2022年6月のハンガリー旅行記です。
ブダペストの街の大通り「アンドラーシ通り」。ペスト地区のエルジェーベト広場から英雄広場のあるヴァーロシュリゲット(公園)までを繋いでる大通りですが、2002年に世界遺産ブダペストの構成資産として拡大登録されました。
通りにはネオルネサンスの建物が並び、ヨーロッパ大陸初の地下鉄も通っています。
世界遺産ブダペストとは?
登録名 | ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2)、(4) |
登録年 | 1987年(2002年範囲拡張) |
ハンガリーの首都で、ドナウ川が流れる街ブダペストは、「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」として世界文化遺産に登録されています。その美しい街並みは「ドナウの真珠」とも呼ばれています。
世界遺産に登録されている範囲は以下です。かなり広範囲なので1日では回りきれません。2〜3日の滞在がオススメです。
- ドナウ川両岸の地区(ブダ城地区、国会議事堂、ゲッレールトの丘、4つの橋など)
- ヨーロッパ大陸初の地下鉄が通るアンドラーシ通りと英雄広場
地図で示すと以下が対象範囲です(ユネスコのサイトより)。紫色が世界遺産、朱色がバッファゾーン(緩衝地帯)となります。
アンドラーシ通りの歴史
1872年に渋滞緩和の目的で建設が始まり、1876年に完成しました。アンドラーシという名前は、計画の主な支援者であった首相の名前に由来します。
アンドラーシ通りに並ぶネオ・ルネサンス様式の大邸宅は、当時の建築家達によるものです。
また、輸送を円滑に行うために、1894年にヨーロッパ大陸初の地下鉄の建設が始まりました。(ちなみに世界最古の地下鉄はロンドン)
2002年にブダペストの世界遺産として拡大登録されました。優れた近代都市計画と、ヨーロッパ大陸初の地下鉄が走っていることが評価されたとのことです。
立ち並ぶ名建築
アンドラーシ通りはエルジェーベト広場から英雄広場までの通りですが、距離としては3キロほどです。ネオ・ルネサンス様式で建てられた見応えのある建築がたくさんありますので、それらを見ながら歩くと、1時間以上はかかりますね。
人の少ない早朝から歩きました。Oktogon駅の近くに宿を取っていたので、そこから通りを歩いて英雄広場まで。天気も良く、気持ち良い街歩きでした。
右手には、有名な音楽家のフランツ・リスト記念館があります。
素晴らしい建築が次から次へと目に飛こんできます。これは人形劇場。
じっくり見て回ると1日過ぎてしまいそうです。
少し異質な建造物もありました。それは「恐怖の館」。ハンガリーのファシズム、共産主義に関するものが展示されている博物館で、犠牲者を追悼する施設でもあるとのことです。ハンガリーの黒歴史を知ることができます。残念ながら、時間の都合で中には入れず。
恐怖の館の入口前には、ベルリンの壁の一部が展示されてます。
冷戦の緊張感を表現した「鉄のカーテン」のモニュメントもありました。Shall we live as slaves or free men?というメッセージも。
ヨーロッパ大陸最古の地下鉄
アンドラーシ通りは地上だけでなく、その下を走る地下鉄でも有名です。1894年建設が始まったヨーロッパ大陸初の地下鉄なんです。
ブダペストの地下鉄は現在4号線までありますが、1号線(黄色)がアンドラーシ通りの地下を走り、世界遺産となっています。ちなみに世界遺産で地下鉄が登録されているのはブダペストだけです。
階段で地下鉄ホームまで行けますが、なんと地下3〜4mほどなので、降りてすぐホームがあります。アンドラーシ通りのすぐ下を走ってるのがよく分かります。
ホームや駅の作りも素敵です。ブダペスト地下鉄1号線は全部で11駅ですね。
電車がやってきました。
車両が3両で、見た目も小さく、可愛らしさもありますね。レトロ感満載です。
また、旧1号線ホームは現在は地下鉄博物館となっており、見学できます。以前活躍していた車両も展示されていました。観光客は皆無だったので、割と穴場スポットなのかもです。場所は少しわかりにくいかもです。通りから少し外れたところにありました。
入場料は忘れてしまいましたが、撮影は別料金だったという記憶が。多分鉄道マニアはめっちゃ好きなところだと思います。
英雄広場へ
アンドラーシ通りを進んでいくと、英雄広場に突き当たります。こちらもブダペストの観光名所ですね。1896年に建設がはじまり、1900年に完成しました。
地下鉄で行く場合は、ブダペスト地下鉄1号線の英雄広場駅(Hősök tere)から出てすぐです。
英雄広場の真ん中には、36mの円柱があり、その頂きには大天使ガブリエル像があります。聖イシュトヴァーンの王冠と十字架を持っています。本物の王冠は国会議事堂に厳重に保管されています(写真はNG)。
ガブリエル像の下を見てみると、ハンガリーの7つの部族の長の騎馬像が円柱を取り囲んでいます。
ハンガリー歴代国王や英雄の像
英雄広場には、ガブリエル像を取り囲むように、ハンガリー国王や英雄の像が半円状に並んでいます。
歴代国王のイシュトヴァーン1世、ベーラ4世、マーチャーシュ1世、英雄のラーコーツィ・フェレンツ2世や政治家のコシュート・ラヨシュなど全14人の像がずらりと並んでいます。ハンガリー歴史ファン(マニアックか?)にはたまらない光景ですよね。
20世紀初頭のオーストリア=ハンガリー帝国時代は、一部はマリア・テレジアなどハプスブルク家の人々の像でしたが、第二次世界大戦後に現在の像に取って代わられましたとのことです。
英雄広場はモニュメント以外、余計なものがなく、かなり広々としており開放的でしたね。
まとめ
アンドラーシ通りに関しては見るべきものは、
- 徒歩で名建築を見る
- 地下鉄に乗る
- 英雄広場を観光
主に以上になるかと思います。歩いて英雄広場まで行き、帰りはブダペスト地下鉄1号線で帰る、というのが良いと思います(逆もあり)。ちなみに英雄広場から歩いていけるところに、有名なセーチェーニ温泉があるので、そこで遊んでから帰るのもよいですね。
通りの建築も様々あるので、じっくり見たい場合はかなり時間がかかると思います。
ヨーロッパの近現代建築が好きな人や鉄道マニアは、是非訪れて欲しい世界遺産ですね。
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