2024年4~5月のポルトガル旅行記です(料金は2025年10月調べのものを記載してます)。
リスボンから日帰りで世界遺産「シントラの文化的景観」へ行きました。シントラの世界遺産で訪問したのは、ペーナ宮殿、ムーアの城跡、レガレイラ宮殿です。まず朝一にペーナ宮殿を訪問し、続いてすぐ近くのムーアの城跡へ。ムーア城はイスラム教徒により建造された中世の城塞です。また、天空の城塞とも呼ばれ、シントラの絶景を眺めることができるスポットとなっています。
この記事ではムーアの城跡の見どころや歴史、行き方や料金など解説していきます。
世界遺産「シントラの文化的景観」の全体の解説は以下から。

ムーアの城跡の歴史
世界遺産ムーアの城跡(Moorish Castle)の簡単な歴史解説です。
ムーアとは、イベリア半島や北アフリカのイスラム教徒(アラブ人やベルベル人)であるムーア人のことです。キリスト教徒から見たイスラム教徒の呼び名になります。
ムーアの城はイベリア半島がイスラム勢力の支配下にあった8〜9世紀頃に山頂に建造されました。

キリスト勢力によるイスラム排除運動「レコンキスタ」が大きく進展していた1147年、ポルトガル初代国王アフォンソ・エンリケスによりムーアの城は占領されました。
それ以降ムーア城にはイスラム教徒に代わりキリスト教徒が住むようになり礼拝堂なども建造されました。しかしレコンキスタが終結し、住民がシントラの村へ移り住むにつれ、要塞としての機能も失われ、徐々に放棄されていきました。
1755年リスボン大地震により大きな被害を受けました。
19世紀になり、ペーナ宮殿を建造したポルトガル王フェルディナンド2世によりムーアの城は修復されました。
1976年以降様々な考古学調査が行われて、当時の住居跡や埋葬地などが発見されました。
1995年に「シントラの文化的景観」の構成資産として世界遺産に登録されました。
ムーアの城跡の行き方
ムーア城跡への行き方ですが、シントラ駅前からScotturb社の巡回バス434番で行くことができます。始発は8:50で、10分置きに出ています。自分は最初にペーナ宮殿に行ったのですが、その後巡回バスに乗るとまたシントラ駅経由になり時間がかかるため、ペーナ宮殿から歩きました。歩いて5〜10分程度なので近いです。

自分はリスボンから日帰りでシントラへ行きましたが、リスボン・シントラ間の電車とシントラ観光のバス(434/435番)が乗り放題になるお得なチケットを使いました。巡回バスの乗車料金は1回4.55~5ユーロと高めで、数回乗るなら乗り放題チケットを買った方がお得です。詳しい解説は以下から。

ムーア城跡の最初の入口から少し歩くと城内へ行くことができます。

ムーアの城跡の入場料金と営業時間
ムーアの城跡の入場料金と営業時間は以下となります(2025年10月調べ)。2024年4月時点は10.2ユーロでしたが、現在は少し値上がりしてます。
- 入場料金:12ユーロ
- 営業時間:9:30~18:00(最終入場17:30)
詳細は公式サイトにて(オンライン15%割引あり、日にち指定での予約が必要)。リスボアカードがあれば15%割引になりますが、無料にはならないのでお得感は低いです。
事前予約する場合は日程を指定する必要がありますが、ペーナ宮殿みたいに時間ごとに入場規制はないので、当日現地でチケット購入もありかなと思います。現地では自動券売機もあります。自分はオンラインで割引があったので前もって予約してから行きました。
また、旅行・レジャー予約サイトのKLOOKにて、ムーア城跡の入場チケットやツアーなどもありますのでこちらもチェックしてみてください。→KLOOKで予約!
ムーアの城跡の全体マップ
ムーアの城跡の全体マップです。公式サイトからDLできます。ペーナ宮殿からも近いですね。最初の入口から入って少し歩くと城内のエントランスへ行けます。⑱のロイヤルタワーがムーアの城跡で一番高い場所になり、そこからペーナ宮殿やシントラの景色を眺めるのはとても気持ちが良いです。まさに天空の城塞といった感じです。観光の所要時間は1時間~1時間30分くらいかなと思います。


