2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」を構成する施設「シャーヒ・ズィンダ廟群」(Shah-i-Zinda Mausoleums)を訪れました。お墓が集まった施設、つまりネクロポリスです。サマルカンドブルーと呼ばれる青の世界が目の前に広がる光景は圧巻でした。この記事ではそれぞれの廟の見どころを紹介していきます。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」についての解説は以下。

シャーヒ・ズィンダ廟群とは?
シャーヒ・ズィンダ廟群はサマルカンドの中心部(レギスタン広場あたり)から少し離れたところにあります。
徒歩でも行けますが、バスやタクシーでのアクセスが現実的かなと思います。自分は宿から「Yandex Go」の配車タクシー利用しました。「Yandex Go」で検索してみると、中心部(レギスタン広場辺り)からだいたい20000〜25000スムくらいで行けますね。
また、路線バスだとシャーヒ・ズィンダ廟群の目の前のバス停に止まります。「Yandex Maps」で検索すると路線が一発で分かります。乗車料金は一律2000スム(2023年10月時点)なので格安です。
「Yandex Go」と「Yandex Maps」に関しては以下の記事から。

シャーヒ・ズィンダ廟群の外観です(近くの小高い丘から撮影)。敷地は縦長で、通路の左右に廟が建つという分かりやすい構造になってます。

シャーヒ・ズィンダ廟群の全体図です。入口から入って、奥まで行ってから同じ道を戻ってくるルートですね。

以下が主な霊廟です。敷地内にはこれら以外にもありますが、今回の旅で見学したものは以下となります(各廟のリンクをクリックすれば解説場所に飛びます)。
①入口の門 ②コシュ・グンバズ廟
③天国への階段
④トゥグル・テキン廟 ⑤アミール・ゾダ廟
⑥シリンベク・アカ廟 ⑦シャーディムルク・アカ廟
⑧八角形の廟
⑨ウスト・アリ・ネセフィ廟 ⑩無名の廟
⑪アミール・ブルンドゥク廟
⑫トゥマン・アカ廟 ⑬ホジャ・アフマド廟
⑭クトゥルグ・アカ廟
⑮クサム・イブン・アッバース廟複合体
シャーヒ・ズィンダ廟群は何世紀にも渡り造られてきており、現在20以上の建物があるネクロポリスです。大体14〜15世紀のティムール朝時代のもので、多くはティムールに縁がある人物の廟ですが、人物が分からない廟もあります。また、1番古い廟で11世紀のもの(クサム・イブン・アッバース廟)があります。
シャーヒ・ズィンダ廟群の「シャーヒ・ズィンダ」は「生ける王」を意味してます。この名前は、預言者ムハンマドのいとこであるクサム・イブン・アッバースが7世紀にイスラム教布教のためサマルカンドへ侵攻し、最終的に戦死するもその後永遠の命を手にしたという伝説に由来します。
シャーヒ・ズィンダ廟群のほとんどが美しい青のタイルで装飾されており、その素晴らしさから人気の観光地となっています。サマルカンドのイスラム建築は、「サマルカンドブルー」と呼ばれる美しい青いタイルで敷き詰められてることで有名ですが、シャーヒズィンダ廟群こそサマルカンドブルーの代名詞と言えます。
シャーヒズィンダ廟群はお昼前後からかなり混むので、朝イチ(7:00営業開始)から行くことをオススメします。自分は朝イチで行きましたが、観光客は数人程度だったのでじっくり観光できました。
シャーヒ・ズィンダ廟群の入場料金
シャーヒズィンダ廟群の入場料金は2023年10月時点で40000スム(470円くらい)でした。2025年現在も入場料金は据え置きのようです。ありがたいですね。クレカオーケーでしたが、この時は機械が壊れていたみたいでキャッシュで支払いました。そのせいか分からないですが、30000スムで入れてくれました。ラッキーでした。

