2024年4~5月のポルトガル旅行記です(料金は2025年10月調べのものを記載してます)。
リスボンから日帰りで世界遺産「シントラの文化的景観」へ。シントラの世界遺産で訪問したのは、ペーナ宮殿、ムーア城跡、レガレイラ宮殿です。早朝から向かい、まずはシントラの世界遺産の中でも断トツ人気のぺーナ宮殿へ。
この記事ではぺーナ宮殿の見どころや歴史、行き方や料金など解説していきます。
世界遺産「シントラの文化的景観」の全体の解説は以下から。

ペーナ宮殿の歴史
世界遺産ペーナ宮殿(Pena Palace)の簡単な歴史解説です。
現在ペーナ宮殿が建っている場所は、元々12世紀頃から小さな修道院があり、何世紀にも渡り修道士が生活をする場でしたが、1755年のリスボン大地震で廃墟となりました。
19世紀、ポルトガル王マリア2世の夫であるフェルディナンド2世は、シントラ山脈の景観と廃墟となった修道院に一目惚れしました。土地を買い取り、ドイツから建築家を呼び、廃墟となった修道院をポルトガル王家の夏の離宮に改築することに着手しました。ペーナ宮殿の歴史のはじまりです。
1854年に完成したペーナ宮殿はイスラム、マヌエル、ゴシックなど様々な建築様式が混在し、19世紀ロマン主義を代表する建築物となりました。カラフルで型にはまらない奇抜な外観が不思議な魅力を放っています。ちなみにロマン主義とは18世紀末から19世紀にかけてヨーロッパで起きた芸術運動で、形式にとらわれず、個人の感情や主観的な経験を表現することが重視されました。古典的な建築に捉われないペーナ宮殿はまさにロマン主義の象徴と言えます。
ポルトガル最後の王妃アメリアはペーナ宮殿をとても愛し、ほとんどの時間をここで過ごしました。
1910年の共和政革命でポルトガル共和国が成立し、ペーナ宮殿は国定記念物に指定され、博物館となりました。
1995年に「シントラの文化的景観」の構成資産として世界遺産に登録されました。
ペーナ宮殿の行き方
ペーナ宮殿への行き方ですが、シントラ駅前からScotturb社の巡回バス434番で行くことができます。始発は8:50で、10分置きに出ています。
巡回バスの路線図です。434番(橙)でペーナ宮殿に行くことができます。20分くらいで着きます。

自分はリスボン→シントラへの電車とシントラ観光のバスが乗り放題になるお得チケットを使いました。巡回バスの乗車料金は1回4.55~5ユーロと高めで、2~3回乗るなら乗り放題チケットを買った方がお得です。詳しい解説は以下から。

シントラ駅です。朝一で行ったので、無事始発の8:50のバスに乗れました。駅前から出るのでバスはすぐ分かります。


ペーナ宮殿の入場料金
エントランス前でバスは停車してくれます。朝一からかなり混雑していますね。

ペーナ宮殿の入場料金は以下となります(2025年10月調べ)。2024年4月時点の料金は17ユーロでしたが少し値上がりしています。
- 入場料金:20ユーロ(宮殿と公園)/10ユーロ(公園のみ)
- 営業時間:9:30~18:30(宮殿)/9:00~19:00(公園) どちらも最終入場18:00
詳細は公式サイトにて(オンライン15%割引あり)。リスボアカードがあっても10%割引にしかならないのでお得感は低いです。
ペーナ宮殿のチケットは宮殿内にある回廊や各ルームなどの博物館エリアに入るために必要で、宮殿のチケットがなくとも宮殿の敷地内には入れます(つまり公園の入場チケットがあれば敷地内に入れる)。
博物館エリアは時間帯ごとに入場できる人数が決まっており、当日現地でチケットを購入する場合入場できない可能性もあるため、事前予約をおすすめします。9:30から30分ごとに17:30まで枠があり、自分は10時入場の枠でオンライン予約していきました。午前の枠は人気がありすぐ埋まるので、早めの予約推奨です。また、予約した時間にしか入れないので、遅れないようにバスやエントランスから宮殿まで移動する時間を考える必要があります。
旅行・レジャー予約サイトのKLOOKにて、ペーナ宮殿の入場チケットやツアーなどもありますのでこちらもチェックしてみてください。→KLOOKで予約!
ようやく列が進み始めました。観光客に人気のスポットというのがよく分かります。

このミニバスでペーナ宮殿まで行けますが(有料、事前予約必須かも)、予約した10時まではまだ余裕があるので歩きます。登坂ですが、歩きでも割とすぐ着きます。


生い茂る木々の中からペーナ宮殿が現れました。なんか感動的です。それにしてもおもちゃみたいですね(笑)。

ペーナ宮殿と公園の全体マップ
今回ペーナ宮殿のみしか行ってないですが、敷地内は広大な公園となっています。公園もフェルディナンド2世によって造られ、あらゆる土地の植物が植えられています。ハイキングしたりして楽しむこともできます。公式サイトから地図をDLできます。

こちらはペーナ宮殿の全体マップです。公式サイトから地図をDLできます。自分が訪れたエリアに分かりやすく番号を記載しました。基本混雑しており足早に観光できないことも考えると、所要時間は大体2時間30分~3時間くらい見た方が良いと思います。自分の場合、最初のエントランスから宮殿まで歩いた時間を含めて全部で3時間くらいかかりました。
①エントランスの門 ②回廊や各ルーム
③トリトンの門 ④マヌエル様式の門
⑤教会 ⑥レストラン/カフェ/ショップ

