2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」を構成する施設「ウルグ・ベク天文台」(Ulugh Beg Observatory)を訪れました。ティムール朝4代目君主ウルグ・ベクにより造られた、イスラム世界屈指の天体観測所です。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」についての解説は以下。

ウルグ・ベク天文台とは?
ウルグ・ベク天文台はサマルカンド中心部から北東にあります。結構離れています。
バスかタクシーでの移動がベストですね。自分はバスで行きました。バスはウルグ・ベク天文台前で停車するので、中心部からアクセスしやすいかと思います。「Yandex Maps」で検索すればすぐルートが出てきます。また、「Yandex Go」で配車タクシー使う場合、中心からですと大体20000スム弱ほどですね。
「Yandex Go」と「Yandex Maps」に関しては以下の記事から。

ウルグ・ベク天文台の敷地内です。ウルグ・ベク天文台の遺構、博物館、ウルグ・ベク像があります。観光するのは主にこの3つとなります。

ウルグ・ベク天文台は現在地下部分のみ残っている状態ですが、元々は以下のような円柱型の建造物でした(レギスタン広場のウルグ・ベク・マドラサ博物館より)。

ティムール朝4代君主で優秀な天文学者でもあったウルグ・ベクは、1420年に天文学の研究所としてレギスタン広場にウルグ・ベク・マドラサを建てました。1424年、ウルグ・ベクはマドラサにおける天文学研究をサポートするためにウルグ・ベク天文台の建設を開始し、1429年に完成しました。
ウルグ・ベク天文台には、ウルグ・ベク本人をはじめ中世イスラム世界の有名な天文学者が多数勤務していました。彼らは天体観測から1年間を365日6時間10分8秒と推測しましたが、現代の計算数値である365日6時間9分9.764秒と約1分しか違わないという驚異の正確さを誇っています。
また、ウルグ・ベクも自ら天体観測を行い、それをもとに作られた「キュレゲン天文表」はイスラム世界で広く用いられました。
しかし、ウルグ・ベクの天文学研究やマドラサにおける男女の教育の実施などは、イスラムの教えに反すると周囲からの反発が強くなっていきました。また、支配権をめぐって争いが生じ、息子アブドゥル・リャティフと争って、1449年にウルグ・ベクは暗殺されてしまいました。
天文台はウルグ・ベク死後に保守的なイスラム教徒によって破壊されましたが、約450年後の1908年に当時の天文台の一部であった巨大な六分儀の地下部分が発見されました。

ウルグ・ベク天文台の入場料金
ウルグ・ベク天文台の入場料金は、2023年10月時点で30000スム(350円くらい)でした。2025年現在では値上がりしていて40000スムとのことです。
博物館込みでの料金でした。撮影料金も記載されていましたが、特に支払わなくてもスマホでの撮影はできました。
クレカは対応していませんでした。今回サマルカンドで訪問した施設でクレカが使えたのはレギスタン広場とシャーヒ・ズィンダ廟のみでした。意外と使えないんだなという印象です。
発見された天体観測所
ウルグベク天文台は全壊しており、円形の基礎部分と地下部分のみが遺構として残っています。地下部分に繋がるタイル装飾の門は後年復元されたものです。

天文学者ウルグベクらしく、天体・星空をモチーフとしたデザインです。ここから地下の遺構を見学することができます。

これが当時の六分儀の遺構です。地下部分のみ残っており、本来は地上にも伸びていました。六分儀は太陽や星の高度を観測するものですが、天体観測についての知識がないと見てもよく分からないというのが正直な感想でした。

この六分儀は地下部分の高さが11m、今は無き地上部分も合わせると全長40mを誇るもので、それを30mの高さの巨大な建物が取り囲んでいました。天体観測の知識がなくとも、スケールの大きさを感じることができると思います。
博物館
ウルグベク天文台の近くには博物館があります。天文台関連を中心に展示されていました。

ウルグベクの肖像画です。ティムールもそうですが、基本的にイカつい印象です(笑)。

ウルグベク天文台の復元模型もありました。他のイスラム建築と全く違いますね。中世の天体観測所というだけでロマンを感じますが、現在残っていないのが残念です。

断面図の模型もあり、本来あった六分儀の全体がよく分かるようになってました。こういう形で地上に伸びていたんですね。博物館に行ってから天文台の遺構を見た方がイメージできるかもしれません。

色々と観測器具も展示されていました。左がウルグベク天文台で使用されていた渾天儀(こんてんぎ)の模型、右が四分儀(しぶんぎ)の模型です。どちらも天体の位置を観測するための器具です。

こちらは世界遺産であるレギスタン広場のウルグ・ベク・マドラサの模型です。天文学研究の中心地です。

ウルグ・ベク・マドラサで使われていたテキストです。

天文台関連以外のものも展示されていました。これらは弦楽器と皮を張った打楽器です。ウルグベク時代のものみたいです。

こちらはグーリ・アミール廟の模型です。サマルカンドにある世界遺産の1つです。ウルグベクやティムールも埋葬されています。

ティムールの出生地シャフリサブスのアクサライ宮殿の門の模型です。元々アーチで繋がっていましたが、崩れ落ちてこのような状態になっています。模型には人物も造られており、かなりの巨大建築なのが分かります。アクサライ宮殿跡は世界遺産となっており、シャフリサブスで観ることができます。

アクサライ宮殿のタイルも一部ありました。14世紀のものです。

こちらはティムールからフランス国王シャルル6世に宛てられた手紙のレプリカです。遠く離れたフランスの国王ともやり取りがあったんですね。ティムール朝は中央アジアから西アジアを支配した大帝国でしたから、ヨーロッパの国々にもかなり知れ渡っていたんだろうとなと思います。

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