2023年10月のウズベキスタン旅行記です。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」を構成する施設「ホジャ・アブディダルン廟」と「イシュラトハナ廟」を訪問しました。サマルカンド中心から少し離れているのであまり訪れる人はいませんでしたが、見応えある霊廟でした。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」についての解説は以下。

料金・アクセス方法
「ホジャ・アブディダルン廟」と「イシュラトハナ廟」は道を挟んで建っています。どちらの施設も入場料金は無料です。場所はサマルカンド中心部から南に位置します。
自分は中心部から歩いていきました。レギスタン広場から徒歩で30分ほどです。ホジャ・アブディダルン廟とイシュラトハナ廟の近くにはバス停がいくつかありますが、「Yandex Maps」でルートを調べたところ、大回りな上に乗り換えが必要でした。出発地点次第では路線バスで行くのが良いかなと思います。「Yandex Go」で配車タクシー利用なら、中心部から16000スムくらい(190円くらい)ですかね。
「Yandex Go」と「Yandex Maps」に関しては以下。

ホジャ・アブディダルン廟とは?
「ホジャ・アブディダルン廟」(Khodzha Abdu-Darun Mausoleum)は、9世紀に生きたイスラム法学者であり裁判官でもあったホジャ・アブディ(アブドゥル・マジッディーン)が埋葬されています。廟の創建は元々12世紀ですが、ティムール朝4代君主ウルグ・ベク時代の15世紀前半に再建されました。
その後ホジャ・アブディダルン廟の周囲にはモスクなど様々な建物が造られ、現在では複合施設となっています。
道に面する最初の門を潜ると目の前に19世紀に建てられたモスクがありますが、そこから左側へ歩いていくとホジャ・アブディダルン廟の敷地へ入るための門が現われます。

ホジャ・アブディダルン廟敷地内は、池のある中庭を複数の建物が取り囲んでおり、都市の喧騒から離れた静かでゆったりした空間でした。

廟の他にはテラス式の建物が中庭を囲んでいます。観光客は1人もいませんでした。ホジャ・アブディダルン廟の警備の人?が何人かいる程度。少しお話して、楽しい時間を過ごしました。

ホジャ・アブディダルン廟はターコイズブルーのドームを擁する建物です。

入口の門は綺麗な幾何学模様です。右側が明らかに歪んでいます。崩れないように絶妙なバランスで建っているように見えます。廟内は礼拝している人が何人かいたので入るのは遠慮しました。

中庭を取り囲むテラス式の建物です。中央アジアのイスラム建築でよく見られる「アイヴァン」と呼ばれるテラス様式です。開放的です。柱頭のムカルナス装飾が見事ですね。天井との接着部分はどうなってるんでしょうね。柱と天井ともに木造であたたかみがあり、このゆったりした空間にマッチしています。

反対側もテラス式の建物です。こちらも木造ですが、目を見張るような天井装飾です。中国文化の影響を感じます。天井を支える部分も中国や日本の寺で見られるような組み物が使われています。

柱も鮮やかな模様で色とりどりでした。


テラスの奥側にはミフラーブ(イスラムの礼拝をするところ)があり、モスクの機能も備わっているようです。

ホジャ・アブディダルン廟はとても素敵な癒しの空間でした。サマルカンドの観光に疲れた人におすすめです。
イシュラトハナ廟とは?
ホジャ・アブディダルン廟を出て、次は向かいにある「イシュラトハナ廟」(Ishratxona Mausoleum)へ。イシュラトハナはペルシャ語で「喜びの家」を意味しています。イシュラトハナ廟は、ティムール朝7代君主アブー・サイード時代の1460年代に建造されました。一度も大規模な改修をされず、現在では廃墟となっています。
1940年の発掘調査で複数の女性の遺体が発見され、イシュラトハナ廟はティムール一族の女性たちが埋葬されていた廟であることが分かりました。中に入ることはできませんが、地下に23人の女性の墓があります。
イシュラトハナ廟の入口はレンガ造りの質素な門でした。

イシュラトハナ廟です。かなり大きいです。廃墟感がたまりません。サマルカンドは青いタイル(サマルカンドブルー)のイスラム建築が有名ですが、イシュラトハナ廟はそれとは対極にある建築物と言えます。異彩を放っています。

廃墟感とともに優雅さも兼ね揃えています。以前はドームもあったようですが、1903年の地震で崩壊したとのことです。屋根は仮のもので覆われています。工事をしている人もいたので、今後しっかり修復されていくかもしれませんね。


レンガの積み方が興味深いです。

近くで見てみると至る所に点々と青い部分があります。これはタイルの残骸です。元々はサマルカンドブルーを体現する美しい建物だったのかなと想像できます。

タイルは剥がれ落ちていますが、その跡から植物模様や幾何学模様などの装飾があったことが分かります。


イシュラトハナ廟では、レギスタン広場やシャーヒ・ズィンダ廟群の青々とした建物とのコントラストを楽しめました。
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