2023年4月のカンボジア旅行記です。
シェムリアップから東にある遺跡「ベンメリア」へ。
ほぼ発掘当時のまま森の中にひっそり眠る寺院遺跡です。人気があり、観光客も多く訪れます。アンコール・ワットと同時代の寺院で伽藍配置などとても似ています。
ベンメリアとは?
創設年 | 12世紀初頭 |
創設者 | スーリヤヴァルマン2世 |
宗教 | ヒンドゥー教 |
形態 | 平地式/展開式 |
建築材 | 砂岩 |
ベンメリアは、シェムリアップから東はへ約60kmに位置する寺院遺跡です。環濠に囲まれ、東西1100m、南北600mの巨大寺院遺跡です。
ベンメリアとは「花束の池」という意味です。3重の回廊や十字回廊などアンコール・ワットの伽藍配置に類似しているため、「東のアンコール・ワット」と呼ばれており、アンコール・ワットの試作として建造されたのではないかという説もあります。
ベンメリアは、12世紀初頭にスーリヤヴァルマン2世(在位1113〜1150年)により建造されたと言われています。スーリヤヴァルマン2世はアンコール朝全盛期の王で、アンコール・ワットを建造した名君でもあります。
カンボジア内戦が終わり、その後の地雷撤去作業が完了した2003年に正式に公開されました。ほぼ発見当時のままで、崩壊が酷く、瓦礫の山の状態です。現状修復もほぼされていません。ネットではジブリ映画「天空の城ラピュタ」のモデルとなったという話がチラホラありますが、遺跡の公開時期を考えるとそれは考えにくいですね。ジブリ側も公言してないので、ラピュタっぽいという話がどこからかラピュタのモデルという内容にすり変わってしまったのかもですね。
世界遺産の暫定リストに追加されている物件なので、何年か後には正式に世界遺産に登録されるかもしれません。
ベンメリアへの行き方
シェムリアップから60kmほどなので、トゥクトゥクでも行けますが、距離的にタクシーが無難かと思います。道も凸凹しており、トゥクトゥクだと身体が疲れるかと思います。
自分達はシェムリアップの日本人宿「blank」でガイドなしのツアーを予約しました。宿泊してませんでしたが、ツアー参加OKでした。プレアヴィヒア、コー・ケー、ベンメリアがセットになった日帰りのツアーで、料金は200ドル(入場料などは込まず)でした。車1台分の料金なので参加人数で割ることができました。今回参加者が全部で3人だったのでかなりお得でした。
他にもツアーはありますが、3遺跡で距離を考えるとこの値段はかなり安いかと思います。
ベンメリアの料金・営業時間
ベンメリアは以前は入場料が5ドル必要したが、近年他のアンコールの遺跡と同じように「アンコールパス」というチケットで入場できるようになりました。
有効期限内のアンコールパスがないと入れないので、注意が必要です。
チケット詳細とおすすめ観光ルートを以下の記事で紹介しています。
ベンメリアの営業時間は7:30〜17:30です。
ベンメリアの全体図
東西1100m、南北600mという敷地を持つ巨大寺院遺跡です。
基本的に南側に駐車場エリアがあるので、南の参道からアクセスすることになります。遺跡内は木でできた歩道が作られており、見学経路(図の赤線)はほぼ決まっています。
崩壊している回廊
南門です。開口部はほぼ崩壊してます。上の部分は少し残っていますね。
回廊は半壊しており、砂岩の瓦礫の山を至る所で見ることができます。
レリーフがある開口部分もありました。これは状態が良いですね。
こちらは西門です。崩壊した門に樹木が根付いています。
木の歩道で内部見学
内部へ行きます。南の回廊の一部に階段が設置されており、そこから中へ入ることができます。
木の歩道が作られており、それを通って遺跡を見学します。
内部もほぼ崩壊していました。
樹木が遺跡に絡んでいる様子もたくさん見ることができます。
ここは中央祠堂です。全壊してますね。かなりの量の砂岩です。大きな中央祠堂があったのではないかと思われます。
中央祠堂から少し南に行くと、南門の開口部分から参道が見えます。
とにかく崩壊してる寺院という印象です。人知れず森の中に放置されているようで、何か神秘的なものを感じます。人気の秘訣はそこにあるのかもですね。
残されたレリーフ
レリーフもいくつか確認できました。
サイに乗った火の神であるアグニ神とのことです。他の遺跡では見ない神様ですね。寺院内に入ってすぐの左手の建物の破風に描かれていました。
こちらは神々とアプサラスでしょうか。下の奥にあるまぐさには、3つの頭を持つ象アイラーヴァタ(エーラーワン)に乗るインドラ神がいますね。
「ラーマーヤナ」の1シーンです。真ん中にいるのはシータ姫です。ラーマ王子に救出されたシータ姫ですが、なんと身の貞操を疑われ、自らの身の潔白を証明するために炎の中に身を投じるという場面です。潔白は証明されて、めでたしめでたしになります。
こちらのまぐさにはカーラがいますね。だいぶ劣化しています。
まぐさが無造作に配置されています。ベンメリアにはこういうのが結構多いので、これから色んなレリーフが発掘されるかもしれません。
こちらも瓦礫の山に無造作に置かれているまぐさです。「乳海攪拌」のレリーフです。ベンメリアの見どころの1つですね。綱を引く様子が分かります。中央下には亀の王クールマ(ヴィシュヌ神の化身の1つ)もいます。
何かの足のみがありました。
ベンメリアでは参道などでナーガ像を結構見かけました。かなり綺麗です(ネットでお借りしました)。こちらは修復されているかもですね。
写真はありませんが、東門のナーガの欄干も破損がなく、綺麗に残っているようです。
謎の部屋
寺院内の北側に謎の部屋がありました。回廊の一部なのでしょうか。
窓が天井近くにあるので、ほとんど光が入ってこない部屋です。会議に使われていたなどの説がありますが、詳細は不明とのことです。崩壊した遺跡の中でここだけしっかり残っているのが不思議です。
まとめ
ベンメリアのまとめ
- シェムリアップから遠方のためトゥクトゥクよりもタクシー移動がよい
- アンコール・ワットと伽藍配置が似ている
- ほぼ崩壊しており瓦礫の山となっている
- 発見当時のままの遺跡を見ることができる
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