2024年4~5月のポルトガル旅行記です(料金は2025年11月調べのものを記載してます)。
世界遺産「エヴォラ歴史地区」を構成する施設エヴォラ大聖堂を観光しました。エヴォラ旧市街で最も標高が高い地点にあり、中世ポルトガルで最も大きい大聖堂と言われています。
この記事ではエヴォラ大聖堂の見どころや歴史などを解説していきます。また、合わせて大聖堂近くのローマ神殿(こちらもエヴォラの世界遺産)も紹介します。
世界遺産「エヴォラ歴史地区」全体の解説は以下より。

エヴォラ大聖堂の歴史
エヴォラ大聖堂の簡単な歴史を紹介します。
8世紀以降イスラム勢力が支配していたエヴォラは、1166年にレコンキスタ(イベリア半島からのイスラム勢力を排除しようとするキリスト教勢力の運動)にて、ポルトガル王国により解放されました。
その後1184年から1204年にかけて、聖母マリアに捧げる大聖堂として、エヴォラ大聖堂が建設されました。
創建当時はこじんまりとした大聖堂でしたが、1280年頃から1340年頃までかけて初期ゴシック様式で拡張され、その後時代ごとに何度も増改築されてきました。主なものには、14世紀のゴシック回廊や18世紀のバロック様式の主祭壇などがあります。

1986年に「エヴォラ歴史地区」の1資産として世界遺産に登録されました。
中世ポルトガルの最大の大聖堂として、エヴォラのシンボル的存在となっています。
場所・料金・営業時間
エヴォラ大聖堂は旧市街の中心エリアにあります。エヴォラ旧市街は徒歩で十分観光できる広さなので、様々な観光施設へのアクセスが容易です。
エヴォラ大聖堂の入場料金と営業時間は以下となります(2025年11月調べ)。詳細は公式サイトにて。
- 料金:4ユーロ/5ユーロ(併設の博物館にも行く場合)
- 営業時間:9:00~17:00
エヴォラ大聖堂の全体図
エヴォラ大聖堂の全体図です。典型的なラテン十字の聖堂で、大きい回廊が備わっています。十字の交差する部分には八角形の小さなドームがあります。塔の1つが青のタイル張りなのが特徴的です。また、今回自分は行きませんでしたが、回廊のすぐ隣に博物館が併設されています。

大聖堂内部
エヴォラ大聖堂の正面です。ゴシック様式とのことですが、ロマネスク様式の雰囲気もあります。初期ゴシックなので、ロマネスクのどっしりさも混ざっているのかなと。リスボン大聖堂と結構似ていますね。エヴォラ大聖堂は周囲に建物が多く、正面を引きで撮影するのがなかなか難しいです。

玄関です。尖塔アーチなので、これはまさにゴシック様式といった感じです。

扉の左右には、12使徒の大理石像が飾られています。かなり精巧に作られています。
エヴォラ大聖堂の内部です。シンプルで美しいです。とても統一感があります。天井はトンネルヴォールト(カマボコ形をした天井の構造)になっており、これもリスボン大聖堂と似ています。

すぐ目に入ってきたのは左上にある巨大なパイプオルガン。間近で見ると本当に大きいです。ポルトガル最古のパイプオルガンで(16世紀)で、現在も演奏に使われています。1584年に日本からの天正遣欧少年使節である伊東マンショと千々石ミゲルが実際に演奏したとのことです。

パイプオルガンを通り越すと今度は身廊を挟んだ両脇に、聖母マリア像と大天使ガブリエル像が向き合っています。

豪華絢爛な聖母マリア像(左)とガブリエル像(右)です。ガブリエル像はもう少し豪華でもよかったんじゃないかと思いました。アンバランスな感じがします。
こちらはアプス(後陣)です。18世紀に建造されたバロック様式の主礼拝堂です。大理石がたくさん使われています。天井が高く、光もたくさん入ってくるので、物凄く荘厳な雰囲気を感じました。そして美しいです。

交差地点にある八角形ドーム下です。こじんまりとしています。

主催壇から入口を振り返った図。やはり天井が良い感じだなと。

屋上テラス
続いて屋上テラスへ。大聖堂入口辺りから階段を上ってアクセスできます。「↑テラス/ギャラリー/聖歌隊席、←回廊」とう標識です。

まずは階段を上っていきます。

2階にはエヴォラ大聖堂の模型や宗教画などが展示されています。

そして2階の16世紀建造の聖歌隊席にもアクセスできます。中には入れませんでしたが、覗き込むと立派なマリア像を見ることができます。

屋上に到着です。大聖堂の屋根の上を歩けるなんて初めての経験です。天気も良くてとても気持ちが良いです。向こうに見えるのが八角形ドームです。

大聖堂の正面側にある2つの塔です。

こちらの塔は鐘楼です。円錐の屋根はマヌエル様式です。

かなり古い鐘も見ることができます。

こちらの塔も円錐屋根のマヌエル様式です。ポルトガルらしく、可愛らしいタイル張りです。この塔はエヴォラ大聖堂の特徴の1つですね。

八角形ドームです。大聖堂のラテン十字の交差点の部分です。反射もありあまりはっきり見えなかったですが、窓から大聖堂内部を覗けます。

大聖堂の屋根の上は結構歩ける範囲も広く、周囲の景色も楽しめます。晴れた日は本当に気持ちが良いです。

エヴォラ旧市街の街並みです。

回廊も見下ろすことができます。次は回廊へ向かいます。

回廊
続いては回廊へ。14世紀に建造されたゴシック様式の回廊です。典型的なゴシック回廊という印象です。

中庭から大聖堂を側を見れます。

回廊の2階部分に上がることもできます。ゴシック様式の回廊なので、アーチは全て尖塔型です。

こちらは回廊創設者の石棺のようです。大理石です。とても細やかに彫られており見事です。

回廊の四隅には、4人の福音書記者の像がそれぞれ置かれています。福音書記者とは、新約聖書に書かれた4つの福音書の著者マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人のことです。

ローマ神殿
エヴォラ大聖堂の観光の後は、すぐ近くにある「ローマ神殿」へ。こちらも世界遺産「エヴォラ歴史地区」を構成する1資産です。
1世紀頃に建造されたローマ帝国初代皇帝アウグストゥスを祀った神殿です。後年「ディアナ神殿」とも呼ばれるようになりました。ディアナはローマ神話の女神です。5世紀にゲルマン人により破壊され、中世では要塞としても利用されていました。

ローマ神殿の側には復元図も紹介されていました。

現在ではコリント式の柱が14本残るのみです。コリント式は古代ギリシャ建築様式の一つで、柱頭にアカンサスの葉や蔓をモチーフとした華麗な装飾が施されているのが特徴です。古代ギリシャの遺跡で嫌ってほど見るやつですね(笑)。


ローマ神殿の隣はディアナ庭園と呼ばれる、緑豊かな憩いの場となっています。

また、ローマ神殿向かいにある、内部が美しいアズレージョで有名な「ロイオス教会」は残念ながらこの日は休みでした。行きたかったです。

ちなみにローマ神殿は夜ライトアップされます。ちょっと怪しいですが…。訪問した時期(4月)は夜はかなり寒く、誰もいませんでした(笑)。

まとめ
エヴォラ大聖堂の観光・見どころのまとめです。
- 中世ポルトガルで最も大きい大聖堂
- パイプオルガンがかなり巨大
- タイル張りの塔が可愛らしい
- 最大の見どころは大聖堂の屋根上(テラス)を歩けること
- テラスからエヴォラの街を眺めることができる







