2023年4月のカンボジア旅行記です。
世界遺産「アンコール」観光です。アンコール・ワット、バイヨンとともにアンコール三大遺跡と呼ばれる人気の寺院「タ・プローム」を訪れました。巨大な樹木に覆われた神秘的な寺院です。
世界遺産アンコールの全体の解説はこちら。アンコール朝の歴史と世界遺産を構成する各寺院を紹介しています。

タ・プロームとは?
創設年 | 12世紀末頃 |
創設者 | ジャヤヴァルマン7世 |
宗教 | 仏教→後にヒンドゥー教寺院に改修 |
形態 | 平地式/展開式 |
建築材 | 砂岩 |
タ・プロームは、クメール語で「梵天の古老」を意味します。アンコール遺跡観光の小回りルートで、アンコール・ワット、バイヨンと合わせて訪れる人も多く、人気の寺院遺跡です。
東西1000m、南北700mのラテライトの周壁に囲まれた広大な展開式寺院です。回廊が複数あり、かなり複雑な伽藍となっています。
12世紀末頃に都城アンコール・トムを建造したジャヤヴァルマン7世(在位1181~1218年頃)により、母に捧げる仏教寺院として造られました。
後のジャヤヴァルマン8世の時代にヒンドゥー教寺院に改められたため、仏教の彫刻の多くが削り取られています。
タ・プロームの最大の特徴は、樹齢300〜400年の巨大樹木(スポアン)が遺跡を侵食している様子が見られることです。遺跡も発見当時のままで残されています。他の遺跡でも巨木の侵食は見られますが、タ・プロームでは至る所でそれを見ることができます。非常に神秘的な雰囲気があり、人気の遺跡である理由の1つです。
しかし、スポアンは遺跡を破壊しているのか、それとも遺跡を支えているのかという意見があり、寺院の修復の方向性に議論があります。
タ・プロームは、アンジェリーナ・ジョリー主演の映画「トゥームレイダー」 の舞台ともなりました。
以下ではクメール建築を楽しむためのポイントを紹介しています。ご覧ください。

場所・料金・営業時間
タ・プロームは、アンコール・ワットから北東方向に約8kmの所に位置します。
タ・プロームは「アンコールパス」というチケットで入場できます。
チケット詳細とおすすめ観光ルートを以下の記事で紹介しています。

タ・プロームの営業時間は7:30〜17:30です。
タ・プロームの全体マップ
東西1000m、南北700mのラテライトの周壁の内側に、複数の回廊を持つ迷路のような構成になっています。ほぼ発見当時のままなのでかなり崩壊しており、崩れてくる危険性もあるため、見学するコースはおおまかに決められています。東塔門からも入れますが、多くの場合西塔門から入場します。観光に必要な所要時間は1時間が目安です。

画像の緑色の部分は遺跡に絡んでいるスポアンを示しています。
西塔門から内部へ
西塔門へ向かいました。世界遺産のモニュメントです。

西塔門には四面の観音菩薩の顔が彫られています。アンコール・トムの門やバイヨンの祠堂でもお馴染みですね。

入ってから振り返って見た西塔門です。彫りの深い観音菩薩の顔です。

しばらく進み西門へ。


ラテライトの壁が見えてきました。かなり大きいです。

さらに進みます。3つ目の門がありました。

門に向かって右側です。かなり崩壊しています。崩れた回廊の壁には仏像のシルエットが並んでいました。ここには本来仏像があったのですが、ジャヤヴァルマン8世の時代にヒンドゥー教寺院に改められ、削り取られました。

回廊の門からは寺院の中心へ入ることはできず、回廊に沿って北側に回る見学ルートとなっていました。北側の回廊もかなり崩れています。

タ・プロームはほぼ発見当時の状態で、崩れた砂岩がそこら中にあります。相変わらず回廊の壁には削り取られた仏像のシルエットがたくさん見られます。

前中殿
北側から回って寺院の東方面へやってきました。ついこの前まで修復工事をしていた前柱殿です。

入り口の破風のレリーフが美しいです。


中は神殿のようです。アンコール・ワットの第一回廊みたいな造りです。屋根は砂岩を少しずつずらして積まれた迫り出し構造ですね。

天井の石が落ちてきそうですね。

頭が削り取られている仏像と、その向こうの開口部の破風には美しいアプサラスのレリーフがありました。

かなり綺麗に残っています。アプサラスのレリーフはどの遺跡で見ても可愛らしいですね。

遺跡に絡む巨大なスポアン
タ・プローム見学のメインとなる、遺跡に絡むスポアンを紹介していきます。樹齢300~400年のスポアン達です。
東門に絡むスポアンです。鷲掴みされているように見えます。

東側から寺院の中心部へ入るとすぐ出会うのが、大蛇のようなスポアンです。本物の大蛇のように見えてきますね。自然の驚異です。

大蛇のようなスポアンの背面です。根の間に入って、一緒に撮影できる写真スポットになっています。

中央祠堂近くにある、血管のようなスポアンです。複数の木の根が張り巡らされています。

寺院の南西側の回廊には、タ・プロームで一番有名なスポアンがあります。回廊を押しつぶしているような光景です。

物凄く大きい根ですね。


回廊の外側から見るとこのようになっています。神秘的ですが、怖ろしさも感じました。

ラテライトの塔に食い込むスポアンです。ラテライトの繋ぎ目にしっかり食い込んで一体化しています。

美しいレリーフ群
タ・プロームの魅力はスポアンだけでなく、美しいレリーフもたくさんあることです。
多くが崩壊しているため、祠堂の近くまではあまり行けませんが、至る所でレリーフは確認できます。


特に中央祠堂あたりは美しいデバターのレリーフをたくさん見ることができます。




祠堂入口の破風のレリーフです。

恐竜?のようなレリーフもありました。これは不思議ですね。

まとめ
世界遺産タ・プローム観光のまとめです。
- 遺跡に絡む巨大な木を至る所で見ることができる
- 中央祠堂周りのデバターのレリーフが秀逸
- 崩壊しており迷路のようだが、見学ルートはざっくり決められている
- 人気の寺院で観光客多めなので、朝早いとゆっくり観ることができるかも
- 観光に必要な所要時間は1時間が目安