ポルトガル

【世界遺産】「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」解説!全構成資産7件を紹介 観光の見どころなど

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群 ポルトガル

2024年4~5月のポルトガル旅行記です(料金は2025年10月調べのものを記載してます)。

ポルトガルとスペインとの国境沿いの世界遺産の街「エルヴァス」(Elvas)を訪問しました。世界遺産登録名は「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」です。その名の通り要塞都市であるエルヴァス(エルバシュ)の歴史地区や周辺の要塞などが世界遺産に登録されています。

この記事では「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」はどういった世界遺産なのか、構成資産の観光の見どころなども踏まえて解説していきます。

参考記事:リスボンからエルヴァスの行き方は以下にて解説。

リスボンからエルヴァス(エルバシュ)の行き方解説!Rede長距離バスで移動
2024年4~5月のポルトガル旅行記です(料金は2025年10月調べのものを記載してます)。リスボンで数日滞在後、東方面へ移動しました。目指すは世界遺産の街「エルヴァス」(Elvas)です。エルバシュとも言われます。ポルトガルとスペインの国...
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世界遺産「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」とは?

「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」は2012年に世界遺産に登録されました。

エルヴァス歴史地区をはじめ、17世紀以降に建造された防衛施設が登録対象となっています。特に歴史地区は、空堀を持つ防衛施設としては世界最大規模です。

エルヴァスはスペイン、ポルトガルの国境付近の要衝であり、歴史的にスペイン領土となった時期もありました。

「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」は以下の理由で世界遺産に登録されました。

  • エルヴァスの建造物群は、17世紀ヨーロッパの国際政治情勢と密接に結びつく軍事建築の発展を伝える(登録基準4)
登録名国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
(Garrison Border Town of Elvas and its Fortifications)
ポルトガル
登録区分文化遺産
登録基準(4)
登録年2012年(2013年に軽微な変更)

エルヴァスの歴史

現在見られるエルヴァス(エルバシュ)の多くの施設は主に17世紀以降に建造されたものですが、エルヴァス自体の歴史は古く、古代ローマ時代から存在する都市です。

エルヴァスは8世紀以降イスラム勢力の支配下にありましたが、1166年にカスティーリャ王国がレコンキスタにより占領しました。その後カスティーリャ王国とポルトガル王国がエルヴァスをめぐり対立しましたが、1229年に正式にポルトガル領土となりました(ブルゴーニュ朝サンシュ2世の時代)。

17世紀以降、エルヴァスはポルトガルとスペインとの国境付近の要衝として要塞化していきましたが、一時的にスペインの支配下になったこともありました(1658年と1711年)。

その後フランスのナポレオン軍の侵攻(1801年)やスペイン独立戦争(1808年)などでも防衛都市として機能しました。

19世紀以降その戦略上の重要性も薄れ、1906年には要塞群などが国の史跡に指定され、保存や修復の取り組みも行われるようになりました。

2012年に「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」として世界遺産に登録されました。

構成資産

世界遺産「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」を構成する物件は全部で7つです。観光のメインとなるスポットは①歴史地区、②アモレイラ水道橋あたりです。余裕があれば③サンタ・ルジア要塞や④グラサ要塞の観光も良いかなと思います。ここでは各構成資産を簡単に解説していきます。歴史地区内にあるエルヴァス城やサンタ・ルジア要塞、グラサ要塞は全て月曜休みのようなので、エルヴァス観光する際は注意が必要です。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群

エルヴァス歴史地区(Historic Centre)
アモレイラの水道橋(Amoreira Aqueduct)
サンタ・ルジア要塞(Fort of Santa Luzia)
グラサ要塞(Fort of Graça)
サン・ペドロ小要塞(Fortlet of São Pedro)
サン・マメデ小要塞(Fortlet of São Mamede)
サン・ドミンゴス小要塞(Fortlet of São Domingos)

①エルヴァス歴史地区

観光のメインとなる歴史地区です。空堀を持つ防衛施設としては世界最大規模と言われています。スペイン・ポルトガル同君連合(実質はスペインによる支配)が解消された1640年頃から建造が始まりました。

