カミーノ・デ・サンティアゴ(サンティアゴ巡礼路)とは、キリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼路のことです。
1000年以上の歴史を持ち、数多くの巡礼路があります。現在では信仰心だけでなく、健康や観光目的で歩く人も多く、2024年は過去最高の約50万人が巡礼しています。
この記事ではカミーノ・デ・サンティアゴの歴史や魅力、主な巡礼路、準備すべきものなどを紹介していきます。
カミーノ・デ・サンティアゴの歴史
「カミーノ・デ・サンティアゴ」(サンティアゴ巡礼路)とは、キリスト教三大聖地の1つであるスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼路のことです(他の2つの聖地はイェルサレム、バチカン)。
「カミーノ」は道や行程を意味します。「サンティアゴ」とは、イエスの十二使徒の一人である聖ヤコブのスペイン語読みです。
紀元44年ヤコブはユダヤ人からの迫害を受け、十二使徒の中で最初の殉教者となりました。伝説では、弟子たちがこっそり遺体をスペインのガリシア地方へ運んで埋葬したと言われています。その後813年に聖ヤコブの墓が見つけられ、その場所にアストゥリアス王国のアルフォンソ2世が教会を建て、カンポ(野原)とステーラ(星)からなる「コンポステーラ」という地名が付けられたと言われています。
初めてサンティアゴ・デ・コンポステーラへ巡礼した人物はアルフォンソ2世です(プリミティボの道)。10世紀後半頃からキリスト教の聖地であるイェルサレムへの巡礼が困難になり、ヨーロッパの人々はサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼に注目するようになりました。


また、当時のイベリア半島はイスラム勢力の支配下にあったため、巡礼路はキリスト教圏である北部を中心に整備されていきました。
戦乱や宗教改革などでカミーノ・デ・サンティアゴは下火になった時期もありましたが、時代が経つにつれ多くの巡礼路が整備され、主要なルートだけでも10本以上あります。現在では年間30万人が巡礼(2024年は50万人)しています。巡礼路にある歴史ある街並みや山や海の絶景に多くの人が魅了されています。
全体マップと主な巡礼ルート
以下はカミーノの全体マップと主な巡礼ルートです。スペイン国内だけでなく、国境を越えて様々な道が相互に絡み合っています。地図に表記したものは主なもので、これ以外にも多数の巡礼ルートが存在しています。

①トゥールの道/②リモージュの道/③ル・ピュイの道/④トゥールーズの道
⑤フランス人の道
⑥アラゴンの道
⑦北の道/⑧プリミティボの道
⑨イギリス人の道
⑩銀の道/⑪サナブレスの道
⑫ポルトガルの道
⑬フィステーラ・ムシアの道
フランス国内の巡礼路①~④は「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」として世界遺産に登録されています。ル・ピュイの道の一部のルートと、4つの巡礼路にある様々な歴史建造物が構成資産となっています。
スペイン国内の巡礼路である⑤フランス人の道、⑥アラゴンの道、⑦北の道、⑧プリミティボの道は「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路:カミーノ・フランセスとスペイン北部の巡礼路群」として世界遺産に登録されています。各巡礼ルートと歴史建造物、合計2000件以上の構成資産から成ります。
ちなみにゴールであるサンティアゴ・デ・コンポステーラも「サンティアゴ・デ・コンポステーラ旧市街」として世界遺産に登録されています。
実際に自分が歩いた道はポルトガルの道ですが、主な巡礼路のざっくりした経路やポイントなどまとめましたので1つずつ紹介していきます。
フランス国内の4つの道
フランス国内の4つの巡礼ルートです。サンティアゴを目指す人はあまり歩かないかもしれませんが、世界遺産にもなっているルートなので取り上げました。フランス内の主要都市から始まり、どの道もスペインとの国境沿いにあるピレネー山脈を目指します。以下は経路の簡単な地図となります。