ちなみに撮影料金も記載されていましたが、特に支払わなくてもスマホでの撮影はできました。
ちなみに、今回サマルカンドで訪問した施設でクレカが使えたのはレギスタン広場とシャーヒ・ズィンダ廟のみでした。意外と使えないんだなという印象です。
入口の門(①)/コシュ・グンバズ廟(②)
入口の門です。ティムール朝4代君主ウルグ・ベクにより1434~1435年にかけて建造されました。

天文学者でもあるウルグ・ベクらしく、上部のレリーフは天体がモチーフとなっているのかなと思いました。

門を抜けて少し進むと左側に15世紀に建造された「コシュ・グンバズ廟」が見えます。ティムールの乳母ウルジョイオイームの廟と言われています。

廟の背後から見ると、大小ドームが2つある独特な建築様式です。

大ドーム内の写真が撮影できてなかったのが残念ですが、以下は小ドーム内です。上を見上げると、あっと驚くデザインです。ムカルナス(イスラム建築の主に入口などに見られる蜂の巣のような装飾)で構築されたドームがインパクトあります。本当に巨大な蜂の巣みたいですね。四方の壁の窪みもムカルナス祭りでした。

天国への階段(③)から廟群内へ
「天国への階段」呼ばれる階段を上っていきます。行きと帰りが同じ段数であれば、天国に行けるという言い伝えがあるそうです。自分はすっかり数え忘れてしまいました。

この門をくぐればサマルカンドブルーの世界へ行けます。ワクワクしますね。

入った瞬間に別世界へトリップ!目の前に美しい青の景色が広がります。上ってきた階段が天国への階段と呼ばれるのも納得です。

道が狭いので、写真は撮りづらいです(笑)。パノラマで下から上へ撮影してもよかったかなと後で思いました。道の両脇に廟が並んでいるという構造です。

トゥグル・テキン廟(④)/アミール・ゾダ廟(⑤)
入ってすぐ右手にあるのが1376年建造の「トゥグル・テキン廟」です。ティムールの部下アミール・フセイン将軍の廟です。将軍の母の名前が付けられているとのことです。ファサード一面を覆う青の装飾が素晴らしいです。

入って左手、トゥグル・テキン廟の向かいにあるのは1386年建造の「アミール・ゾダ廟」です。ティムールの部下の将軍の息子を祀った廟です。サマルカンドにある他のイスラム建築よりも青みが強くて好きです。

どちらの廟も中に入れますが、内部は一面漆喰で塗られており、特にデザインは施されてませんでした。
シリンベク・アカ廟(⑥)/シャーディムルク・アカ廟(⑦)
右手側の2番目にあるのは14世紀末に建造された「シリンベク・アカ廟」です。ティムールの妹の廟です。入口アーチ上部の傘のようなリブが印象的です。

内部は美しいドームデザインでした。少しだけ黄色も散りばめられているのも良いですね。八角形から円のドームに移行しています。

壁にはイスラムらしくないフレスコ画がありました。後年付け加えられたのでしょうか?中国風な絵画です。イスラム建築ではとても珍しいです。

左手2番目、シリンベク・アカ廟の向かいにあるのは1372年建造の「シャーディムルク・アカ廟」です。ティムールの姪の廟です。シャーヒズィンダ廟群の中でも特に美しいとされています。入口アーチ部分のムカルナスが大きめで、1つ1つに細かいデザインが施されています。

この廟は特に浮彫が多めで非常に見応えがありました。お気に入りです。


廟内もため息がでるような美しさです。ドームはリブで8つに分割されており、隣同士が別のデザインとなっています。かなり凝っていますね。

ドームの真下から見上げると万華鏡のようです。吸い込まれそうです。

八角形の廟(⑧)
狭い通路を少し進むと開けた場所に出ます。

右手に見えてきたのは14世紀建造の「八角形の廟」です。誰の廟かは不明とのことです。

他の廟と違い、開かれています。地下に埋葬室があるとのことです。

ウスト・アリ・ネセフィ廟(⑨)/無名の廟(⑩)/アミール・ブルンドゥク廟(⑪)
シャーヒ・ズィンダ廟群の中間地点です。左手には「ウスト・アリ・ネセフィ廟」「無名の廟」「アミール・ブルンドゥク廟」が並んでいます。

