2022年6月のハンガリー旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
ブダペストより北東にあり、スロバキアとの国境付近に位置する小さな村「アグテレク」を訪れました。ここにはハンガリーとスロバキアの国境を跨ぐ鍾乳洞群があり、2つの国が共有する世界遺産「アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群」として登録されています。
ここでは世界遺産「アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群」の解説と、実際訪問したアグテレクのヨーロッパ最大の鍾乳洞「バラドラ洞窟」を紹介します。
世界遺産「アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群」とは?
アグテレクのカルスト洞窟は、カルスト地形によりできた鍾乳洞です。カルスト地形は隣国スロバキアにも跨っており、スロバキア側はスロバキア・カルストと呼ばれています。カルスト地形によりできたこのエリアの鍾乳洞は全部で700近くあります。中でもヨーロッパ最大の鍾乳洞である「バラドラ洞窟」は全長26kmで、そのうち8kmはスロバキア国内にあり「ドミツァ洞窟」と呼ばれています。

カルスト洞窟群は、世界遺産としては「アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群」という名前の自然遺産として登録されています。ハンガリーとスロバキアが同じ遺産を共有しており、このように複数の国が1つの遺産を共有している概念をトランス・バウンダリーと言います。
700近くある鍾乳洞のうち、ハンガリーの「バラドラ洞窟」(スロバキア側ではドミツァ洞窟)をはじめとした22個が1995年に世界遺産に登録されました。その後2000年にスロバキア側のカルスト地形や洞窟が拡大登録されました。
世界遺産に登録された理由は以下となります。
- スロバキアとハンガリーにまたがる広大な鍾乳洞群が存在すること
- 非常に固有種の多いユニークな生態系を持つこと
登録名 | アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群 (Caves of Aggtelek Karst and Slovak Karst) |
国 | ハンガリー/スロバキア |
登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (8) |
登録年 | 1995年(2000年拡張) |
カルスト地形はイメージが分かりにくいかもですが、石灰岩が雨水や地下水などに溶かされてできた特殊な地形で、鍾乳洞や湖、湾、台地など様々なものになります。世界中にカルスト地形は存在しており、世界遺産にも多数登録されています。
アグテレクへのアクセス
世界遺産「アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群」のうち、最も有名であろうアグテレクの「バラドラ洞窟」を訪問しました。
ブダペストからだと日帰りは厳しいですね。自分達は旅の拠点をブダペストから東にある街ミシュコルツに移して、そこからバスで日帰りで訪れました。
ミシュコルツの街中にある大きなバスターミナル「Miskolc, autóbusz-állomás」から乗り、途中で別のバスに乗り換えてアグテレクへ行きました。乗り換えするバス停は、「Kazincbarcika Szent Flórián Tér autóbusz forduló」です。
乗り換えのバスはこれでした。乗るバスは1054でした。ちゃんとgoogle map通りに行けますね!てかこのバスはブダペスト発なんですね。

ミシュコルツ駅(Miskolc-Tiszai)から鉄道とバスを使っても行けるみたいですね。ただ街中からミシュコルツ駅までは少し遠いので、自分らは街中のバス停からバスのみで行くことを選択しました。
アグテレクに到着
無事アグテレクに到着です。少し歩くと巨大な岩山が見えてきました!

どんどん近づいていきます。この地下が巨大な洞窟群になっているんだなー、と。

入り口です。

立派な世界遺産マーク発見です。

アグテレクとスロバキアの洞窟の全体像です。

バラドラ洞窟の神秘的な空間へ
洞窟内部へはツアー参加でのみ入ることができます。距離に応じて3種類のツアーがありました。
今回はバラドラ洞窟のショートツアーに参加しました。全長26kmのバラドラ洞窟の一部(1km)を1時間程度かけて歩きます。ガイドはハンガリー語オンリーみたいですね。
バラドラ洞窟のショートツアーの料金は3200フォリントでした(2022年6月時点)。2025年現在は同じツアーが4000フォリントのようです。どのツアーも1日2~3回しかやっていないので、事前に公式サイトで時間をチェックしておいた方が良いと思います。ツアー内容も書いてあります。チケットは洞窟入口近くのチケットセンターで購入できます。写真は2人分で購入しているので、6400フォリントで記載されています。

ツアー開始まで時間があったので、近くの売店でケバブを食しました。これがかなり美味しかったです。


時間になりましたので、入り口に集合です。いざ内部へ!

地下に降りて行きます。気温が一気に下がります。上着必須ですね。

スケールがデカいです。気の遠くなるような時間をかけて形作られた自然の芸術作品です。

結構な人数の参加ですね。ハンガリー語ガイドさんの説明を皆さんしっかり聞いてます。全く分かりません…(笑)。

天井から伸びているつららのような岩石は、「鍾乳石」と言います。水に溶かされた石灰岩が長年かけて固まったものです。


地面には、大きなたけのこ状の岩石があちこちにあります。これらは「石筍(せきじゅん)」というもので、天井からしたたる水に含まれる石灰分が、沈澱して固まったものです。


鍾乳石と石筍が繋がってるものもありますね。天井を支える柱のようです。





ハンガリー語のガイドなので、解説は全く分からず。所々笑いも起きてましたが、多分鍾乳洞の岩の形が何かおかしなモノに見えるみたいな話でしょうか?取りあえず一緒に笑ってみましたよ(笑)。
幻想的な音の世界
バラドラ洞窟には「コンサートの広間」という場所があり、洞窟の天然の音響を使ったコンサートも定期的に開かれてるようです。
ここがコンサートの広間です。

ちゃっかりイスが用意されていました。

生演奏ではないですが、大音量の音楽を流して洞窟の幻想的な音響を楽しめるイベントもツアーに組み込まれてました。
大音量が洞窟中に響き渡り、その反響を身体でダイレクトに感じることができます。本当に感動的でした。画像のみだと伝えられず残念です。
あっという間の60分でした。洞窟を出ると、まぶしい光とともに広大な景色が目に飛び込んできました。

ツアー後はビール1杯引っ掛けて、ミシュコルツへ帰還です。

まとめ
アグテレク・カルスト洞窟のまとめです。
- ミシュコルツから日帰り可能
- ヨーロッパ最大級の鍾乳洞なのでかなり大きい
- 鍾乳洞は寒いので薄手の上着1枚必須
- ツアー参加なので危険はほぼない(ツアーの種類は3つある)
- ハンガリー語ツアーしかないのが残念
- コンサートの広間での天然の音響が感動的
以上となります。