トゥールの道
パリ〜サン・ジャン(約950km)
→フランス人の道へ(サンティアゴまで約780km)
リモージュの道
ヴェズレー〜サン・ジャン(約900km)
→フランス人の道へ(サンティアゴまで約780km)
ル・ピュイの道
ル・ピュイ〜サン・ジャン(約800km)
→フランス人の道へ(サンティアゴまで約780km)
トゥールーズの道
アルル〜ソンポルト峠(約780km)
→アラゴンの道へ(約170km)→フランス人の道へ(サンティアゴまで約650km)
トゥールの道は平坦な道のりが多いですが、他の道はアップダウンの激しさなどから難易度高めの道のりです。ル・ピュイの道は特に景色が美しいと言われています。
トゥールの道、リモージュの道、ル・ピュイの道の3つは最終的にオスタバ・アスムで合流し、ピレネー山脈麓のサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ続きます。サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからはフランス人の道となり、ピレネー山脈のイバニェタ峠を越えてスペインに入国します。
トゥールーズの道はアルルからピレネー山脈のソンポルト峠までの道です。ソンポルト峠からはアラゴンの道となります。ピレネー山脈を越えてスペインに入国します。
フランス人の道(約780km)
フランス人の道は、フランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼ルートです。約780kmの道のりです。サン・ジャンからピレネー山脈を越えてスペインに入ります。以下は経路の簡単な地図となります。

フランス人の道はスペイン北部がイスラム勢力から奪還された後、11世紀後半頃に整備されました。フランス人の巡礼者が多く歩いたことからこの名前になっています。巡礼路の中でも1番知名度が高く、アルベルゲ(巡礼者専用宿)やレストラン、バーなども充実しています。
フランス人の道は、カミーノ・デ・サンティアゴを描いた映画「星の旅人たち」(2010年)の舞台でもあります。サン・ジャンからサンティアゴを目指します。主人公が亡き息子が辿るはずだった巡礼の旅をするお話で、切なくも心温まる映画です。好き過ぎてすでに4~5回は観てますね(実際歩いたのはポルトガルの道ですが…笑)。
フランス人の道
難易度:中級
- 特徴:ブルゴスやレオンといった歴史ある大都市を通り、観光も楽しむことができる(ちなみにブルゴスの大聖堂は世界遺産)。また、広大なメセタ台地や緑のある山道など表情豊かな巡礼路でもある。巡礼者も多いので孤独感はないが混雑はしている。巡礼証明書を取得するために、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで100kmの地点に位置するサリアから歩き始めるのは初心者の定番ルート。
- アップダウン:序盤のピレネー山脈越えがきつい。その後は小刻みなアップダウンが多い。
- アルベルゲ:人気の巡礼路なのでかなり多い。1日の歩く距離を調整しやすい。
アラゴンの道(約170km)
アラゴンの道は、ピレネー山脈のソンポルト峠からプエンテ・ラ・レイナまでの巡礼ルートです。約170kmの道のりです。プエンテ・ラ・レイナからはフランス人の道へ合流してサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します(約650km)。以下は経路の簡単な地図となります。

かつてアラゴン王国の首都だったハカを通る、中世から歴史のある巡礼路です。フランス国内にあるトゥールーズの道を歩く場合は、ピレネー山脈の途中でアラゴンの道に合流します。
アラゴンの道
難易度:中〜上級
- 特徴:ピレネー山脈の絶景など大自然を堪能できる。巡礼者はかなり少ないので混雑もせず静かな道のり。
- アップダウン:序盤のピレネー山脈越えがきつく、ハカ辺りまではアップダウンがしばらく続く。ハカを過ぎたあたりから平坦な道も増え、歩きやすくなる。
- アルベルゲ:少な目。計画的な準備が必須。
北の道(約815km)/プリミティボの道(約260km)
北の道は、イルンからアルスーアまでの海沿いの巡礼ルートです。約815kmの道のりです。アルスーアでフランス人の道へ合流しサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します(約40km)。また、ビジャビシオサから内陸へ向かい、オビエドから分岐してプリミティボの道へ行くこともできます。オビエドからメリデまでの道のりで約260kmです。メリデでフランス人の道へ合流しサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します(約60km)。以下は経路の簡単な地図となります。

