カンボジア

【世界遺産】「バンテアイ・スレイ」東洋のモナリザ 女神像に魅せられる

バンテアイ・スレイ カンボジア

2023年4月のカンボジア旅行記です。

世界遺産「アンコール」観光です。アンコール・ワットやシェムリアップから北東の地点にある「バンテアイ・スレイ」へ。赤砂岩で造られた寺院で、アンコールの遺跡の中でも群を抜いて美しいレリーフが揃っています。特に東洋のモナリザと呼ばれるデバター(女神像)は必見です。アンコール遺跡の中でも断トツでおすすめしたい寺院です。

世界遺産アンコールの全体の解説はこちら。アンコール朝の歴史と世界遺産を構成する各寺院を紹介しています。

【世界遺産】「アンコール」解説!エリア別に各遺跡を紹介!
人気観光地シェムリアップ近郊にあるクメール王国(アンコール朝)の寺院遺跡群を訪問しました(2023年4月)。今回のカンボジア観光のメインです。1週間滞在して色々な遺跡を巡りました。アンコール地域にある30個以上の寺院遺跡群が「アンコール」と...

バンテアイ・スレイとは?

創設年967年
創設者ラージェンドラヴァルマン2世
ジャヤヴァルマン5世
宗教ヒンドゥー教シヴァ派/ヴィシュヌ派
形態平地式/展開式
建築材砂岩

バンテアイ・スレイは「女の砦」という意味です。バンテアイが「砦」、スレイが「女性」です。

バンテアイ・スレイは、967年にラージェンドラヴァルマン2世(在位944〜968年)が建設を開始し、彼の息子である次の王ジャヤヴァルマン5世(在位969~1000年頃)が完成させたヒンドゥー教寺院です。

周囲が400mの小規模の寺院です。参道の先にラテライトと赤色砂岩の3重の周壁があり、中心部には赤色の砂岩で造られた祠堂群や経蔵があります。アンコール朝の寺院はバンテアイ・スレイ以降、砂岩がメインの建築材となりました。

赤色の砂岩はレリーフを施すのに非常に適した素材であり、最近描かれたのかと思ってしまうほど美しいレリーフをたくさん見ることができます。アンコールの遺跡の中でも群を抜いています。特に祠堂に描かれたデバター(女神像)は、その美しさから「東洋のモナリザ」と呼ばれています。

フランス人の作家アンドレ・マルローが祠堂のデバター(女神像)に魅せられ、1923年に国外に持ち出そうとして逮捕された事件がありました。彼はこの事件を元に「王道」という小説を書いたと言われています。「東洋のモナリザ」と呼ばれるデバター(女神像)の美しさを物語るエピソードですね。

以下ではクメール建築を楽しむためのポイントを紹介しています。ご覧ください。

クメール王国の遺跡(アンコール遺跡など)観光の見どころ6選
クメール王国の寺院遺跡では、サンボー・プレイ・クックなど7世紀頃のプレ・アンコール朝のものから、アンコール・ワットなど12~13世紀頃のアンコール朝のものまで数々の素晴らしい建築物やレリーフを見ることができます。時代が経つにつれ、寺院の形態...

場所・料金・営業時間

バンテアイ・スレイは、アンコール・ワットから北東へ30km、シェムリアップからは北東へ40kmの地点に位置しています。他のアンコール遺跡に比べて少し遠方にあります。自分はトゥクトゥクで連れて行ってもらいましたが(2023年4月時点でシェムリアップから往復35ドル)、道がかなり凸凹しているのでタクシーが無難かもしれません。トゥクトゥクに1時間くらい乗っていたので結構疲れました…。

バンテアイ・スレイは「アンコールパス」というチケットで入場できます。

チケット詳細とおすすめ観光ルートを以下の記事で紹介しています。

【2025年最新】アンコール遺跡の入場チケット「アンコールパス」&遺跡の観光ルート解説!
2023年4月のカンボジア旅行記です。世界遺産アンコールは「アンコールパス」というチケットで各遺跡に入場できます。料金など修正済です(2025年9月調べ)。この記事ではアンコールパスの種類、料金、購入方法、利用できる遺跡、おすすめ観光ルート...

バンテアイ・スレイの営業時間は7:30〜17:30です。

バンテアイ・スレイの全体マップ

バンテアイ・スレイは周囲が400mという小さい寺院です。参道の先の3重の周壁内に、赤色の砂岩でできた祠堂や経蔵があります。観光の所要時間は1時間が目安です。

参道のマップ

エントランスは南側ですが、そこから東門まで歩いてから寺院内へ入場となります。東門を潜ると、リンガの参道が続いています。

バンテアイ・スレイ全体図

中心部のマップ■

ラテライトや赤色砂岩でできた3重の周壁内に建物があります。現在中心部は立ち入り禁止となっており、第三周壁の外側から建造物やレリーフを見ることができます。

バンテアイ・スレイ全体図

リンガの並ぶ参道

南側のエントランスから入ります。世界遺産のモニュメントです。

バンテアイ・スレイ

少し歩いて正門である東門へ到着しました。ラテライトと赤色砂岩で造られた立派な門ですね。

バンテアイ・スレイ

破風のレリーフもとても美しいです。カーラの上に3つの頭を持つ象アイラーヴァタ(エーラーワン)が描かれています。その上にインドラ神が乗っています。アイラーヴァタとインドラ神はセットで描かれることが多いです。破風の両端にはナーガが描かれてます。

