2022年6月のハンガリー旅行記です。
ハンガリー南部にある町「ペーチ」(Pécs)。ペーチュとも呼ばれます。国内第5位の人口を持つ地方都市です。
ここには世界遺産である「初期キリスト教墓所」があることで有名です。また、オスマン帝国に支配されていた時代も長かったので、イスラムの影響を残している街でもあります。
街歩きしましたので、そのレポートです。「初期キリスト教墓所」は別記事で紹介しています。ペーチへのアクセスもそちらに記載してあります。
ぺーチの歴史
ペーチには一帯に古代の定住の跡が見られ、考古学上最古の定住は6000年前と言われています。
1世紀以降、古代ローマ人が侵入する前は元々ケルト人が住んでいました。ハンガリー一帯がローマ帝国の属州「パンノニア」になることで、ペーチは「ソピアナエ」と呼ばれる地域となりました。
4世紀頃からキリスト教の墓地や地下礼拝堂が作られ、重要なキリスト教徒の都市となりました。これらが現在世界遺産として登録されています。
11世以降、ハンガリー王国成立後も重要なキリスト教の街として、大聖堂や修道院などが建てられ、14世紀にはハンガリー初の大学が建造されました。
1526年のモハーチの戦い(オスマン帝国VSハンガリー王国)の後、オスマン帝国のスレイマン1世はペーチを占領し、聖堂はモスクへと変えられ、街は再建され要塞化しました。
オスマン帝国撤退後はオーストリア=ハンガリー帝国となり、実質ハプスブルク家の支配となりますが、街は、産業、貿易、ブドウ栽培、製造業などでゆっくりと繁栄していきました。
2つの世界大戦と社会主義時代を乗り越え、現在では16万人ほどの大きな地方都市となっています。
ペーチ大聖堂
ペーチは街歩きするには広いので、徒歩とバスを駆使して観光するのがベストです。バスは24時間乗り放題チケットもあるので、長居する人は、ペーチ駅についたタイミングでそちらを購入しましょう。おそらく4回ほど乗れば元を取れるかなと。
さて、ペーチの観光名所の代表格の大聖堂です。高さ70m、幅40mという巨大建築で、四隅に尖塔が建っています。
11世紀創建ですが、16世紀にオスマン帝国により破壊され、19世紀末にネオ・ロマネスク様式で再建されました。ファサードもかなり豪華な造りですね。
左に行けとのこと。
左手に回ると入口があります。
振り返り入口を背にすると、大きな像が並んでいます。イエス・キリストの12使徒の像です。
中へ入ります。入場料は1900フォリントで、撮影料が別途100フォリントでした(2022年6月時点)。多分今はもう少し高くなっていると思います。
中は圧倒的です。天井がかなり高いです。ちょうどミサの時間だったのかな?パイプオルガンの演奏が響き渡っていました。
素晴らしい空間ですね。
小さくて可愛らしいパイプオルガンが展示されていました。
クリプト(地下礼拝堂)へ行きます。
クリプトはオスマン帝国にも破壊されず、創建当時のものとのことです。
大聖堂は4つの尖塔がありますが、そのうち1つに登ることができます。ペーチの街並みが美しいですね。
他の尖塔も見えます。
かなり近くで鐘を見ることができました。
大聖堂近くでは、14世紀の礼拝堂の跡地を見ることができます。基壇のみですが。
ここらのカフェにて休憩。ハムのサンドイッチとカフェラテ。
中世大学跡
ペーチは国内初の大学ができた都市でもあります。それもあって、ペーチは今でも学生都市としても有名です。日本からペーチ大学へ留学している人もいますよね。
初めて大学ができたのは14世紀頃。今では中世大学跡として博物館になっています。大聖堂の裏側にあります。
ちなみにこの博物館は「初期キリスト教墓所」の入場チケットで入ることができました。共通チケットになっています。
入口です。
遺跡の博物館といった感じです。
イスラムの影響を残す建築物
場所を変えて、今度はセーチェーニ広場へ。町の中心地です。セーチェーニ広場って各都市にあるんじゃないかってくらい同じ名前のものがあります。
広場の一角には素敵な役所があります。
さらに、イスラム建築もあります。16世紀に建造されたハンガリー最大のオスマン帝国の建築です。
ガーズィ・カスィム・パシャ・モスクという名前ですが、現在はカトリックの教会として利用されています。ドームのてっぺんには十字架があります。ユニークですよね。
少し広場から南へ行くと、素敵なストリート。
ここを抜けて歩いていくと、ユダヤ教の会堂であるシナゴーグがありました。
さらにイスラム建築つながりだと、広場から離れますが、16世紀建造のヤコヴァーリ・ハッサーン・モスクがあります。
現在はモスクとしては使われておりません。建物の隙間に挟まり、少し窮屈そうに建っているモスクです。ミナレット付きですね。ハンガリーにはいくつかイスラム建築がありますが、ミナレットが残っているのはここだけだそうです。
周遊ミニバス
セーチェーニ広場から、ペーチの街を周遊できるミニバス?が出ていましたので、乗りました。歩かずに色々と行けるのでオススメです。
ビール片手に出発です。
ペーチはオスマン時代は要塞だったので、城塞跡も見ることができます。
途中、おばちゃんが至近距離で話しかけてきたけど、ハンガリー語なので、ちょっと何言ってるか分かんない(笑)。
色々巡ってジョルナイ博物館も行きました。通り過ぎただけですが。ペーチは世界的な陶磁器メーカー「ジョルナイ」の発祥地でもあるのです。ブダペストのマーシャーシュ聖堂の屋根を手掛けたことでも有名です。
他でもぺーチの至る所でジョルナイのタイルのデザインを見ることができました。
ジョルナイ創設者ジョルナイ・ヴィルモシュの像もありましたよ。
要塞跡
ペーチは、150年近くオスマン帝国に支配されていましたが、その間は要塞として機能していました。街の至る所でその名残を見ることができます。
こちらは要塞の見張り台の1つです。堅固な石造りです。
裏に回れば登れます。
要塞跡を見終わった後は、少し早めのディナーです。実はハンガリー名物のホアグラはまだ食べてなかったので、ペーチにて初体験です。
「King Matthias Restaurant」へ。
とても柔らかく、とにかく美味。日本で食べるより圧倒的に安く食べれます。2000円ほどだったかな。グヤーシュとビールとともに楽しい時間を過ごしました。
まとめ
ペーチのまとめです。
- ブダペストから日帰り可能だが、観光名所多いので1泊以上がおすすめ
- オスマン帝国時代の名残りを見ることができる
- 大聖堂が圧倒的
- 陶磁器好きな人はジョルナイ博物館へGO
- 世界遺産「初期キリスト教墓所」がある
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