2023年4月のカンボジア旅行記です。
世界遺産「アンコール」観光です。中心のアンコール遺跡群から南東に位置するロリュオス遺跡群の1つ「ロレイ」を訪れました。ロレイは大貯水地(現在は枯れている)の中の小島に建てらた寺院です。
世界遺産アンコールの全体の解説はこちら。アンコール朝の歴史と世界遺産を構成する各寺院を紹介しています。

ロレイとは?
創設年 | 893年 |
創設者 | インドラヴァルマン1世、ヤショーヴァルマン1世 |
宗教 | ヒンドゥー教シヴァ派 |
形態 | 平地式/展開式 |
建築材 | レンガ |
ロレイという言葉はハリハラーラヤが訛ったものと言われています。アンコール朝最初の首都ハリハラーラヤにて建設されました。ちなみにハリハラーラヤは「ハリハラの都」という意味で、ハリハラはシヴァ神とヴィシュヌ神の合体神です。ハリハラーラヤ時代の寺院遺跡は、ロリュオス遺跡群と呼ばれており、「プリア・コー」「バコン」「ロレイ」の3寺院により構成されます。
ロレイは、インドラヴァルマン1世により造られた大貯水地「インドラタターカ」の小島に建設されたヒンドゥー教シヴァ派の寺院です。インドラヴァルマン1世の時代にほぼ出来上がっており、次の王ヤショーヴァルマン1世(在位889〜910年)が完成させました。ヤショーヴァルマン1世は、現在アンコール遺跡群のあるエリアに都ヤショーダラプラに造った王として有名です。
大貯水地インドラタターカは今は枯れていますが、大貯水地の小島の寺院が、ヒンドゥー教の神話において世界の海に囲まれる神々の住む須弥山を表現したものと言われています。大貯水池に寺院を建てるという形式は、後の東西メボンに引き継がれました。
寺院は4基のレンガ祠堂群が中心となっており、その真ん中にリンガが祀られています。
以下ではクメール建築を楽しむためのポイントを紹介しています。ご覧ください。

場所・料金・営業時間
「プリア・コー」「バコン」「ロレイ」からなるロリュオス遺跡群は、アンコール遺跡群の南東、シュムリアップからは東へ約13kmあたりに位置します。ロリュオス遺跡群は、アンコール観光の小回り・大回りコースに入っていない遺跡群です。トゥクトゥクのドライバーにお願いしてシェムリアップからロリュオス遺跡群まで往復18ドルで連れて行ってもらいました(2023年4月時点)。
3つの遺跡は近いので、もしロリュオス遺跡群へ行ったら3つまとめて観光すると良いと思います。
ロリュオス遺跡群の寺院は「アンコールパス」というチケットで入場できます。
チケット詳細とおすすめ観光ルートを以下の記事で紹介しています。

ロレイの営業時間は7:30〜17:30です。
ロレイの全体マップ
ロレイは4基のレンガ祠堂群を中心とした構成です。祠堂の真ん中にリンガが祀られています。かつては大貯水池の小島に建てられていましたが、現在では枯れています。観光の所要時間は30分が目安です。

4基のレンガ祠堂群
東側から入ります。世界遺産のモニュメントです。

2基しかないように見えますが、全部で4基のレンガ祠堂群です。

半壊している祠堂もありますね。

祠堂の東側以外は全て装飾用の偽の扉となっています。

敷地内には後年建てられた仏教寺院ワット・ロレイがあります。仏塔も見えます。

かつての水路の跡のようです。

儀式に使われたリンガ
4基の祠堂の中心にはリンガが祀られていました。

リンガは砂岩製で、水が通る十字の管の交差点に位置してます。リンガの上から流された聖水が四方の管を経て、大貯水地インドラタターカに流れ込むという儀式が行われてました。クメール王国の農業を支える治水技術、王の権威を象徴しています。


美しいレリーフ
美しいデバターのレリーフです。指先まで繊細に描かれています。同時期のプリア・コーのレリーフと似ていますね。


開口部まぐさのレリーフです。ガルーダの口からナーガが出ています。

偽扉まぐさのレリーフです。こちらはカーラの口からナーガが出ています。

崩壊した建物のまぐさのみ置いてありました。ガルーダとナーガが描かれています。

こちらは入口付近にあったまぐさです。祈りを捧げる人々のレリーフです。ヒンドゥー教か仏教かは分かりません。

まとめ
世界遺産ロリュオス遺跡群の「ロレイ」観光のまとめです。
- かつて大貯水地の小島にあった寺院
- 貯水地に寺院を建てるという構成は後の東西バライに受け継がれた
- 4基のレンガ祠堂の真ん中にリンガがあるという変わった構成
- 観光の所要時間は30分が目安