2022年6月のハンガリー旅行記です。
ブダペストの西に位置するパンノンハルマ市。小高い丘の上に、ハンガリー最古の歴史的建築の修道院があります。1000年以上の歴史を持つ世界遺産です。ハンガリーのカトリック教会の文化を物語る建物といえますね。
ブダペストから日帰りで訪れてみました。そのレポートです。
世界遺産パンノンハルマ大修道院とは?
登録名 | パンノンハルマの千年の歴史をもつベネディクト会大修道院とその自然環境 |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4)、(6) |
登録年 | 1996年 |
パンノンハルマの大修道院は、「パンノンハルマの千年の歴史をもつベネディクト会大修道院とその自然環境」として1996年に世界文化遺産に登録されました。
修道院がメインですが、その周辺にはかなり広範囲に植物園やブドウ畑があり、その景観も含めて世界遺産に登録されています。
地図だと以下の黄色線の範囲内が世界遺産となっています(ユネスコのサイトより引用)。
パンノンハルマ大修道院の歴史
大修道院は、996年にハンガリー初のベネディクト会修道院として建設されました。ベネディクト会はカトリック教会最古の修道会です。
建設を命じたのはゲーザ公。ハンガリー王国建国者のイシュトヴァーン1世のお父さんです。
13世紀頃以降、ゴシック様式での改築を経て、16〜17世紀のオスマン帝国支配時代には要塞となりましたが、その後修道院として復活しました。図書館や塔なども増築され、19世紀初頭に今の形になったとのことです。
現在も修道士達が共同生活をしており、また併設されているギムナジウムでは一般教育も行われています。
ブダペスト→ジェールへ
ブダペストからのアクセス方法の紹介です。日帰り可能です。鉄道とバスを使っていくことができます。
ブダペスト東駅(Budapest-Keleti)から鉄道を使って、まずはジェール(Györ)駅まで行きます。東駅へは地下鉄やバスで簡単にアクセスできます。これまた立派な駅ですね。
駅内の券売機でチケット購入しました。乗車券と指定席券に分かれています。乗車券は2394フォリント。指定席券は2人分で買ったので1枚になってますが、1人当たり480フォリントです。
電車が来たので、車両を確認して乗ろうとしたのですが、なんと…車両自体がない!電車は合っているのに、チケットに印字されている車両が全く見つからず。係の人に聞いてもそんな車両はないと言われます。時間もないので取りあえず乗車しました。
車掌さんに聞いてみたら、「今日はごめん、好きなところ座ってよいよ」的なことを言われました。何かトラブルがあったようですね。座れない乗客で少しごった返していました。
ジェール→パンノンハルマへ
ジェール駅に着いたら、すぐ目の前の大きなバスターミナルがあります。Google先生によれば、ここからパンノンハルマ大修道院の目の前で止まるバスに乗ることができます。ナンバー7030のバスに乗って「Pannonhalma, vár főkapu」というバス停で降りれば目の前が大修道院です。
いまいちどれに乗ればいいか分からなかったので、チケットカウンターにて「修道院まで行きたい」と伝え、乗車券を購入しました。
しかし乗車券を見てみると、行き先がパンノンハルマ大修道院から少し離れたところのバス停(修道院のある丘の麓あたり)。バスのナンバーは7030なのですが…。
まあ少し歩けばよいかと思いなおし、いざ乗車!
