2022年6月のハンガリー旅行記です。
ハンガリー東部の街ミシュコルツを拠点にして、800年以上のワイン作りの歴史を持つトカイ地方へ行ってきました。トカイ地方は「トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観」として世界遺産に登録されています。
今回訪れたのは、世界遺産「トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観」の構成資産「トカイ・ワイン地区」の中心地「トカイ村」(Tokaj)です。ブドウ畑やワインセラーをはじめ、教会や邸宅などの歴史建造物も世界遺産に登録されています。せっかくなのでトカイワインの飲み比べもしました。
世界遺産「トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観」の全体の解説はこちらから。

世界遺産トカイ村へのアクセス
多くの場合はミシュコルツからの鉄道でのアクセスになるかと思います。ミシュコルツからの日帰り可能です。40分でほどで着きます。
自分らは午前中トカイから北東にある街シャーロシュパタク方面の「ゴンボシェギ ・セラー群」へ行っていたので、一旦シャーロシュパタク駅からセレンチェ(Szerencs)駅まで行き、そこからトカイ行きに乗り換えました。シャーロシュパタクからトカイまでのバスもありますが、時間的に鉄道を選択しました。
ゴンボシェギ ・セラー群の記事はこちら。

世界遺産トカイ村の散策
トカイ駅に到着。シンプルな駅ですね。人が全然いませんでした。かなり田舎にやって来た気分です。


駅はトカイ村の中心部から離れてるので、バスを使おうかと思いましたが、どこからバスが出てるかイマイチ分からず、歩きました。
静かな村です。良い感じです。

定番のやつ。

トカイ村のマップですね。

これ乗りたかったです。

ワインを販売しているお店がたくさんありますね。



村の景色も好きな感じです。

「食べるな」という居酒屋(笑)。

中心部に到着。

立派なカトリックの教会もあります。

トカイワインの種類
今回トカイ村の目的の1つはトカイワイン飲み比べです。飲まないで帰るわけにはいきません。
トカイ地方は、ボドログ川とティサ川という二つの川が合流しており、秋の昼夜の寒暖差によって濃い霧が発生します。その湿気によってブドウに貴腐菌がつきます。このような特別な地形と気候を利用することで、世界的に有名なトカイの貴腐ワインが作られます。
トカイの貴腐ワインは、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、フランスのボルドーのソーテルヌと並び、世界三大貴腐ワインの1つとされています。
トカイワインはたくさん種類があるのですが、調べたところ、おおまかには3つに大別されます。
トカイ・エッセンシア
貴腐ブドウのみで醸造されたワインです。生産数も少なく、かなり稀有なワインです。極甘口で、アルコール度数は3〜5%と低めです。普通に飲むと血糖値が瞬間的に上がるらしく、飲み方に注意が必要そうですね。貴腐ブドウ100%のワインは世界を見てもトカイワインのみらしいです。トカイワインの中でもかなり高値です。
トカイ・アスー
貴腐ブドウと貴腐化していないブドウを収穫し、それぞれの発酵後にブレンドしたワインです。トカイワインと言えば、このアスーのことを指していることが多いです。136リットルに対してプットニョシュ(約25キログラム)という単位で、貴腐ブドウが何杯使われているか表示されています。糖度が高いものほど凝縮された味わいになります。
トカイ・サモロドニ
貴腐ブドウとそうでないブドウとを選別せず房ごと収穫し、そのまま作ったワインでです。発酵を酵母が自ら活動を止めるまで任せておく、という伝統的な醸造法をとります。貴腐ブドウの割合によって、甘口にも辛口にもなります。
ワイン飲み比べ
教会のすぐ近くにある「Rákóczi Pince」(ラーコーツィ・セラー)で試飲するつもりだったのですが、なんと営業時間外。休日だったのかもです。

取り敢えず壁面の立派な世界遺産マークだけチェック。

他のお店を探し、少し歩いたところにある「Hímesudvar winery」へ。綺麗なお店でした。家族でずっと経営を続けているワイナリーとのことです。


お店の中も素敵ですね。お客さんはいなかったです。もう夕方ですしね。

残念ながらテイスティングの時間は終わっていたので、普通にメニューから3種類選んで、それぞれグラス半分でオーダーしました。なのでそれぞれ半分の値段にしてもらいました。どれだけ貴腐ブドウを使っているかで料金が全然違います。


3つ選びました。少しうる覚えですが、左が15番アスー、真ん中が12番サモロドニ、右は忘れてしまいました(笑)。

色で濃厚さの違いが分かりますね。どれも甘く美味しかったです。とても飲みやすいですし。サモロドニでも十分甘く味わい深いですが、アスーの甘さレベルはワンランク上。こんなに甘いワインは飲んだことなかったのでちょっとビックリです。香りも他の2品と全然違って、甘さが凝縮されてます。ワイン通ではありませんが、これがルイ14世を唸らせた王者のワインなのか、と感慨深かったです。
ワインを頂いた後は、お店の方が地下の貯蔵庫を案内してくれました。

10度くらいでしょうか?結構寒かったです。そしてかなり広い。ワインを熟成させるために、この温度を常に維持し続けているんですね。


夕方から訪れたのであまり時間はなかったですが、世界遺産トカイ村散策、試飲もできたので十分満足できました。ミッションクリアです。この後は鉄道で無事ミシュコルツへ帰還できました。