2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
ウズベキスタンへ渡航する直前に世界遺産に登録された「シルクロード:ザラフシャン=カラクム回廊」。この世界遺産の構成資産の1つ「バハウッディン廟」(Bahouddin Naqshband Architectural Complex)を訪問しました。ブハラ近郊にあるため、ブハラ滞在時に日帰りでアクセスできました。
バハウッディン廟(バハウッディン・ナクシュバンド廟)は英語名から分かる通り複合施設なので、「バハウッディン建築群」や「バハウッディン・ナクシュバンド建築群」とも呼ばれます。この記事ではバハウッディン廟と記載しています。サウジアラビアのメッカに次ぐイスラム教の聖地と言われています。詳しく解説していきます。
世界遺産「シルクロード:ザラフシャン=カラクム回廊」の解説は以下より。

場所・料金
世界遺産バハウッディン廟はブハラの北東10キロほどの地点にあり、ブハラから日帰りでアクセスが可能です。
アクセス方法はタクシーもしくはバスかなと思います。自分はタクシーを使いました。ブハラ旧市街の中心部ラビハウズからだと、タクシー配車アプリ「Yandex Go」で調べたところ30000スム(350円くらい)前後ですね。2023年10月時点では20000スムでしたので、少し値上がりしてます。バハウッディン廟まで20分くらいで着きました。
「Yandex Maps」でバス検索できましたが、ブハラ旧市街から60番バスで行けそうです(60番に乗るために乗り換えが必要かも)。だいたい30~40分くらいかかりますね。乗る場所によっては乗り換えが必要の可能性もあります。バハウッディン廟の目の前のバス停で停まります。ブハラでバスを使っていないので値段は分かりませんが、他の都市の路線バスの値段からするとかなり安いと思います。まあタクシーでも十分安いし時間も節約できるので、タクシーをおススメします。
「Yandex Go」と「Yandex Maps」に関してはこちら。

また、バハウッディン廟の入場料金は2023年10月時点で10000スム(120円くらい)でした。2025年時点の料金は分かりませんでしたが、都市部にある観光地ではないのでそこまで値上がりしてはいないかなと思います(世界遺産になったので何とも分かりませんが)。
バハウッディン廟は大通り沿いに面しているのですが、通りを挟んで向かいにはレストランやお土産屋さんがありますので、帰りに寄ってみるのも良いかと思います。
世界遺産バハウッディン廟とは?
世界遺産バハウッディン廟は複合施設で、14世紀の聖人バハウッディン・ナクシュバンドの墓を中心にモスクやマドラサなどの施設が何世紀にも渡って増築されてきました。バハウッディン・ナクシュバンドの生誕地であり亡くなった地でもあると言われています。
バハウッディン・ナクシュバンド(1318~1389年)は、スンナ派のスーフィー(イスラム神秘主義)の最大の教団の1つ「ナクシュバンディ教団」の創設者で、当時中央アジアで最も大きい影響力を持っていました。
バハウッディン廟は、バハウッディン・ナクシュバンドの死後の14世紀末に設立されました。それ以降中央アジアの人々にとってはメッカに次ぐイスラム教の聖地とされ、今でも巡礼者が絶えない場所となっています。
ソ連時代は宗教が弾圧されていたので、バハウッディン廟への巡礼は禁止されていましたが、ウズベキスタン独立後は整備や修復もされ、2023年に世界遺産「シルクロード:ザラフシャン=カラクム回廊」の構成資産として登録されました。
バハウッディン廟はバハウッディンの墓がある中庭を中心に、様々な建築物で構成されています。建築群の北側は整備された緑豊かな公園となっています。中庭のすぐ近くには整備されたネクロポリス(大墓地)がありますが、その周辺も広い範囲が墓地となっています。敷地内へは東西南北どこからでも入れそうですが、一般的には大通りに面している南門(画像の下の矢印部分)からだと思います。