北の道の歴史は中世に遡ります。当時イスラム勢力がイベリア半島を支配しており南部を通れなかったために多くの巡礼者が利用しました。
北の道
難易度:中〜上級
- 特徴:山や海の大自然やサン・セバスティアンをはじめとしたリゾート地など観光地も多く、フランスの道に次ぐ人気の巡礼路。ビジャビシオサで海沿いの道と内陸の道に分かれる。天候が不安定で雨が多い。サンティアゴ・デ・コンポステーラから200km地点にあるリバデオから歩き始める人も多い。
- アップダウン:山と海を行き来するルートなので激しいアップダウンが常時続く。
- アルベルゲ:充実してるが、全くない区間もあるため計画的な準備が必須。
プリミティボの道は、9世紀にアストゥリアス王国のアルファンソ2世がサンティアゴ・デ・コンポステーラへ訪れた際に利用した最古の道です。
プリミティボの道
難易度:最上級
- 特徴:アストゥリアス州の山岳地帯の手つかずの原風景を楽しめる。世界遺産のローマ城壁が残る街ルーゴを通る。天候が不安定で雨が多い。ルーゴからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでは100kmなので、巡礼証明書を取得するためにルーゴから歩き始める人もいる。
- アップダウン:ほぼ山道でアップダウンがかなり激しい。巡礼路の中でも1番難易度が高いと言われている。
- アルベルゲ:主要な村や街(15〜25km間隔)にはあるのでそこは安心。
イギリス人の道(約110km/約70km)
イギリス人の道は、フェロールまたはア・コルーニャからサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼ルートです。フェロールからは約110km、ア・コルーニャからは約70kmの道のりです。以下は経路の簡単な地図となります。

イギリス人の道の歴史は英仏百年戦争(1337〜1453年)の時代に遡り、イギリスから海路でフェロールやア・コルーニャに渡り、そこからサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指したことが始まりです。
2つの巡礼路はオスピタル・デ・ブルマの手前で合流し、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで続きます。
イギリス人の道
難易度:中級
- 特徴:港町フェロールの歴史ある街並みをはじめ、海沿いの美しい景色、ガリシア地方の素朴な風景などを楽しめる。巡礼証明書をもらうには100km以上歩く必要があるので、イギリス人の道を歩くほとんどの人はフェロールからスタートする。短期間で1つの道を歩ききることができるのも魅力的。
- アップダウン:全体的に適度なアップダウンあり(激しい区間もあり)。
- アルベルゲ:充実してるが、全くない区間もあるため計画的な準備が必須。
銀の道(約705km)/サナブレスの道(約370km)
銀の道は、スペイン南部の街セビーリャからアストルガまでの巡礼ルートです。約705kmの道のりです。アストルガからはフランス人の道へ合流してサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します(約270km)。また、途中グランハ・デ・モレルエラから分岐してサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指すサナブレスの道もあります。約370kmの道のりです。以下は経路の簡単な地図となります。

銀の道は古代ローマの街道に沿っており、金銀をはじめとした様々な物資が運ばれる交易路でもありました。イベリア半島がイスラム勢力から奪還された後、巡礼路として発展しました。
銀の道
難易度:上級
- 特徴:世界遺産の大聖堂があるセビーリャから始まり、ひたすら北上する。世界遺産のあるメリダ、カセレス、サマランカも通る。古代ローマ時代の交易路なので遺跡や石畳、またアンダルシアの平原、エストレマドゥーラの牧草地など見どころも多い。夏は40℃超え、冬は極寒なので歩く時期は限られる。
- アップダウン:適度であり全体的に平坦な道が多いが、長く単調な道が続くエリアも多く体力的・精神的にキツい道のり。
- アルベルゲ:少な目。30km以上ない区間もあるので計画的な準備が必要。
サナブレスの道は、中世のイスラム支配下でキリスト教徒が通った巡礼路です。銀の道のグランハ・デ・モレルエラから山間部を通っていきます。銀の道のアストルガ経由でサンティアゴ・デ・コンポステーラへ行くよりも距離は長くなります。
サナブレスの道
難易度:中〜上級
- 特徴:全体的に巡礼者は少なく静かで、山間部の大自然やガリシアの田園風景を楽しめる。オウレンセは温泉の街なので疲れた身体を休めることもできる。巡礼証明書を取得するために、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで100kmの地点に位置するオウレンセから歩き始める人もいる。
- アップダウン:山間部なのでそれなりに激しいアップダウンあり。
- アルベルゲ:充実してるが、全くない区間もあるため計画的な準備が必須。
ポルトガルの道(約600km)
ポルトガルの道は、ポルトガルの首都リスボンからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼ルートです。約600kmの道のりです。ポルトで海沿いの道と内陸の道に分岐します。以下は経路の簡単な地図となります。

