2022年6月のハンガリー旅行記です。
ブダペストから拠点をミシュコルツに移し、800年以上のワイン作りの歴史を持つトカイ地方へ行ってきました。
世界的に有名なハンガリーのトカイワイン。ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、フランスのボルドーのソーテルヌと並び、世界三大貴腐ワインの1つです。
今回訪れたのは、シャーロシュパタク(Sárospatak)から行ける、ヘルツェクート (Hercegkút)のワインセラーです。
世界遺産トカイとは?
登録名 | トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観 |
登録区分 | 文化遺産(文化的景観) |
登録基準 | (3)、(5) |
登録年 | 2002年 |
ハンガリーの北東部、スロヴァキアと国境を接するところに位置するトカイ地方は、歴史的なワイン産地で、28の町や村と広大なブドウ畑からなります。
たくさんの種類があるトカイワインの中でも、貴腐ワインである「Esszencia(エッセンシア)」と「Tokaji Aszu(トカイ・アスー)」は、歴史的にも高い評価を得ています。
2002年に「トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観」として世界文化遺産に登録されました。文化的景観とは、世界遺産の概念で、人間と自然の相互作用によって作られた景観のことです。ブドウ畑なんてまさにその概念に当てはまりますよね。
登録範囲は以下となります(ユネスコのサイトより引用)。左下の赤枠内と丸印あたりが世界遺産ですね。
トカイの歴史
トカイワインがいつから作られようになったかは不明とのことです。資料によれば、12世紀頃からブドウ畑が作られ始めました。
16世紀以降、トカイは一大ワイン産地となりました。この地域の歴代領主の大きな収入源になり、オーストリアハプスブルク家へ対抗するための資金となりました。
18世紀には、この地方の有力者で反ハプスブルク運動の中心人物であるラーコーツィ・フェレンツ2世が、大量のトカイワインをフランスのルイ14世に寄贈しました。ルイ14世が「王者のワインにしてワインの王者」と絶賛したのは有名な話です。ちなみにラーコーツィ・フェレンツ2世はハンガリーの英雄として受け入れられており、ブダペストの英雄広場をはじめ、至る所に像が作られています。
20世紀の社会主義体制下では、トカイワインの名声は一時的に下火になりましたが、民主化とともに莫大な投資が行われ、復活しました。
ミシュコルツ→シャーロシュパタク
世界遺産トカイはかなり範囲が広いので、どこへ行くかで変わってきますが、基本的にミシュコルツからの日帰りが可能かと思います。
今回ヘルツェクートにある「Götz Pincészet Gombos」(読めない、ゴンボスワインセラーか?)というワインセラーにどうしても行きたかったので、まずは鉄道を使い、ミシュコルツからシャーロシュパタクへ。観光のメインであるトカイ村からはかなり離れてる場所です。ミシュコルツの鉄道駅(Miskolc-Tiszai)から、1時間ほどで行けます。
ミシュコルツの駅です。ハンガリーは立派な駅が多いですね。
シャーロシュパタク→ヘルツェクート
シャーロシュパタク駅に到着。
次はバスを使って、シャーロシュパタクから少し外れたヘルツェクートという地域へ。
シャーロシュパタクの鉄道駅から出れば、すぐにバスターミナルがあります。ここから乗れます。「Hercegkút,posta」というバス停を目指します。
これに乗りました。運転手に行き先を伝えて、キャッシュ払いです。
本数がかなり少ないので注意が必要ですね。ちなみにシャーロシュパタク駅から歩いてワインセラーに行くこともできます(帰りは歩いた、1時間弱)。
バス停「Hercegkút,posta」に到着。
バス停には素敵な絵があります。ワインセラーなど観光名所のざっくりな地図みたいです。この絵に描かれてる左下の所が目指す場所ですね。
良い感じに田舎ですね。
ヘルツェクートでは多くの家がワイン製造していて、ワインセラーやブドウ畑がいくつかあります。今回目指すワインセラー「Götz Pincészet Gombos」は、バス停から徒歩15分ほどで行けます。
感動のワインセラー風景
無事「Götz Pincészet Gombos」に到着。手書き(おそらく)の世界遺産マークを発見しました。こんなのは初めてですね。公式なのでしょうか?
そして、見たかった景色が!
丘を利用して作られた、見渡す限りのワインの貯蔵庫。この風景がトカイ地方にあるのは知ってたのですが、日本語の情報がほとんど無くて…。頑張って調べてここまで来てよかったと心から思いました。見たかった景色が目の前にあることに感動です。
三角形でないものもあります。
貯蔵庫の扉には「2013」の文字があります。2013年製のワインということですかね。扉に描かれてるブドウの絵が可愛らしいです。
振り返っても素晴らしい風景です。ブドウ畑も見えますね。
もしまた来れるなら、ここで夕日を見てみたいです。
試飲もできるところもありましたが、次の行き先のトカイ村まで取っておきます。
シャーロシュパタク城へ
徒歩でシャーロシュパタク駅へ。バスの時間がかなり先だったので、1時間ほどの徒歩を選択しました。駅を越えて少し歩くと、シャーロシュパタク城があります。世界遺産マークがあったので、これもおそらく構成資産ですね。トカイの世界遺産範囲は広いな…。
小さい城ですね。500フォリントのお札にも描かれてます。13世紀には存在していた城とのことです。様々な歴代所有者がいましたが、中でもハンガリーの英雄ラーコーツィ・フェレンツ2世の居城として有名です。城と繋がっている建物は博物館になっています。中は写真NGでした。城の屋上へ行くには、ツアーに参加することが必要です。タイミング的にツアーの時間がかなり先だったので、あきらめました。
城壁も少し残っているようです。
城の周りも整備されています。
シャーロシュパタクを後にして、次はトカイ村へ。トカイワインを味わいます!
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