城内まで
入口から入って城内に行くまでは少し歩きます。自然に囲まれてとても心地よい道のりです。

ムーア城内に行くまでにも史跡がたくさんあるので、いくつか紹介します。
こちらは第二環状壁(2nd Ring of Walls、マップ②)です。ムーアの城がキリスト教勢力により征服された後、さらなる防壁として追加されたものです。

穀物の貯蔵庫サイロ(Silo、マップ④)です。サイロはイスラム教徒により持ち込まれ、ムーア城の至る所で見ることができます。人々が定住していたことがわかる遺構です。

キリスト教徒の墓地(Tomb、マップ⑥)です。19世紀のフェルディナンド2世によるムーア城の修復の際に教会のキリスト教徒墓地の一部が損壊されたため、そこで発見された遺骨を納めるための墓が建てられました。かなり見にくいですが、ドクロマークの上には三日月と十字架が刻まれ、下には「人間が集めたものは神のみが区別できる」という碑文が刻まれているとのこと。これは発掘された遺骨がキリスト教徒のものかイスラム教徒のものか判別できないことを示しています。

キリスト教徒の墓地の向かいにある教会(Church、マップ⑦)です。アフォンソ1世のムーア城征服後の12世紀に建造され、14世紀頃まで礼拝の場として使われていました。現在はムーアの城の解説センターになっています。展示も少しあります。


中世キリスト教徒の墓地遺跡(Christian Medieval Necropolis、マップ⑧)です。ガラス張りになっててあまり細かく見れないですが、元々イスラム教徒が住んでいた地区の上にキリスト教徒の墓地が造られました。ここではイスラム教徒の住居跡や新石器時代の遺物も多く発見されています。

城壁が見えてきました。

城塞を登って絶景へ
ムーアの城内部へ入ると、まずエントランスがあります。ここでチケットを見せて入場します。ここでもチケットは買えます。

城壁の高い所へ行くためにまずはまっすぐ進みます。風が強いです。

これは裏切りの扉(Traitor’s Gate、マップ⑰)です。戦争が発生した場合、裏切りの扉は外部へアクセスを可能にし、最終手段として逃亡することもできました。逆にここから敵が内部に侵入することもできたため「裏切り」という名前が使われました。


城塞を登っていきます。ムーア城のメインの見どころであるロイヤルタワー(Royal Tower、マップ⑱)に行くため、左側の城壁沿いの階段から登っていきます。

ちょっと大変ですが、休みつつ登ります。

ロイヤルタワーに到着です。休みつつ行っても15分程度で登れます。フェルディナンド2世が創作のインスピレーションを求めてここを訪れ、余暇を過ごすのに好んだ場所だったと言われています。

ムーア城から見るシントラの広大な景色です。最大の見どころです。とても気持ち良いです。右下に見える建物はシントラ宮殿です。

城壁もしっかり見えます。

大きい岩がゴロゴロありますが、これらをカットして城壁の材料にしていたんでしょうね。

ペーナ宮殿も見えます。ペーナ宮殿も結構高い所に建っていますね。それにしても奇抜…。

貯水池と考古学エリア
続いてエントランス近くへ。かつての貯水池や住居跡が見学でき、こちらもムーア城の見どころの1つです。また、カフェがあるので休憩もできます。

地下には貯水池の遺構(Cistern、マップ⑬)があります。

石造りです。13世紀に建設されたと考えられています。今でも水が溜まっています。

アーチ型の構造で教会みたいですね。天井には穴が開いています。ここから雨水が入り、貯水されるという仕組みのようですね。

外に出ると分かりますが、2つある井戸が貯水池の天井部分となっています。

他に地下には考古学エリアがあって、イスラム時代の住居の遺構などが見学できます。これは穀物の貯蔵庫サイロです。

何に使われていたか分かりませんが、分けられた小さな部屋などがあります。ここで人が住んでいたというが分かる貴重な資料です。


まとめ
世界遺産ムーア城跡の観光・見どころのまとめです。
- 山の頂上に建てられた天空の城塞であり、最大の見どころは城壁から眺めれるシントラの絶景
- イスラム時代の住居跡やキリスト教墓地など考古学的に貴重な遺跡がたくさんある
- 観光の所要時間は1時間~1時間30分くらい