ウズベキスタンブハラとその近郊

【世界遺産】「イスマーイール・サーマーニー廟」中央アジア最古のイスラム建築

イスマーイールサーマーニー廟 ウズベキスタン

2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。

世界遺産「ブハラ歴史地区」を構成する資産の1つ「イスマーイール・サーマーニー廟」(Mausoleum of Ismail Samani)を訪問しました。

世界遺産「イスマーイール・サーマーニー廟」は、ブハラというか中央アジアに現存する最古(9〜10世紀)のイスラム建築です。タイル装飾なしの見事なレンガ建築と装飾を存分に楽しめる史跡です。ブハラの世界遺産の中でも断トツでおすすめしたい観光名所です。

イスマーイール・サーマーニー廟と合わせて周辺の史跡も紹介します。

世界遺産「ブハラ歴史地区」の解説は以下より。

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場所・料金

イスマーイール・サーマーニー廟は、旧市街の西の外れにあります。中心部のラビハウズから歩いて25分くらいです。路線バスを乗り継いで行くこともできそうですが、徒歩より時間はかかりそうです。歩き以外だとタクシーがよいかなと思います。配車アプリ「Yandex Go」で調べたところ、ラビハウズからであれば20000スム弱(240円くらい)でいけそうです。

「Yandex Go」と「Yandex Maps」に関してはこちら。

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イスマーイール・サーマーニー廟は、緑豊かな公園の一画に建っています。かなり小さい廟ですね。旧市街の外れのためか観光客もあまりいませんのでじっくり観ることができます。

イスマーイールサーマーニー廟

内部へ入るのに入場料がかかります。2023年10月時点では10000スム(120円くらい)でした。2025年現在は調べましたが不明です。キャッシュのみ対応です。

歴史

イスマーイール・サーマーニー廟は、9世紀ブハラを首都として中央アジアを支配していたイラン系イスラム王朝サーマーン朝時代のものです。

892〜943年の50年の歳月をかけて建造されました。現存するサーマーン朝唯一の史跡です。

元々サーマーン朝の名君イスマーイール・サーマーニーが父親のために建てた廟ですが、その後王家の廟となり、イスマーイール本人とその父アフマド、孫のナスル2世の3人が埋葬されてると言われています。

13世紀にモンゴル軍がブハラを侵攻した際は、廟は洪水や地滑りで泥や砂に埋もれていたため、奇跡的に破壊を逃れました。ブハラの世界遺産マゴキ・アッタリ・モスクと同じですね。

その後何世紀も埋もれたままでしたが、20世紀にソ連による考古学調査で発掘されました。埋もれていたため廟は良い状態で発見されており、部分的に修復され今に至ります。

1993年にブハラ歴史地区の1つとして世界遺産登録されました。中央アジアの現存する最古のイスラム建築として歴史的に非常に価値があります。

外観

イスマーイール・サーマーニー廟は、9m四方の立方体のレンガ造りの建物で屋根はドームで覆われています。壁は1.8mの厚みがあります。

イスマーイールサーマーニー廟

当時はまだ後年のような美しいタイル装飾の技術はなく、イスマーイール・サーマーニー廟はレンガの積み方だけで様々な模様が表現されてます。完璧な対称性があり、当時の建築家の美への拘りと卓越した技術に脱帽です。

イスマーイールサーマーニー廟

立方体の四辺はすべてアーチ状の開口があり、ササン朝ペルシア時代のゾロアスター教神殿と似ていると言われています。当時はまだイスラム教の普及やイスラム建築も初期段階で、この地域にまだ多くのゾロアスター教徒が住んでいたんでしょうね。

イスマーイールサーマーニー廟

建物上部には小さなレンガアーチが並んでいます。アーチの中も細かく装飾されており、かなり凝った造りです。ブハラの世界遺産カラーン・ミナレットのレンガ装飾は幾何学模様やカリグラフィーなどイスラムらしい表現でしたが、イスマーイール・サーマーニー廟のレンガ装飾はソグド文化やペルシア文化など様々な土着文化の影響を受けてると言われており、別物って感じがしました。イスラム建築特有のムカルナスも1つもないですし。

イスマーイールサーマーニー廟

レンガ装飾のリズミカルな凹凸により陰影ができ、光の量や角度によって見た目の印象が変わります。

イスマーイールサーマーニー廟
イスマーイールサーマーニー廟

内観

イスマーイール・サーマーニー廟内部です。外観に負けないくらいのレンガ装飾のオンパレードです。床にはサーマーン朝王家の石棺があります。ドームはスキンチ(四角形の四隅に作られたアーチ構造)を使って造られています。