上空からの写真だとよく分かりますが、稜堡式の城塞となっています。稜堡は城壁の外に向かって突き出した角の部分のことで、大砲による攻撃の死角をなくすために考案された西洋の築城技術です。歴史地区はじめ、周辺の要塞も基本的にこの設計になっています。日本の稜堡式城塞で有名なのは函館の五稜郭などがありますね。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
https://www5a.biglobe.ne.jp/~tsukuba/Ryo/Html/Toha.htmより
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
歴史地区を上から見た図
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
歴史地区を上から見た図(ユネスコ世界遺産センターより)

エルヴァス歴史地区では、エルヴァス城(一部有料、2024年4月時点3ユーロ)をはじめ、街の中心にあるレプブリカ広場、ノッサ・セニョーラ・ダ・アスンサオン教会、ノッサ・セニョーラ・ダ・コンソラサオン教会など見どころがたくさんあります。小さい街なので散策も徒歩で可能です。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
エルヴァス城を上から見た図(ユネスコ世界遺産センターより)
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
エルヴァス城入り口
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
歴史地区への城門の1つ
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
街の中心部レプブリカ広場とノッサ・セニョーラ・ダ・アスンサオン教会

②アモレイラの水道橋

1529年から1622年にかけて建造されたイベリア半島最長の水道橋です。歴史地区からすぐの場所にあり、これもエルヴァス観光ではおすすめのスポットです。生で見るとかなりデカいです。設計したのは、リスボンにある世界遺産ベレンの塔を手がけたフランシスコ・デ・アルダです。「アモレイラ」は水源となっている泉の名前です。全長8.5km、高さは一番高い所で31メートルあります。4段のアーチ構造になっており、全834のアーチで構成されています。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群

③サンタ・ルジア要塞

歴史地区から南東に位置するサンタ・ルジア要塞です。歴史地区から徒歩で行けます。1641年から1648年にかけて建設されました。こちらも分かりやすく稜堡式の城塞です。さらに星型です。現在は軍事博物館となっています。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
サンタ・ルジア要塞を上から見た図
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
サンタ・ルジア要塞の入口

以下は料金と営業時間です(2025年10月調べ)。詳細は公式サイトにて。

  • 入場料金:3ユーロ/5ユーロ(ガイドツアー付き)
  • 営業時間:5月~9月→10:00-18:00(月曜休み)/10月~4月→10:00~17:00(月曜休み)

④グラサ要塞

歴史地区から北にある丘の上に建つグラサ要塞です。遠いのでタクシー移動での観光が無難かと思います。18世紀半ばに建設されました。こちらも稜堡式の城塞です。軍事的技術の向上の中造られたグラサ要塞は、世界で最も強固な稜堡式の城塞の一つと言われています。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
グラサ要塞を上から見た図(ユネスコ世界遺産センターより)
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
エルヴァス城から見たグラサ要塞

以下は料金と営業時間です(2025年10月調べ)。詳細は公式サイトにて。

  • 入場料金:5ユーロ/8ユーロ(ガイドツアー付き)
  • 営業時間:5月~9月→10:00-18:00(月曜休み)/10月~4月→10:00~17:00(月曜休み)

⑤サン・ペドロ小要塞

歴史地区の南にあるサン・ペドロ小要塞です。19世紀初頭、ナポレオン率いるフランスの勢力に備えて建設されました。兵舎、火薬庫などが残っています。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
サン・ペドロ小要塞を上から見た図

⑥サン・マメデ小要塞

サンタ・ルジア要塞のすぐ南東に位置するサン・マメデ小要塞です。19世紀初頭、ナポレオン率いるフランスの勢力に備えて建設されました。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
サン・マメデ小要塞を上から見た図

⑦サン・ドミンゴス小要塞

アモレイラ水道橋近くのサン・ドミンゴス小要塞です。19世紀初頭、ナポレオン率いるフランスの勢力に備えて建設されました。アモレイラ水道橋を防衛する役割も担っていました。

国境防衛都市エルヴァスとその要塞群
サン・ドミンゴス小要塞を上から見た図

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