ」という言葉はペルシャ語で「縫う」という意味の「スザン」から来ています。滞在中に何度かお店に足を運びましたが、ウェルカムな感じのオーナーでした。彼女はスザニの先生でもあります。

写真のスザニは左がシャフリサブス、右がサマルカンドの刺繍と教えてもらいました。スザニは地域によってデザインも異なるため、スザニを巡る旅も楽しそうです。この店では色んなスザニを見ることができます。

実際に刺繍してるところも見せてくれました。布の下書きに沿って針と系を通していきます。鮮やかな職人の技に感動でした。これはホント見れてよかったです。

ナディール・ディヴァンベギ・マドラサ
ラビハウズの東にある世界遺産ナディール・ディヴァンベキ ・マドラサは、1622年にブハラ=ハン国大臣ナディール・ディヴァンベキにより建造されました。元々キャラバンサライ(隊商宿)でしたが、それを見た君主が「素晴らしいマドラサだ」と言ったので急遽マドラサに改造されたとのことです。君主絶対の時代です(笑)。

ナディール・ディヴァンベキ ・マドラサの最大の特徴は、ファサードの絵です。上部には太陽の真ん中に顔があり、2羽の鳳凰が爪で白い鹿?をつかんで太陽に向かって飛んでいる絵が描かれています。

イスラム教は偶像崇拝禁止の宗教なので、基本的に人物や動物の絵はタブーです。サマルカンドのレギスタン広場にあるシェル・ドル・マドラサにも人やライオンの絵が描かれてましたが、このマドラサにもしっかり描かれてます。何故タブーを犯したのか分かりませんが、人物の顔の絵は失礼ながら下手ウマ?で笑ってしまいました。すみません…。でも好きです。この絵のキーホルダーとかあったら欲しいです。

結婚式用の写真撮影をしてるカップルもいました。世界遺産を背景にしたらめちゃいい感じになりそうですね。

ナディール・ディヴァンベキ ・マドラサはイベントが開催されてることも多いらしく、イベント時に内部へ入るには料金が必要っぽいですね。イベントのショーが終わったタイミングで中に入りましたが(料金かからず)、人がごった返しててごちゃごちゃしてたのですぐ出てきちゃいました。

夜少しだけライトアップされたナディール・ディヴァンベキ ・マドラサです。これもまた良い感じです。

ナディール・ディヴァンベギ・ハーンカー
ラビハウズの西にあるのは世界遺産ナディール・ディヴァンベギ・ハーンカーです。ハーンカー(ハナカ)はイスラム神秘主義(スーフィー)の信者が集団で修行する場のことです。1620年にブハラ=ハン国大臣ナディール・ディヴァンベキにより建造されました。

側面から撮った写真です。ラビハウズ建築群の中で一番小さいですが、しっかり造られている感じがします。

内部は博物館になってました。ありがたいことに係の人が色々と説明してくれました。こちらは当時から残る天井絵とのことです。ミフラーブらしきものもあるので礼拝する空間だったかもです。

タイルはほぼ使われておらず、全面フレスコ画です。赤青黄などの色が使われておりとても鮮やかです。ムカルナスや三角形の幾何学パーツで構築されててっぺんには小ドームが造られています。絵はかなり細かく描かれており、修復されてるかもですが、残っていること自体素晴らしいですね。

ブハラ旧市街の模型もありました。

他にも剥がれかけのフレスコ画や陶器など色々と展示されてました。小さい博物館館ですが見応えあって楽しかったです。