ポルトガルの道は比較的新しく、ポルトガル王国成立後の14世紀頃に整備されました。
ポルトから分岐する海沿いの道は、最終的にスペイン国内のレデンドラで内陸の道と合流します。ポルトから歩く人が結構多いです(サンティアゴまで約270km)。自分もポルトから海沿いの道を歩きました。
ポルトガルの道
難易度:初級
- 特徴:首都リスボンから始まりトマール、コインブラ、ポルトなど世界遺産の歴史建造物がある街を通る。観光もできて近年人気上昇中の巡礼路。また、ポルトから分岐する海沿いの道では美しい海岸線を楽しめ、海鮮料理も美味しい。巡礼証明書を取得するために、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで100kmの地点に位置するトゥイ(スペイン)から歩き始める人も多い。
- アップダウン:平坦な道が多いので歩きやすい。
- アルベルゲ:全体的に充実しているので安心。1日の歩く距離も調整しやすい。
フィステーラ・ムシアの道(約90km)
フィステーラ・ムシアの道は、他の巡礼ルートとは違い、ゴールであるサンティアゴ・デ・コンポステーラからさらに大西洋の沿岸部分まで歩くルートです。もう1つのゴール地点と言えます。ドゥンブリーアでフィステーラ方面とムシア方面に分岐します。サンティアゴ・デ・コンポステーラからフィステーラ、ムシアまでは約90kmで、フィステーラ・ムシア間は約30kmあります。以下は経路の簡単な地図となります。

フィステーラ ・ムシアの道
難易度:初級
- 特徴:サンティアゴ・デ・コンポステーラから出発する「地の果て」への巡礼路。フィステーラとムシアは「真の終着点」とも呼ばれる。ガリシアの自然や荒々しく壮大な大西洋の景色を堪能できる。フィステーラ岬には「0kmポスト」があり、最高の夕日スポット。ムシアには海に面した教会があり、近くに「奇跡の岩」と呼ばれる聖母マリアの伝説にまつわる巨大な岩々がある。
- アップダウン:平坦な道が多いので歩きやすい。
- アルベルゲ:全体的に充実しているので安心。1日の歩く距離も調整しやすい。
クレデンシャルと巡礼証明書
クレデンシャルとは巡礼手帳のことです。スタンプラリー式になっており、巡礼路にある教会やアルベルゲ、飲食店、観光案内所などでスタンプを押してもらうことができます。クレデンシャルへのスタンプ押印は歩いた証明になります。ゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラの事務局で巡礼証明書をもらいたい場合は必須です。また、アルベルゲは巡礼者専用宿なので、宿泊する際はクレデンシャルの提示が必要です。
クレデンシャルは教会や巡礼関連の観光案内所、アルベルゲなどで購入できます。それなりに大きい所でないと販売してないかもですが。自分はポルトガルのポルトから巡礼スタートしたので、ポルト大聖堂で購入しました(2024年5月時点で2ユーロでした)。

また、「日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会」で事前に通販で買えます。購入した場所によってデザインが違うのでそれも楽しいですね。
以下が巡礼証明書になります。これを貰った時の達成感は半端ないです。自分の名前入りで貰えます(写真では消してます)。

巡礼証明書は無料ですが、これとは別に距離証明書(3ユーロ)、ケース(2ユーロ)も希望があれば購入できます。距離証明書には出発地点、巡礼路名、歩いた距離などが記載されます。自分の名前入りで貰えます(写真では消してます)。


