2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
世界遺産「ヒヴァのイチャン・カラ」を構成する資産「パフラヴァン・マフムド廟」と「セイド・アラウッディーン廟」を訪問しました。パフラヴァン・マフムド廟は各地からたくさんの人が訪れる複合建築の美しい廟群です。それに対してセイド・アラウッディーン廟はシンプルな造りですが、ヒヴァ最古の由緒ある廟です。
この記事ではパフラヴァン・マフムド廟、セイド・アラウッディーン廟の2つの世界遺産を詳しく解説していきます。
世界遺産「ヒヴァのイチャン・カラ」の全体の解説はこちら。

パフラヴァン・マフムド廟
まず世界遺産「パフラヴァン・マフムド廟」(Pahlavon Mahmud Complex)です。英語名からも分かる通り複合建築群なので、パフラヴァン・マフムド廟群とかパフラヴァン・マフムド建築群とか言った方が正しいかもしれませんが、ここではパフラヴァン・マフムド廟と記載します。
場所・料金
パフラヴァン・マフムド廟は、同じく世界遺産のジュマ・モスクのすぐ南に位置しています。
ヒヴァの共通入場チケットでは入れず、別途25000スム(300円くらい)必要です。2025年現在は30000スムに値上がりしてるようです。ヒヴァには別途料金が必要な施設がいくつかありますが、その中でもパフラヴァン・マフムド廟はおすすめです。サマルカンドのシャーヒ・ズィンダ廟群に負けないくらい美しい青の世界を観ることができます。
パフラヴァン・マフムド廟とは?
パフラヴァン・マフムド廟の名前にもなっているパフラヴァン・マフムド(1247~1326年)は、異色の経歴の持ち主で、詩人でもあり、毛皮加工業者でもあり、レスラーでもありました。いつの絵か分かりませんが、ムキムキのパフラヴァン・マフムドです。レスラーとしては無敵だったとのことです。

パフラヴァン・マフムドは人々から愛されていました。17世紀のヒヴァ=ハン国時代に彼の埋葬地に廟が建てられ、人気の巡礼地となりました。19世紀になるとパフラヴァン・マフムドは国の守護聖人とされ、彼の廟を中心にヒヴァ=ハン国歴代君主の廟やモスクなども徐々に増築され、複合建築群となりました。
イスラム・ホジャ・ミナレットの頂上から眺めたパフラヴァン・マフムド廟です。ヒヴァで最も大きいドームと思われます。

パフラヴァン・マフムド廟の周辺にはたくさんの石棺があり、大墓地となっています。


以下はパフラヴァン・マフムド廟の平面図です。入口から入るとまず中庭があり、左右にモスク、正面に大ドームを持つハーンカー(イスラム神秘主義の修行場)があります。ハーンカーの内部からパフラヴァン・マフムドや君主の廟にアクセスできます。

ムハンマド・ラヒム・ハンの石棺
入口はタイル装飾なし、シンプルで力強いレンガ造りの門です。

受付で支払いをして中に入るとまず中庭があります。右手がテラスのある夏用モスク、左手が2階建てモスク、奥にあるのがメインの建物となる大ドームのハーンカーです。

ハーンカー内部です。入ると正面の窪みの所にはヒヴァ=ハン国君主ムハンマド・ラヒム・ハン(在位1806~1825年)の石棺があります。ハーンカーもムハンマド・ラヒム・ハンにより増築された建物です。

タイルで敷き詰められた石棺です。ライトで照らされて荘厳な雰囲気が漂っています。

ハーンカーの床には植物模様の装飾があります。これは最近のものかもしれません。

ハーンカーのドーム下の天井です。息を呑む美しさです。スキンチ(四角形の四隅に作られたアーチ構造)を用いて四角形平面から八角形平面に移行して、八角形ドームが造られています。

ヒヴァの他の建築では珍しいイエローのタイルが少しあります。八角形ドームには他であまり見かけない濃紺のタイルが敷き詰められており大変美しく、荘厳な雰囲気を感じます。八分割されており花瓶?のようなデザインが描かれています。シャンデリアもとても綺麗ですね。

