2023年4月のカンボジア旅行記です。
世界遺産「アンコール」観光です。アンコール朝最後のレンガ建築寺院「プレ・ループ」を訪れました。アンコール朝中期の立派なレンガ祠堂をたくさん見ることができます。また夕日観光の名所でもあります。
世界遺産アンコールの全体の解説はこちら。アンコール朝の歴史と世界遺産を構成する各寺院を紹介しています。

プレ・ループとは?
創設年 | 961年 |
創設者 | ラージェンドラヴァルマン2世 |
宗教 | ヒンドゥー教シヴァ派 |
形態 | 平地式/ピラミッド式 |
建築材 | レンガ |
プレ・ループは、東西127m、南北117mの敷地のピラミッド寺院です。2重の周壁の内側に3層のピラミッドが建っており、頂上には5基の祠堂があります。
プレ・ループのプレは「変化」、ループは「体」を意味しており、かつて境内で行われたと伝わる火葬の名に由来します。
アンコール朝の都は、928年に一時的に遠方のチョック・ガルギャーに遷都されますが、944年にラージェンドラヴァルマン2世(在位944〜968年)により元のヤショーダラプに再遷都されました。プレ・ループは再遷都後の961年頃、ラージェンドラヴァルマン2世によりヒンドゥー教シヴァ派の寺院として建造されました。同時期に建造された東メボンと伽藍配置が似ています。
プレ・ループの祠堂はほぼレンガ造りです。アンコール朝最後のレンガ造りの寺院とされています。これ以降、メインの建築材が砂岩である寺院が数多く建てられていきます。
プレ・ループの見どころは、アンコール遺跡では数少ないレンガ祠堂をたくさん見ることができることと、夕日観光の名所であることです。夕日観光で最も有名な遺跡はプノン・バケンですが、かなりの人が訪れますので、ゆっくり鑑賞したい場合はプレ・ループがよいかもしれませんね。
以下ではクメール建築を楽しむためのポイントを紹介しています。ご覧ください。

場所・料金・営業時間
プレ・ループは、アンコール・ワットから北東に9kmくらいの所に位置しています。東メボンの真南1.5km地点です。
プレ・ループは「アンコールパス」というチケットで入場できます。
チケット詳細とおすすめ観光ルートを以下の記事で紹介しています。

プレ・ループの営業時間は5:00〜19:00です。プノン・バケンと同じく夕日鑑賞の名所でもあるので、他の遺跡よりも遅くまで開いています。朝も早くから開いてるようです。
プレ・ループの全体マップ
2重のラテライト周壁内に、ラテライトを基壇とした3層のピラミッドがあります。寺院内にはレンガ建築の建物がたくさんあり、頂上には中央祠堂含む5基のレンガ祠堂が配置されています。観光の所要時間は1時間が目安です。

東塔門から内部へ
東側から入場します。世界遺産のモニュメントです。

ラテライトの周壁にある東塔門です。レンガは大分崩れていますね。開口部分は砂岩が使われています。


さらに進んでいきます。レンガ建築といえども、基本的に開口部分は砂岩ですね。

ラテライトの階段を少しあがり、次の門へ辿り着きました。入口は砂岩の開口部分のみ残っています。門の左右にはラテライトの周壁があります。

門の内部にはレンガ造りの部分が残っていました。開口部分の上部は迫り出し構造のレンガが積まれています。隙間ができることで、下への負荷が分散される効果があります。

3層のピラミッド
寺院の中心部です。
3層のラテライトのピラミッドの1層目にはレンガの小祠堂が並び、頂上にはレンガの大きな祠堂群が見えます。ピラミッド手前には中央に石槽、両脇にはレンガの経蔵があります。石槽は火葬に使われていました。火葬で出た灰で死者を描く儀式が行われていたとのことです。ちなみに写真は撮り忘れましたが、敷地内には灰を捨てる場所もあります。

経蔵もとても立派なレンガ造りです。レンガ建築特有のスリット状の窓が見えます。レンガを部分的に抜いて造られた窓ですね。

ピラミッドに登ります。基壇だけでなく階段もラテライトです。

登る途中で振り返りました。荘厳な伽藍で美しい景色です。ピラミッド寺院の醍醐味の1つですね。

頂上に到着しました。3層目です。さらに真ん中に砂岩の基壇があるので厳密には4層ピラミッドですかね。その上に中央祠堂が建っています。


中央祠堂の周りにある祠堂も立派ですね。ちなみに頂上の5基の祠堂は全て東側に入口がついてますが、東側以外は偽扉となっています。偽窓と同じように装飾の意味合いが強いかと思われます。


祠堂内に入ると、美しいレンガの天井を見ることができます。光も入ってきて神秘的な雰囲気が出ています。

ピラミッド頂上から境内を眺めます。レンガ建築の並ぶ様子が非常に見応えがありました。レンガは砂岩と違い1ブロックが小さいので、建物全体の印象が全く変わります。


レンガ祠堂の美しいレリーフ
祠堂の扉のまぐさには美しいレリーフが残っています。真ん中にカーラが彫られています。こちらは開口されてない砂岩製の偽扉です。偽の扉なので開きませんが、かなり凝った造りだと思います。

こちらは開口してる扉のまぐさのレリーフです。レンガ祠堂ですが、開口部分は砂岩で造られています。

分かりにくいですが、象に乗ったインドラ神とのことです。

デバターのレリーフもいくつかありました。他の遺跡に比べるとそこまで綺麗には残ってませんが、しっかり見応えがあります。ちなみにデバターのレリーフは砂岩に彫られることが多いですが、こちらはレンガの上に塗られた漆喰に施されています。


ブラフマー神の妻サラスヴァティーのレリーフもありました。4つの顔を持ちます。

夕日観光はプレ・ループではしませんでしたが、次回行くと時は是非鑑賞したいと思います。
まとめ
世界遺産プレ・ループ観光のまとめです。
- アンコール朝最後のレンガ建築寺院
- 見応えあるレンガ建築をたくさん見られる
- ピラミッド頂上からの眺めが素晴らしい
- プノン・バケンに次ぐ夕日観光の名所
- 観光の所要時間は1時間が目安