田舎の風景ですね。よきよき。
パンノンハルマに着。やはり麓に到着でしたね。遠くに修道院が見えます。天気も良いし、テンションが上がってきます。
ちなみに帰りは修道院の目の前にあるバス停から、ジェールに帰れました。
丘を登り大修道院へ
小高い丘の上にあるパンノンハルマ大修道院まで、ひたすら歩きます。世界遺産マーク発見。このマークの方向へ行けばよいですね。
途中日本の国旗がデザインされてるレストランがありました。日本料理出してるのかは分かりません。
遠くに大修道院が見えます。ひたすら登ります。歩道がないし、人もいないしなので、多分ルートが間違ってるのかもですね。
ようやく到着です!エントランスはどこかな。目の前の門のアーチを潜って向かいます。
入場料は2200フォリント(2022年6月時点)。オーディオガイド(日本語あり)があると聞いてましたが、コロナ禍のせいか、配ってない様子でした。チケットはここではなく、少し先に行ったところで購入できました。
チケットを購入し、エレベーターで上へ登ると大修道院の入口へ。遠くから見えていた塔がついに目の前に。デカい!これは時計塔で、19世紀に建造されたものです。そしてここから眺める風景もまた格別でした。
チケット購入後、分かりやすいガイドマップを貰いました。こういうのはありがたいですね。記念にもなりますし。
観光できるのは、
- バシリカ式聖堂→A
- クリプト(地下礼拝堂)→B
- 中庭を囲む回廊→C
- 図書館→D
という感じでしょうか。順番に観光しましたので、紹介していきますね。
バシリカ式聖堂
バシリカ式聖堂へは、時計台の入り口ではなく、少し右にある重厚な扉から入ります。上部の孔雀の彫り物が圧巻です。
内側から扉を見ると、孔雀の部分は美しいステンドグラスなんですね。外からはわかりませんでした。
少し進むと聖堂への入り口があります。
パンノンハルマ大修道院に付属するバシリカ式聖堂は、13世紀頃の創建です。その後改築もされてますが、初期ゴシック様式を伝える建造物です。
バシリカ式とは初期のキリスト教会の建築スタイルで、構造としては長方形型になっています(上から見ると十字架の形)。細身の回廊(広間)があって、奥にアプス(祭壇がある半円部分)がある様式となります。ヨーロッパの多くの教会がこの形式になっていますね。ゴシックとかロマネスクとか建築様式は色々ありますが、平面図は大体このバシリカ式を基本としています。
内部は暗く、少し重厚感があります。柱が並ぶ細い回廊の先にたくさん光が集まっています。
アプスに近づくと、自然光がたくさん入ってくるのが分かりますね。天井を支えるアーチの部分やリブ・ヴォールトなどゴシック様式の特徴が見られます。
天井のフレスコ画は19世紀頃のものらしいです。
ステンドグラスも素晴らしいですね。
聖ベネディクトゥス礼拝堂です。ベネディクトゥスは、ベネディクト修道会の創設者です。天井が魅力的ですね~。
こちらは処女マリアに捧げる礼拝堂です。マリアがキリストを抱いています。
並んでいるステンドグラスが綺麗ですね。
クリプト(地下礼拝堂)
クリプトとは地下礼拝堂のことです。聖人等の遺骸や聖遺物を安置し、礼拝する目的で地下に設けられた空間です。
祭壇のあるアプスあたりから地下に降りることができます。とても冷んやりした空間で、一気に空気が変わりました。そして美しいです。修道院の最初期の姿を伝える貴重な空間です。
地下から聖堂を覗けます。
中庭を囲む回廊
聖堂から出て、回廊へ行きます。聖堂と回廊を繋ぐ門が非常に豪華です。スペキオサ門と言います。
回廊は小さい中庭を囲んでいるので、割と小さめです。中世ではこの中庭でハーブが育てられていたとのことです。
顔がありました。
回廊の一部に小さな礼拝堂もありました。聖イシュトヴェーン礼拝堂です。イシュトヴァーンとマリアが描かれています。
図書館
一旦外へ出て、付属の図書館へ行きます。
何やらごつごつした石が展示されていますが、以前建物に使っていたものでしょうか?その奥に図書館への入り口が見えます。
図書館内部ですが、想像を超えてきましたね!すごいです…。天井のフレスコ画も存在感あります。実はこれ凹凸があるように見えますが、騙し絵(トロンプルイユ)です。平面らしい…。騙されました(笑)。
この付属図書館は、19世紀のアタマくらいに完成しました。現在40万巻ほどの蔵書らしいです。ものすごい量です。宗教に関するもの以外の書物も豊富とのことです。知の宝庫ともいうべき場所ですね。
まとめ
パンノンハルマ大修道院のまとめです。
- ブダペストから日帰り可能
- 修道院からの眺める景色が素晴らしい
- 修道院最古の建造物のクリプトは見るべき
- 図書館が圧倒的
以上となります。帰りにジェールの街をぷらぷらして帰るのもよいですね。
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