ハーンカー内の壁もタイル尽くしです。クフナ・アルクやタシュ・ハウリ宮殿と似たような模様もあります。




パフラヴァン・マフムドの石棺
ハーンカーの西側へ行くとドームの部屋があります。パフラヴァン・マフムドの石棺がある部屋の前室という感じでしょうか。巡礼者はここでお祈りするのかなと。ここもとても美しいです。こちらはスキンチを使って八角形を導いてから円形のドームが造られています。ターコイズブルーがたくさん使われています。


この部屋のタイルは独特です。


奥にはパフラヴァン・マフムドの石棺が安置されている部屋がありますが、こちらはガラス扉があって中に入ることができませんでした。ドーム下天井も見れませんでした。以下の写真は扉の合間から撮影しました。

タイルで敷き詰められたパフラヴァン・マフムドの美しい石棺です。この石棺の地下に本人が埋葬されていると思われます。

アッラー・クリ・ハンの石棺
続いてハーンカーの東側です。こちらは通路になっており、全体的に漆喰で覆われてます。今まで見てきた部屋とは随分印象が違います。

ヒヴァ=ハン国君主アッラー・クリ・ハン(在位1825~1842年)の石棺です。アッラー・クリ・ハンはタシュ・ハウリ宮殿を造った人ですね。縁取りのターコイズブルーが綺麗です。

イスファンディヤル・ハンの石棺
ハーンカーから出て、中庭の2階建てモスクの隣もドーム付きの廟となっています。中は結構暗いですね。ヒヴァ=ハン国君主イスファンディヤル・ハン(在位1910~1918年)とその親族の石棺が安置されています。ちなみに中庭の2つのモスクが造られたのはイスファンディヤル・ハンの時代です。

ドーム下天井です。スキンチで八角形を導いてから円形ドームが造られています。ドームは八分割されて、これも花瓶?のような絵が描かれています。美しいですね。

石棺の台座のタイル装飾です。細かい植物模様とかなり凝った幾何学模様です。

セイド・アラウッディーン廟
世界遺産「セイド・アラウッディーン廟」(Sayid Allauddin Mausoleum)です。パフラヴァン・マフムド廟に次いでヒヴァで有名な廟で、ヒヴァ最古の建築です。
場所・料金
セイド・アラウッディーン廟はカルタ・ミノルから少し歩いた所の狭い通りに位置しています。
こちらもヒヴァの共通入場チケットでは入れず、別途20000スム(240円くらい)必要です。2025年現在は不明でした。
セイド・アラウッディーンの石棺
セイド・アラウッディーンは預言者ムハンマドの子孫であり、13世紀末にヒヴァでイスラム教を布教したスーフィー(イスラム神秘主義)の聖人です。セイド・アラウッディーン廟は何度も修復されており、正確な建設時期は不明ですが、おそらく14世紀頃と言われています。19世紀ヒヴァ=ハン国君主アッラー・クリ・ハンにより大規模な修復がされました。現在もたくさんの人が訪れる巡礼地です。
正面入口はレンガ造りで、扉周辺に漆喰が塗られています。この着飾ってない感じも良いですね。

ちゃんと世界遺産のロゴマークがあります。ヒヴァの建築物は全て標識があるので助かります。

建物はかなり小さいです。内部は全面漆喰です。スキンチを使って八角形ドームが架けられています。本当にシンプルですね。タイル装飾などは余計なものとして意図的に排除されてる感じがします。

ここでの見どころはセイド・アラウッディーンの美しい石棺です。他がシンプルなだけにかなり目立ちます。

大きな台座の上に石棺が2つありますが、実際に埋葬されてるのはセイド・アラウッディーンのみです。セイド・アラウッディーン廟を建てたブハラ生まれの陶芸家アミール・クラルもここに埋葬される予定でしたが、彼はブハラで亡くなりました。そのため墓が2つあるにもかかわらず、遺体は1体しか埋葬されていないとのことです。

台座の部分です。美しい植物模様で、黄色も入ってます。色彩豊かで立体感もあり、ワンランク上の石棺という感じがしました。

帰りに廟内にいたウズベク人のおばあちゃんから揚げパンを貰いました。施しはイスラムの宗教的な義務であり、けっこう遭遇する場面です。美味しくいただきました!