赤い時計台が見える建物には、②修道院の回廊や王族が使っていた書斎や寝室など各部屋があります。ペーナ宮殿の観光のメインの見どころとなる有料ゾーンです(時間ごとに人数制限あり)。時計台のすぐ下は⑤教会です。

こちらは③ギリシャ神話に出てくる海神トリトンのレリーフがある門(右)と、④マヌエル様式の門(左)です。

こちらの建物内部には⑥レストラン/カフェ/ショップがあります。テラスもあり、そこからの眺めも良いです。

①エントランスの門
各施設を順番に紹介していきます。こちらはペーナ宮殿に入る時の最初の門です。イスラム建築でもよく見られる馬蹄型のアーチです。細かなアズレージョもあります。

第二の門は変わってます。まだ入ったばかりですが、早くもペーナ宮殿の奇抜さを感じます。

ダイヤモンド型と球体のレリーフが印象的です。蛇のレリーフもあります。リスボンにある博物館「くちばしの家」(Casa dos Bicos)との外観と似ています。

②回廊と各ルーム
エントランスの門を抜けて進みます。まずはメインの見どころである回廊や王族の部屋などを見学しました。それにしてもホント混雑しています。

こちらは1511年に建造された修道院の回廊です。2階建てです。リスボン大地震でも全壊はしなかったようですね。等間隔に建つ円錐の塔、その上にある渾天儀や十字架、階を隔てた部分の捻じれた縄のレリーフなど、マヌエル様式をしっかり取り入れています。

壁は幾何学模様や植物模様のアズレージョで覆われています。初期のアズレージョのようです。イスラムらしさが出ていて好きな感じです。

回廊から時計台もしっかり見えます。

王族が使用していた部屋はかなりたくさんありますが、そのうちの一部を紹介していきます。基本的に部屋は回廊の周りにあるので、回廊を歩きながら順番に各部屋を見学すると言った感じです。
こちらはダイニングルームです。元々修道院の食堂だった場所をフェルディナンド2世が改装しました。

天井のマヌエル様式のリブが個性的です。ジェロニモス修道院の回廊などのリブと似ています。

ポルトガル王カルロス1世(ブラガンサ朝、在位1889-1908年)の書斎です。元々修道院の参事会室だったとのこと。

カルロス1世の寝室です。シンプルで上品な雰囲気があります。

こちらはフェルディナンド2世の寝室です。ベッドがかなり豪華です。後にポルトガル王国最後の王妃アメリア(カルロス1世の妻)の寝室となりました。

こちらの天井装飾も見応えあります。

ティールームです。可愛いらしいカップとポットです。ここで親しいお客さんを迎えたとのことです。


大広間です。とても豪華絢爛です。王家の宮殿という感じがします。レセプションパーティなど開かれていたのでしょう。

途中でテラスに出ることができます。クイーンズテラスと呼ばれています。

ここは撮影スポットですね。ペーナ宮殿がいい感じに撮影できます。曇ってるのが残念でした。

③トリトンの門/④マヌエル様式の門
続いてトリトンの門です。ゴシック様式の尖塔アーチの上にトリトンの精巧な像が飾られています。トリトンはギリシャ神話に出てくる半人半魚の海神です。写真だと分かりにくいですが、生で見るとかなり大きくて迫力があります。

トリトンは貝殻の上に座って、凄い目つきでこちらを見ています(笑)。アーチ周辺はサンゴのようなレリーフで覆われており、水の中を表現しています。トリトンの頭から生えてる木は陸上を表現しています。

こちらはトリトンの門の左側にあるマヌエル様式の門です。馬蹄型アーチの左右には、マヌエル様式定番の捻じれた紐模様の柱があります。

壁一面のアズレージョも美しいです。

この捻じれた紐模様はポルトガルの歴史建造物でほんとたくさん見かけます。あと植物のレリーフが多いのもマヌエル様式の特徴の1つです。


⑤教会
トリトンの門もしくはマヌエル様式の門を潜ると教会があるエリアへ行けます。天気が良くなって青空が見えてきました。赤と黄の建物が映えます。

こちらから見る門の装飾も素晴らしいです。一面アズレージョで、マヌエル様式の細やかなレリーフが楽しめます。

ここからもシントラの広大な景色を眺めることができます。

時計台の下に教会への入口があります。かつての修道院の教会がリスボン大地震後に再建されました。

一面アズレージョの素晴らしい内観です。奥までは行けないようになっていたので体を乗り出しての撮影です。

フェルディナント2世により取り付けられたステンドグラスです。有名なステンドグラス工房で制作されかなり貴重なものとのこと。

主祭壇です。16世紀初頭のものです。こちらは地震での全壊は免れたとのことです。近くまでは行けませんでしたが、遠くからでも物凄い緻密な造りなのがよく分かります。

まとめ
世界遺産ペーナ宮殿の観光・見どころのまとめです。
- シントラ観光でも一番人気であり、宮殿内は時間ごとに入場制限あるので事前に予約すべき
- 特に午前が混むので、混雑を避けたいなら午後の訪問が良いかも
- 他に類を見ない奇抜でカラフルな見た目だが、色々な建築様式が混在しており不思議な魅力がある
- 宮殿のテラスからシントラの広大な景色を眺めることができる
- 有料ゾーンである回廊や王族の部屋は歴史的にも貴重で魅力的であり、宮殿内で最大の見どころ
- 観光の所要時間は2時間30分~3時間くらい