サンティアゴ・デ・コンポステーラの事務局の場所は以下です。
事前にオンラインで出発地点や日時や動機など必要事項を入力しQRコードを取得しておけば、事務局ですぐに整理券が発行されるので、証明書の受け取りがスムーズです。
証明書の発行に必要な条件は以下となります。
- 同一ルートを100km以上歩き(自転車なら200km以上)、サンティアゴ・デ・コンポステーラに到達すること
- 上記を証明するためにクレデンシャルにスタンプの押印が必要で、1日1スタンプ以上、ラストの100km区間では最低1日2スタンプ以上が必要
フィステーラ・ムシアの道に関しては別の巡礼証明書があり、フィステーラまたはムシアの観光案内所などで発行してもらえます。
巡礼のポイント/費用/注意点など
巡礼するにあたりポイントや費用、注意点など解説していきます。
どの巡礼路を選ぶべきか?初心者にオススメの道は?
巡礼に確保できる日数、自分の体力、巡礼路の難易度などを考慮してルートを決めることが重要となります。
人気のフランス人の道はサン・ジャンからサンティアゴまで780kmの距離ですが、例えば毎日25km歩いたとしても1か月近くかかります。休養日を入れながら歩くと日数はもっとかかります。長期間になるため体力もそれなりに必要となります。
巡礼証明書の取得には100km以上歩くこと(自転車の場合は200km以上)が必要なので、初心者や体力に自信がない人はサンティアゴから100kmの距離にある街からスタートするのも良いと思います。1日20~25km歩くとすると日数的には5~6日程度で済みますので、短期の休暇でも十分カミーノを満喫できます。
クレデンシャルは特に有効期限はないので、自分の休暇を複数回利用して長期間にかけて歩くこともできます。また、途中でバスや電車を利用し最終的に合計100km以上歩く巡礼者もいます。
巡礼路の難易度に関しては、アップダウンの多さ、アルベルゲの数などが目安になります。どの道もエリアによっては多少アップダウンはありますが、特に北の道やプリミティボの道は厳しいアップダウンが多く、巡礼路の中でも難易度が高いと言われています。銀の道はアルベルゲが少なく、宿から宿への移動が30km以上になる区間もあるため難易度が高いです。
以上を踏まえた上で、初心者にオススメは以下の道となります。
- フランス人の道:アップダウンはそれなりにあるエリアもあるが、アルベルゲの数はかなり多いので1日の歩く距離を短く調整することができる。巡礼者も多く孤独感がない。初心者はサンティアゴまで100kmの地点であるサリアから歩くのがオススメ。
- ポルトガルの道:基本的に平坦な道が多く歩きやすい。アルベルゲも充実してる。初心者はサンティアゴから100kmの地点であるトゥイから歩くのがオススメ。
- イギリス人の道:全体的には適度なアップダウン(一部のエリアは激しい)。アルベルゲも充実してる。出発地点のフェロールはサンティアゴから110kmなので短期間で巡礼したい人にはオススメ。
あとは行ってみたい街、観てみたい景色などを考慮して巡礼ルートを決めるのも大事なことだと思います。
宿はどうするか?
巡礼路には巡礼者専用の宿アルベルゲがあります。基本素泊まりでドミトリーのようになっており、連泊はできません。宿泊するにはクレデンシャの提示が必要となります。

アルベルゲには公営と私営があります。公営は教会や修道院、各地の町や村が経営しており、10ユーロ前後で宿泊できるところが多いです。予約はできないため、早いもの勝ちとなります。私営は公営よりも料金は上がります(15~20ユーロくらい)が、洗濯機や乾燥機などの設備が整っていたり、オンラインや電話で予約できるものもあります。
また、各町や村にはアルベルゲだけでなくゲストハウス、ホステル、ホテルなどがある場合もあります。個室に泊まりたかったり、アルベルゲが満員だった場合の選択肢として使えます。
アルベルゲはお昼過ぎから夕方にかけて受付が始まりますが、巡礼者が多い時期や人気の巡礼路では夕方頃にはすでに満員になることも多いです。長い距離を歩いた後に宿を探しまわるのも大変なので、前もって予約していくと気持ち的にも楽かもしれません。
おすすめ時期は?
歩く時期は春(4~6月)か秋(9~10月)がオススメです。気候が穏やかで混雑も少な目なので歩きやすいです。
夏はバカンスの時期で混雑するのと猛暑なので体力的にも厳しい巡礼となります。日中30℃超えも当たり前にあり、巡礼路よっては40℃近くになるところもあります(銀の道など)。猛暑ではありますが、7~8月は年間で巡礼者が一番多い時期になります。
また、冬は山間部では雪が降り、道が閉ざされることもあります。冬は休業するアルベルゲもあるので巡礼の難易度が上がり、通常時より遭難する可能性が高まります。
費用は?
巡礼にかかる主な費用は、宿泊費と食費です。
宿泊費は、安く抑えるなら公営アルベルゲを利用することです。その場合は10ユーロ前後です。自分はポルトガルの道を歩きましたが、私営のアルベルゲもしくはホテル、ゲストハウスを利用したので平均すると1日15~20ユーロほどかかりました。アルベルゲはカミーノ専用のサイトやアプリなどで探すことができます。
食費ですが、自分の場合は朝は前日に購入したパンやバナナなど(1ユーロ前後)、お昼は巡礼の途中にあるレストラン(10ユーロ前後)またはスーパーでサンドイッチやパンなど(2~5ユーロ)、午後はカフェで休憩(2ユーロ前後)、夜は宿泊する街のレストラン(10~15ユーロ)、といった感じでした。レストランには巡礼者用のメニューもあったりして安く食べれる場合もあります。日によってはカフェ休憩多めに取ったり、ランチが高かった場合はディナーを節約したりして、平均して大体1日25ユーロ前後でした。
また、洗濯は基本手洗いでしたが、たまに宿の洗濯機や街のコインランドリーを利用しました。乾燥機込みで1回6ユーロ前後はかかったかなと思います(アルベルゲの洗濯機はもっと安い)。
以上を踏まえると、あくまで自分の場合ですが、1日の費用は大体40~50ユーロかなと思います。日本円で考えると7000~10000円あれば十分かなと(日本円はどんどん弱くなっており悲しいです)。
道に迷うことはあるか?
巡礼路によっては山道や街の狭い路地など通ることもありますが、基本的には以下の写真のような道標(モホン)がたくさんあるので、それ通りに進めば問題ないです。スペインのガリシア州へ入るとモホンにはサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの距離も表記されます。
あとはカミーノのサイトやアプリなどでかなり細かく巡礼路が分かるので、いつでも見れるよう準備しておくと良いです。特に巡礼者が少ない時期やエリアでは安心です。残念ながら毎年遭難して命を落としてしまう方もいるので、準備はしっかりしていき、無理はしないことが大切です。
巡礼者同士の挨拶
巡礼者同士の挨拶は「Buen Camino!」(ブエン・カミーノ)です。スペイン語で「よい巡礼を!」という意味で、巡礼中一番多く使う言葉になると思います。
巡礼者に会ったらまずは「Buen Camino!」です。これだけで同じ目的を持った仲間同士という意識が芽生え、頑張って歩き切ろうという気持ちにもなれます。
自分はポルトガルの道を歩きましたが、ポルトガルでは主に「Bon Caminho!」(ボン・カミーノ)が使われていました。Buen Caminoのポルトガル語バージョンで意味は同じです。
便利アプリ・サイト
カミーノ・デ・サンティアゴで使った便利アプリとサイトを紹介します。各巡礼路の細かいマップ、次の街までの距離、アルベルゲ情報、教会や観光スポットやレストランなどの施設情報、道のアップダウンなど知ることができます。
Camino Ninja

