2024年4~5月のポルトガル旅行記です(料金は2025年10月調べのものを記載してます)。
リスボン近郊の世界遺産「シントラの文化的景観」を日帰りで訪れました。
この記事では、シントラの文化的景観はどんな世界遺産なのか、主な構成資産の見どころを踏まえて解説していきます(各施設の料金は2025年10月時点の情報を記載してます)。
世界遺産「シントラの文化的景観」とは?
「シントラの文化的景観」は1995年に世界遺産に登録されました。その緑豊かな景観はイギリスの詩人バイロンにより「エデンの園」と称賛されています。
シントラは首都リスボンに隣接する都市です。夏は涼しく冬は温暖な気候のため、14世紀頃からポルトガル王族の避暑地として利用され、宮殿や城跡などの文化財が今も残っています。宮殿はイスラム建築、マヌエル様式、ゴシック様式、ルネサンス様式などが混在しており大変見応えがあります。
また、シントラはこれらの文化財とシントラ山脈や田園風景などの豊かな自然が調和しており、「文化的景観」として評価されています。文化的景観とは世界遺産の概念で、人間が自然とともに生み出した景観を指します。ただ自然が美しいとかではなく、そこには人々の営みなど文化的な価値を含んでいます。文化的景観として評価される世界遺産の例としてはワイン畑や棚田、庭園などがあります。
シントラの文化的景観は以下の理由で世界遺産となりました。
- ゴシック、マヌエル、ムーア、ルネサンスといった様々な建築要素の活用や、在来種と外来種の樹木を融合させた公園の造成といった新たな感性が発揮され、19世紀のヨーロッパのロマン主義建築の中心地となったこと(登録基準2)
- 様々な文化を取り入れた景観は異国情緒があり、それらは意図的に設計・創造されていること(登録基準4)
- 有機的に進化した継続的な景観を形成しており、ヨーロッパ全土の景観建築の発展に影響を与えたこと(登録基準5)
登録名 | シントラの文化的景観 (Cultural Landscape of Sintra) |
国 | ポルトガル |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2)、(4)、(5) |
登録年 | 1995年 |
シントラの行き方
シントラは首都リスボンから西へ28kmほどの所に位置しています。CP(ポルトガル鉄道)のシントラ線で終点のシントラ駅まで向かいます。リスボン中心のRossio駅から行くとすると大体40分程度です。リスボンからの日帰りも十分可能です。
シントラ駅から巡回バス(434番と435番)が出ているので、これを使って各観光施設へアクセスするというのが一般的です。バスに関しては乗り放題チケットがお得です。

リスボンから日帰りの場合は、時間的に観光施設を2~3個くらい訪問できるかなと。シントラは観光名所がたくさんあるので、しっかり見学したい場合は宿泊することをおすすめします。ちなみに自分はリスボンから日帰りで行き、ペーナ宮殿、ムーア城跡、レガレイラ宮殿の3つを訪問しました。
主な構成資産
次に世界遺産「シントラの文化的景観」の主な構成資産の紹介です。料金や営業時間(2025年10月調べ)、簡単に見どころを紹介します。リスボアカードで10~15%ほどの割引がありますが、オンライン予約で15%割引になる施設もあるので、リスボアカードでのお得感はあまりないのかなと思います。
①ペーナ宮殿と公園(Park and National Palace of Pena)
②ムーア城跡(Moorish Castle)
③シントラ宮殿(National Palace of Sintra)
④レガレイラ宮殿(Quinta da Regaleira)
⑤ビエスター宮殿(Biester Palace)
⑥ヴィラ・サセッティ(Villa Sassetti)
⑦セテアイス宮殿(Seteais Palace)
⑧モンセラーテ宮殿と公園(Park and Palace of Monserrate)
①ペーナ宮殿と公園
ペーナ宮殿は世界遺産「シントラの文化的景観」の代表的な建物で、19世紀ロマン主義を象徴しています。1836年にポルトガル王マリア2世の夫フェルナンド2世(共同で国王)により夏の離宮として建造されました。ゴシック、マヌエル、ルネサンス、イスラムなど様々な建築様式が混在しており、奇抜でカラフル、統一感がない不思議な建物です。公園は緑豊かでかなり広いです。
- 入場料金:20ユーロ(宮殿と公園)/10ユーロ(公園のみ)
- 営業時間:9:30~18:30(宮殿)/9:00~19:00(公園) どちらも最終入場18:00
詳細は公式サイトにて(オンライン15%割引、日時指定での予約が必要)。時間帯ごとに入場制限があり、当日現地でチケットを購入する場合入場できない可能性もあるため、事前予約をおすすめします。
②ムーア城跡
ムーア城は8~9世紀頃にイスラム教徒により建設された城塞です。ムーア人とはイベリア半島のイスラム教徒のことを指します。レコンキスタにより陥落し、その後修復されるも、現在は廃墟となっています。ムーア城は高い丘の頂上に建っており、シントラの景色を眺めることができます。
- 入場料金:12ユーロ
- 営業時間:9:30~18:00(最終入場17:30)
詳細は公式サイトにて(オンライン15%割引、日にち指定での予約が必要)。
③シントラ宮殿
15世紀初頭から19世紀後半にかけてポルトガル王家が住み続けた宮殿です。何世紀にも渡り増改築され、様々な建築様式が混在しています。美しいアズレージョやレリーフなどで装飾がされた部屋がいくつもあり、まさに王家の宮殿といった感じです。

- 入場料金:13ユーロ
- 営業時間:9:30~18:30(最終入場18:00)
詳細は公式サイトにて(オンライン15%割引、日にち指定での予約が必要)。
④レガレイラ宮殿
レガレイラ宮殿は元々王族の別荘地でしたが、20世紀初頭にブラジルの富豪アントニオ・モンテイロが買い取り、イタリアの建築家ルイジ・マニーニが設計しました。様々な建築様式が混在しています。庭園も広大で、深さ60mの井戸や洞窟など冒険のような散策が楽しめます。
- 入場料金:15ユーロ
- 営業時間:10:00~19:30(最終入場17:30)
詳細は公式サイトにて(日にち指定での予約が必要)。
⑤ビエスター宮殿
19世紀末から20世紀初頭にかけて建造された個人の別荘です。美しい植物園に囲まれたネオゴシック様式の建造物です。

- 入場料金:14ユーロ
- 営業時間:4~9月10:00~20:00(最終入場19:00)/10~3月10:00~18:30(最終入場17:30)
詳細は公式サイトにて(日にち指定での予約が必要)。
⑥ヴィラ・サセッティ
ヴィクトル・カルロス・サセッティが、建築家ルイジ・マニーニの協力を得て19世紀末に建造した別荘です。ロマネスク様式を取り入れた可愛らしい建物です。建物を囲む緑豊かな庭園も美しいです。
- 入場料金:無料
- 営業時間:10:00~18:00
詳細は公式サイトにて。
⑦セテアイス宮殿
18世紀にオランダ領事ダニエル・ギルデメーストレによって建設された宮殿です。現在は高級ホテルとなっています。

詳細は公式サイトにて。
⑧モンセラーテ宮殿と公園
19世紀末にイギリスの大富豪フランシス・クックにより建造された宮殿です。ネオゴシックやイスラム、インドの要素が混在した建造物です。公園もとても広く、世界中から集められた植物が植えられています。
- 入場料金:12ユーロ
- 営業時間:宮殿9:30~18:00(最終入場17:30)/公園9:00~19:00(最終入場18:00)
詳細は公式サイトにて(オンライン15%割引、日にち指定での予約が必要)。