2023年4月のカンボジア旅行記です。
世界遺産「アンコール」観光です。都城アンコール・トム内にあるバイヨンと合わせて訪れる人も多い「バプーオン」に来ました。長い参道がある3層のピラミッド寺院です。
世界遺産アンコールの全体の解説はこちら。アンコール朝の歴史と世界遺産を構成する各寺院を紹介しています。

バプーオンとは?
創設年 | 1060年頃 |
創設者 | ウダヤーディティヤヴァルマン2世 |
宗教 | ヒンドゥー教(シヴァ派)→仏教 |
形態 | 平地式/ピラミッド式 |
建築材 | 砂岩 |
バプーオンは都城アンコール・トム内にある3層のピラミッドの寺院です。ピラミッドの基盤は東西120メートル、南北100メートルという広さです。ピラミッド寺院に到着するまで約200mの空中参道を歩くことになります。
バプーオンは「隠し子」という意味です。以下の伝説があります。その昔タイ王とカンボジア王は兄弟でした。タイ王は自分の子供をカンボジア王に預けたいと申し出て、カンボジア王もその申し出を受けました。しかしカンボジアの延臣たちは「これはタイ王の謀略、いずれタイに国を奪われてしまう」と反対し、タイの王子を殺してしまいました。怒ったタイ王はカンボジアに大軍を進攻させました。カンボジア王妃は自分の子供が報復として殺されるのを恐れ、この寺院に隠しました。それが「隠し子」のいわれとなりました。
バプーオンは、1060年頃ウダヤーディティヤヴァルマン2世(在位1050〜1066年)により、ヒンドゥー教シヴァ派の寺院として建設されました。現在アンコール・トム内にありますが、造られたのはアンコール・トムが建設されるよりも100年以上前です。
長い参道、中央祠堂を囲む複数の回廊があり、60年ほど後に造られるアンコール・ワットと構成が似ています。
15世紀頃に仏教寺院に改められ、大きな涅槃仏が造られ、その際中央祠堂が壊されたと言われています。
1954年からフランスにより定期的に修復工事が進められ、2011年に全ての工事が終わりました。
アンジェリーナ・ジョリー監督の映画「最初に父が殺された」のラストでは、クメール・ルージュの大量虐殺の中を生き残った主人公ら兄妹(ご本人達が登場)がバプーオンで祈りを捧げる感動的かつ壮大なシーンがあります。
クメール・ルージュ政権の悲惨な時代を、子供時代の主人公の目線から描いた切ない映画です。
また、以下はクメール建築を見るポイントの記事です。観光の参考にしてください。

場所・料金・営業時間
バプーオンはアンコール・トム内にあります。
バプーオンは「アンコールパス」というチケットで入場できます。
詳細は以下の記事で紹介しています。

バプーオンの営業時間は7:30〜17:30です。
アンコール・トムとバプーオン全体マップ
都城アンコール・トムの中心部のマップです。バプーオンはアンコール・トムの中心部にあり、バイヨンからすぐ近くにある遺跡です。

バプーオンの全体マップです。「空中参道」と呼ばれる長い参道を通ってピラミッドに行くことができます。観光に必要な所要時間は30~40分が目安です。

空中参道
参道の前にある世界遺産のモニュメントです。

東塔門から参道に入ります。

200mの長い参道です。真っ直ぐな道が続きます。暑いです。

参道を横から見た図です。複数の円柱で参道が支えられています。空中参道と呼ばれる所以でしょうか。

聖池(沐浴場)もありました。雨季になれば水量は増えると思われます。

ピラミッド寺院に近づいてきました。

階段を上り、まずは東門です。

砂岩のごつごつした門です。レリーフは控えめに施されています。

振り返るとこんな感じに参道が見えます。

3層ピラミッド寺院
東門をくぐると、目に前に3層ピラミッドの寺院が現れました。

2層目に屋根付きの回廊と、3層目に崩壊している回廊があります。頂上の中央祠堂(現在は壊れて無くなっている)の周りを回廊が囲んでいる構成は、この後に造られるアンコール・ワットの縮小版のようです。

上り口は南側からのみになります。

回廊の門にもデバターのレリーフが見えます。バプーオンはレリーフ自体はそこまで多くないですね。

西側から見るピラミッド寺院です。こちらは砂岩で塗り固められたような造りです。

砂岩で塗り固められてる原因は、2層目の回廊の左側を見ると分かります。知らないとスルーしてしまいそうですが、非常に大きい涅槃仏(約70m)を見ることができます。ピラミッドと一体化してます。凄いセンスで興味深いです。バプーオンは15世紀頃に仏教寺院に改められたので、その時に造られたものです。一説によればこの時に頂上の中央祠堂は壊されたとのことです。


ピラミッドの頂上へ
ピラミッド頂上には小さなピラミッドがあり、その上には中央祠堂の開口部分のみが残っていました。中央祠堂があった時は地上約50mにもなり、45mのバイヨンよりも大きかったとのことです。

頂上から見る空中参道方面です。色んな景色が見れるのがピラミッド寺院の良さの1つです。

北側の階段から降りることができます。遺跡の階段はバプーオンに関わらず、かなり急勾配なので落ちないように注意が必要です。

まとめ
世界遺産バプーオン観光のまとめです。
- 寺院構成がアンコール・ワットの縮小版のよう
- 柱で支えられた空中参道は他では見ない
- 巨大な涅槃仏は必見
- ピラミッド頂上からの景色が素晴らしい
- 観光に必要な所要時間は30~40分が目安