一番左にあるのは14世紀後半建造の「ウスト・アリ・ネセフィ廟」です。この廟を建てた建築家の名前が付けられています。誰を祀っているのかは不明です。独特で優雅な幾何学模様です。

内部も素晴らしいです。ドームのデザインも凝ってますね。なんと言えばよいか分かりませんが、とても独特です(笑)。宇宙のようにも見えます。

2番目に見えるのは14世紀後半に建造された「無名の廟」です。パネルでは無名の廟その2と紹介されていました。

内部は特にデザインもなく、レンガが剝き出しとなっていました。他の廟もタイル装飾や漆喰を剝ぎ取ればこのようになるのかなと思います。

3番目は14世紀後半建造の「アミール・ブルンドゥク廟」です。装飾はアーチ部分のみで、未完成のようですね。ティムールの部下の将軍の廟です。内部は特にデザインはありませんでした。

トゥマン・アカ廟(⑫)/ホジャ・アフマド廟(⑬)/クトゥルグ・アカ廟(⑭)
アミール・ブルンドゥク廟近くのアーチ門(1404~1405年建造)を潜ると、シャーヒズィンダ廟群の最奥へ到着します。3つの廟がコの字で建っています。
左から「トゥマン・アカ廟」「ホジャ・アフマド廟」「クトゥルグ・アカ廟」です。

まずは左にあるのは15世紀初頭建造の「トゥマン・アカ廟」です。ティムールの妃の廟です。青々としたタイル装飾に目を見張ります。

内部も美しいです。ムカルナス多めで好みです。

正面にあるのが14世紀建造の「ホジャ・アフマド廟」です。廟群の中で2番目に古いとのことです。浮彫のタイル装飾が見事でした。

近くで見ると丁寧に造られているのがよく分かります。浮彫が使われていると、立体感が出て1ランク上の廟といった感じがします。ただこの廟の内部は特に目新しいものはありませんでした。

右手にあるのは1360~1361年にかけて建造された「クトゥルグ・アカ廟」です。「トゥマン・アカ廟」と同じくこちらもティムールの妻の廟です。アーチ上部の大きいムカルナスがインパクトあります。こちらも浮彫の装飾が結構使われていますね。

内部のドームは漆喰のみですが、周壁はムカルナスやタイルで美しい装飾が施されていました。

クサム・イブン・アッバース廟複合体(⑮)
最後に訪れたのはシャーヒ・ズィンダ廟群で最も古い「クサム・イブン・アッバース廟」です。廟は11世紀というかなり古い時代のものですが、廟周辺にはモスクなどが建てられており複合施設となっています。

美しい植物模様のタイルで敷き詰められた入口から入ります。

奥に行くとまず見かけたのはモスクでした。ロープが張ってあり中には入れませんでしたが、漆喰で覆われた部屋にタイル装飾のミフラーブ(礼拝するところ)が見えました。

さらに通路を進んでいくと、祈祷室に到着します。パネルの説明を訳すと祈祷室でしたが、モスクと呼んでも良いのかな?ドームは八角形で装飾が物凄い綺麗ですね。ティムールの姪のシャーディムルク・アカ廟と似ています。シャンデリアがあるのもこの廟のみです。


壁に施されたムカルナスも細かく見ると、1つ1つに浮彫の装飾がされておりお見事です。

祈祷室と併設されてるのが、シャーヒ・ズィンダ廟群の中で最も古いクサム・イブン・アッバース廟です。13世紀のモンゴル軍侵攻の時も無事だったらしいです。残念ながら扉があるため中を見ることができませんでした。

クサム・イブン・アッバース廟を見終わったお昼前頃には、廟内はかなりの観光客で溢れてる状況でした。ツアーにも必ず組み込まてますしね。じっくり見たい人は是非人の少ない午前中の訪問をオススメします。
またいつか訪問したいなと思える場所でした。
コメント