バンテアイ・スレイ

東門の柱です。カーラとガルーダが交互に描かれています。

バンテアイ・スレイ

参道にはリンガが並んでいます。

バンテアイ・スレイ

参道からすでに見所がたくさんあります。参道から左に逸れた所の開口部分の破風です。建物は無くなっていました。カーラの上にいるのはナンディンに乗るシヴァ神です。一緒に乗っているのはおそらく妻のパールヴァティかと思います。破風の両端はカーラの口から出る神々でしょうか。

バンテアイ・スレイ
バンテアイ・スレイ

続いて参道から右に逸れた所の開口部破風です。こちらも建物は無くなってました。ヴィシュヌの化身であるナラシンハ(ライオンの頭を持つ獣人)が阿修羅を懲らしめている様子です。破風の両端のカーラの口から出ているのはガジャシンハ(象の頭とシンハの身体を持つ聖獣)でしょうか。

バンテアイ・スレイ

ナラシンハはとても怖い顔をしています。下にいるのが阿修羅です。表情が穏やかなので下の方が神かと思ってしまいますね。周りで祈りを捧げてる人々(神々?)のポーズがコミカルです(笑)。

バンテアイ・スレイ

破風のみもありました。こちらは「ラーマーヤナ」の1シーンです。複数の頭を持つ魔王ラーヴァナがシータ姫を誘拐する場面です。

バンテアイ・スレイ

参道の次は第一東塔門です。ラテライトの周壁は残っていますが、門自体はかなり崩壊していました。

バンテアイ・スレイ

美しい第二塔門

第一東塔門を抜けて、ラテライトで造られた道を少し進むと第二東塔門があります。

バンテアイ・スレイ

第二東塔門は美しい門として有名で、カンボジアの50リエル札に描かれています。

バンテアイ・スレイ

破風の先端が渦巻き模様になっているのが独特です。アンコールにある他の遺跡ではあまり見られません。

バンテアイ・スレイ

破風のレリーフも見応えあります。カーラの上にヴィシュヌ神が座っています。それにしてもカーラはホントたくさん出てきますね。

バンテアイ・スレイ

門を潜るとさらにレリーフがありました。これは本当に美しく、最近彫られたかのような印象でした。上部はヴィシュヌ神の妻ラクシュミーが象の聖水で清めている様子で、下部はガルーダに乗ったヴィシュヌ神です。

バンテアイ・スレイ

赤色の砂岩はレリーフに適しているとのことですが、保存状態の良さに感動します。修復している部分はあるとはいえ、1000年くらい前に建てられた寺院なので驚きですよね。 

バンテアイ・スレイ

第二東塔門内には2つ穴のリンガ台(ヨニ)がありました。リンガはありませんでした。大きなコンセント差し込み口に見えますね(笑)。プリア・カンには3つ穴のリンガ台がありましたが、これも他では見られないものですね。

バンテアイ・スレイ

中心部へ

ようやく中心部です。こちらは第三東塔門です。ここから中に行けないようになっていますが、第三周壁はほぼ壊れているので、少し遠目に見ることはできます。

バンテアイ・スレイ

第三東塔門の破風です。踊るシヴァ神です。

バンテアイ・スレイ

第三東門塔門の右手にある経蔵です。

バンテアイ・スレイ

破風の1番上は、3つの頭を持つ象アイラーヴァタ(エーラーワン)に乗るインドラ神です。下は人々や動物が集まっている様子ですかね。

バンテアイ・スレイ

第三東塔門の左にある経蔵です。

バンテアイ・スレイ

破風にはカイラス山で瞑想するシヴァ神と、彼に抱きついてる妻のパールヴァティです。下てわシヴァ神の瞑想を邪魔しようとしてる者は、10の頭と20の腕を持つ魔王ラーヴァナです。周りには怯える人々や動物達の様子が描かれています。

バンテアイ・スレイ

東洋のモナリザ(女神像)

バンテアイ・スレイの中央祠堂には小さな建物(回廊?)が付属されています。中央祠堂の左右(南北)にはそれぞれ祠堂が配置されています。

南側から中心を見た様子です。

バンテアイ・スレイ

こちらは北側から中心を見た様子です。燃えるような赤色の砂岩が美しいですね。

バンテアイ・スレイ

西側から祠堂群を見た様子です。3つの祠堂群は他の建物より高い基壇の上に配置されています。

バンテアイ・スレイ

祠堂群での最大の見どころは、「東洋のモナリザ」と呼ばれる美しいデバター(女神像)です。残念ながら現在は近くで見れなくなってしまっていますが、美しさは十分堪能できます。望遠レンズのカメラがあるときっともっと楽しいと思います。

バンテアイ・スレイ
バンテアイ・スレイ

東洋のモナリザを近くで見るとこんな感じです(写真はネットからお借りしました)。表情がとても柔らかいですね。まさに女神という感じがします。

バンテアイ・スレイ
バンテアイ・スレイ

第二西塔門(出口)の破風です。「ラーマーヤナ」の1シーンです。猿の兄弟の戦いです。サルの王スクリーヴァに加勢し弓を射るラーマ王子が右側にいます。まぐさのカーラ(上に乗っているのはヴィシュヌ神)のレリーフも彫りが深く美しいです。

バンテアイ・スレイ

まとめ

世界遺産バンテアイ・スレイ観光のまとめです。

  • シェムリアップから北東40kmに位置する
  • 道が凸凹してるのでタクシーがよいかも
  • 赤色の砂岩で造られており、燃えるような見た目が美しい
  • アンコール遺跡の中で群を抜いてレリーフが美しい
  • 東洋のモナリザと呼ばれるデバター(女神像)のレリーフは必見
  • 東洋のモナリザは近くで見れないので望遠カメラがあると楽しめる
  • 観光の所要時間は1時間が目安
タイトルとURLをコピーしました