入口
南門から入ります。周囲には花壇もあり、雰囲気良さそうです。入ると中に係の人がいてそこで入場料金を支払いました。

入場したらしばらく1本道ですが、なんかめちゃ良い感じですね。すでに居心地が良いです。

進んでいくと整備されたネクロポリスがあります。

大理石でしっかり囲まれたエリアもあります。身分の高い人のお墓なのかなと思います。

バハウッディンの墓(中庭)
バハウッディン廟の中庭です。中央アジアでよく見かける「アイヴァン」というテラス式の中庭です。樹木も多く、人工池が造られていてゆったりした時間が流れています。

池の北側にはブハラの世界遺産チョルミナルのような小さい建物がありました。

英語のWikipediaにはWell(井戸)と書かれてますが、昔はここに井戸があったのかもしれません。

中庭は四方がテラスで囲まれています。木造です。

柱頭のムカルナス、幾何学模様のデザインが異なる各天井が素晴らしいです。天井を眺めながら回廊を歩いたりして楽しみました。

池の南側には、大きな樹木とその向こうにバハウッディンのお墓があります。世界遺産バハウッディン廟のメインとなる場所です。巡礼者や観光客が集まっていました。

大理石で囲まれたお墓です。大理石の柵の透かし彫りが見事です。全く読めませんがアラビア語の石碑も建っています。覗くことはできませんでしたが、この囲いの中にバハウッディンの石棺があるのかなと思います。

ちなみにこの樹木の標識にはウズベク語で「TUT DARAXTI 210 YIL」と書かれており、直訳すると「木の道 210年」とのこと。樹齢210年ってことかと思います。樹木の下で多くの巡礼者が目が閉じてお祈りしている姿が見られ、ここはイスラム教徒にとってとても大切な場所なんだなと実感しました。その様子はなんだかとても平和に感じられ、気持ちの良い空間でした。来れてよかったです。

2つのモスク
中庭にはモスクが2つ併設されています。中庭の西側と北側ですが、それぞれ男性用モスク、女性用モスクとなっています。こちらは男性用モスクです。

装飾がほぼなく、シンプルな造りです。ドームなしの多柱式モスクです。昔からある型のモスクですね。

こちらは女性用モスクです。自分は入れなかったので、一緒に旅してるパートナーに写真を撮ってきてもらいました。こちらも多柱式モスクで、男性用モスクに比べて装飾が華やかです。

柱頭のムカルナスと天井です。物凄い煌びやかですね。区分けされた各天井の装飾は色合いは大体同じですが、少しずつ幾何学模様が異なります。

その他のイスラム建築
バハウッディン廟は複合建築群なので、モスク以外にも様々なイスラム建築があります。こちらはミナレットです。かなり低いです。天辺に小さいアーチが並んでいて可愛らしいですね。

ミナレットの西側には16世紀建造のハーンカーがあります。ハーンカーとはイスラム神秘主義者の修行場のことです。バハウッディン廟内で一番大きい建物です。中に入ることはできませんでした。

遠くからみるとこんな感じです。ドームも変わったデザインです。要塞みたいですね。

ミナレットのすぐ北東には17世紀建造のマドラサがあります。こちらは現在博物館になっています。入っていないので詳細は分かりませんが、別途料金が必要です。

建築群の北側エリアは整備されていて、緑豊かな公園となっています。池もあります。この辺でまったりするのも良いですね。

白鳥もいらっしゃいました。地元のおばちゃんが餌やりしててわんさか集まってましたね。

帰りは西方面から出ました。ネクロポリスを抜けていくとレンガ造りの門があります。

表側から見た門です。南門よりこちらの方が好き目です。

さらに歩くと門がもう1つ。こちらを出てようやく敷地内から出たことになるみたいです。

どこからでもハーンカーが見えます。本当に大きいです。

世界遺産バハウッディン廟は建築的な派手さはありませんでしたが、とても心地よい場所で行ってよかったと心から思います。向かいにあるお土産屋さんなどを見てから、タクシーでブハラに帰りました。