とにかく見やすくて重宝していました。主に距離の計算やアップダウンを調べるときに使っていました。

Buen Camino

巡礼者が一番多く利用しているアプリかなと思います。操作が少し分かりくいですが、巡礼路の細かいマップを見る時に使っていました。対応している巡礼路は「Camino Ninja」よりも多いです。
ルートヒストリー

カミーノに必須のアプリではないですが、自分が歩いた道がリアルタイムで記録されるので、後で見返したりする時に便利でした。メモも入れれるので、途中で立ち寄った教会やカフェなども記録できます。オフラインで使用可能です。

カミーノ情報サイト
カミーノに関するサイトをいくつか紹介します。この記事を書く時にも参考にさせていただきました。最初の2つのサイトは日本語です。
準備すべき持ち物
巡礼するにあたり、最低限準備すべき持ち物を紹介します。持ち物はできる限り軽くすると歩くのが楽になります(荷物を次の街へ送るサービスもあり)。7〜8kg以内が理想的です(自分は5kgでした)。現地で調達できるものもあるので、必ずしも最初から持っていなくてよいものもあります。
- バックパック:30〜40リットル程度のもの。腰ベルトがあれば重さが分散されるので歩くのが楽になる。
- 衣服類/タオル:洗濯は夕方以降になることを考えて速乾性のものがよい。手洗いだと乾かない場合もけっこうあるので3着はあるとよい。また防寒のために羽織が1枚あるとよい。
- 靴:履き慣れたもので、トレッキングシューズがよい。さらに防水仕様だとよい。
- 雨具:傘よりもリュックもカバーできるポンチョがよい。防寒にもなる。
- 帽子やサングラス:日差し防止のため必須。
- 寝袋:アルベルゲでは必須。夜は冷えることも多い。
- トレッキングポール:山間部やアップダウンの激しい巡礼路では必須。歩行が安定する。2本あるとよい。
- サンダル:アルベルゲなど宿で使える。
- 洗濯ばさみ/ひも:手洗いで洗濯して干す時にあると便利。アルベルゲに備わっている場合もある。
- 救急セット:まめができた時のためのバンドエイドやテーピング、痛み止めや消毒など。
- 虫除け:宿でのダニや南京虫対策であった方がよい。痒み止めもあるとよい。
- クレデンシャル:スタンプラリー式の巡礼手帳。巡礼者であることの証明になり、アルベルゲに宿泊する時や巡礼証明書を取得するために必要。持ち歩くとボロボロになりやすいのでジップロックなどに入れて管理すること推奨。