イスマーイールサーマーニー廟

後年のイスラム建築のドームではスキンチを使った構造はもはや定番ですが、当時としては革新的なドームの架け方でした。そもそも四角形平面に円形ドームを乗せるのは物理的に難しく、それを克服したのがスキンチを使った建築技術です。スキンチを隅に架けることで四角形平面は八角形になり、さらに十六角形と、徐々に円形に移行していき最終的に無理なくスムーズにドームが造られています。

イスマーイールサーマーニー廟

スキンチアーチにもレンガの美しい装飾が見られます。後年のイスラム建築ではここがムカルナス装飾だったりします。

イスマーイールサーマーニー廟

廟内には光が入るようにも調整されています。

イスマーイールサーマーニー廟

イスマーイール・サーマーニー廟の近くの売店でウズベキスタン建築の写真集(日本語版)が売ってたので、自分へのお土産として買いました。表紙はブハラの世界遺産アルク城ですね。最初20ドルと言われましたが、10ドルにしてくれました。定価はもっと安いのかもですが、まあ良しとしました。

イスマーイールサーマーニー廟
イスマーイールサーマーニー廟

夜にイスマーイール・サーマーニー廟はライトアップされるかなーと期待しつつ、日が落ちてから頑張って歩いて行ってみましたが、真っ暗で何も見えませんでした(笑)。廟周りには照明器具も備わっていたので、ライトアップする時はありそうです。残念でしたがまたのタイミングですね。あと近くに遊園地がありますが、暗闇の中にド派手な照明で怪しさ満点でした(笑)。地元の若者で賑わってましたね。

イスマーイールサーマーニー廟

周辺の史跡

イスマーイール・サーマーニー廟の周辺にも史跡があったので紹介します。全て徒歩圏内です。

チャシュマ・アイユブ廟

まず「チャシュマ・アイユブ廟」(Chashmai Ayub Mausoleum)です。「ヨブ(アイユブ)の泉」という意味で、アイユブは旧約聖書に出てくる預言者です。現在は水の博物館となっています。中に入るには入場料金がかかりますが、いくらかは調べても分かりませんでした。

伝説では、預言者ヨブ(アイユブ)がこの地を訪れ、杖で地面を叩くと泉が湧き出たとされています。泉は目の病気に効くと言われ、たくさんの人が訪れたようです。数世紀にわたって増築され、最も古い部分は12世紀に遡ります。現在の建物はティムールの治世の14世紀末に建造されました。元々この場所には預言者アイユーブの霊廟があったと考えられており、埋葬地としても崇敬されています。中には入っていませんが、今でも泉が湧いてるらしいです。

チャシュマアユーブ廟

シンプルなレンガ造りですが、円錐の塔が建っていて全体的に少し変わった建物だなという印象です。世界遺産ではないですが、ユネスコ暫定遺産リストには入っているので、そのうち世界遺産に登録もしくは追加されるかもですね。

チャシュマアユーブ廟

円錐の屋根の頂上にはコウノトリの模型があります。元々巣があったんでしょうね。

チャシュマアユーブ廟

ブハラ城壁

続いて「ブハラ城壁」(Wall of Bukhara)です。16世紀ブハラ=ハン国時代に造られた街を囲む城壁です。現在は一部のみ残っています。

説明パネルにはユネスコ世界遺産のロゴマークもあるので、城壁は間違いなく世界遺産「ブハラ歴史地区」を構成する史跡です。

ブハラ城壁

レンガ造りの綺麗な門です。門の大部分は完全に再建かもですが、土台部分はレンガの色が違うので当時のものの可能性ありますね。

ブハラ城壁

城壁は土壁やレンガで造られていました。写真は土壁です。城壁の長さは合計で400~500mくらいあるのかなと思います。

ブハラ城壁

セントラル・バザール

あとすぐ近くには史跡ではありませんが地元の人で賑わうセントラルバザールがあるので、寄ってみても楽しいかと思います。

チラっと寄っただけなので写真は少しだけです。観光客はほぼいませんでした。地元の人たちの日常とか味わいたい人は是非。

セントラルバザール
セントラルバザール
セントラルバザール

卵1パック(30コ?)で1500スムなら格安です!18円くらいです。

セントラルバザール
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