2024年4〜5月のポルトガル旅行記です(料金などは2025年9月時点のものを分かる範囲で記載してます)。
リスボン旧市街「アルファマ地区」にある、リスボン最古の教会「リスボン大聖堂」を訪問しました。18世紀のリスボン大地震でも全壊せずに残った由緒ある建物です。
この記事ではリスボン大聖堂の見どころを解説していきます。また、近くにあるサンタ・ルジア展望台も行きましたので合わせて紹介します。
リスボン大聖堂の歴史
「リスボン大聖堂」(Lisbon Cathedral)は、リスボン市内で最も古い教会です。まずリスボン大聖堂が建てられる以前の歴史を簡単に解説します。
現在のポルトガルとスペインがあるイベリア半島を支配していたゲルマン人国家「西ゴート王国」は、711年にイスラム王朝「ウマイヤ朝」により滅亡しました。それ以降、イベリア半島はイスラム勢力の支配下となりました。
11世紀頃からイスラム勢力を排除しようとするカトリックによる運動「レコンキスタ」が本格化しました。レコンキスタの最中、アフォンソ1世により1139年に「ポルトガル王国」(ブルゴーニュ朝)が建国されました。1147年にアフォンソ1世はイスラム支配下にあったリスボンを奪還し、モスクの跡地にリスボン大聖堂の建設をスタートさせました。
参考記事:ブルゴーニュ朝の歴史の解説はこちらから。

リスボン大聖堂は基本は後期のロマネスク建築ですが、増築が繰り返されており、現在では様々な建築様式が混合しています。
外観は建設当時の状態で残っており、ゴツゴツ、ずっしりした印象で、壁が厚く窓も少ないといういかにもロマネスク様式の聖堂です。真ん中に見えるバラ窓は建設当時からあったようです。

リスボン大聖堂は、13世紀後半のデニス1世の時代に聖堂の東側にゴシック様式の回廊が増築され、14世紀のアフォンソ4世の時代に主祭壇がゴシック様式に改築、さらに主祭壇の裏側にある円形の回廊(ゴシック様式)も増築されました。
1755年のリスボン大地震で主祭壇や回廊が崩壊しましたが、建物自体は全壊しませんでした。その後大がかりな修復をされ、20世紀初頭に現在の形となりました。
行き方・料金
リスボン大聖堂は、リスボンでも古いエリア「アルファマ地区」にあります。アルファマ地区は古い街並みが残っており、街歩きなどの観光が楽しめるエリアです。リスボン大聖堂への行き方ですが、バス(10B/737)かトラム(12E/28E)を使って「Sé」停留所で降りたら目の前にあります(Séは大聖堂という意味)。Google Mapで路線検索できます。
入場料金は2024年4月時点では5ユーロでしたが、2025年では7ユーロになっています(2025年9月調べ)。詳細は公式サイトにて。
旅行・レジャー予約サイトのKLOOKでもリスボン大聖堂のチケットを購入できます。日本語で予約できるので安心です。→KLOOKで予約!
また、リスボアカードがあれば20%オフになるようです(2025年9月調べ)。リスボアカードの詳しい解説はこちらから。

営業時間は9時30分~19時00分(時期によっては18時まで)で、日曜祝日はお休みのようです。リスボンは定休日がある施設が多いので、観光の際は前もってチェックが必要です。
図面
リスボン大聖堂の全体の図面です。エントランスが西側です。聖堂の東部分(下図だと右側)に斜め向きに回廊が増築されています。平面図だと変わった形をしているのがよく分かります。主な見どころは、円形の回廊(F)と東部分の回廊(G)かなと。残念ながら東部分の回廊は訪問時は工事中で入れませんでした(というかそもそも普段行けるところなのか不明)。あと上階にも行けるのですが、バラ窓を近くで見たり、聖堂内部を上から見下ろせます。ここもリスボン大聖堂ならではの見どころかなと思います。観光の所要時間は大体1時間くらいかなと思います。

1.宝物庫(上階)
2.聖ヴィンセント礼拝堂
3.聖セバスチャン礼拝堂
4.聖母マリアの御宿りの礼拝堂
5.聖コスマスと聖ダミアン礼拝堂
6.聖イルデフォンソ礼拝堂
7.聖マリア・マイオール礼拝堂
8.聖アンナ礼拝堂
9.ペーニャ・デ・フランサの聖母礼拝堂
10.エスピリト・サント礼拝堂
11.サンティッシモ・サクラメント礼拝堂
12.総主教の更衣室
13.バルトロメウ・ジョアネス礼拝堂
14.洗礼堂
ちなみにGoogle Eerthで上から見るとこんな感じです。

ロマネスク様式の外観と身廊
リスボン大聖堂の外観です。ロマネスク様式のゴツゴツした見た目です。コインブラの旧大聖堂とも似ています。建設当時はまだレコンキスタ中のため、要塞としても機能していたようで、向かって左側の壁には銃眼(射撃するための小さな窓)が3つほどあります。レコンキスタ時代の痕跡が残る数少ない建物です。

入口の半円アーチです。レリーフも少なくシンプルでかっこよいですね。ちなみに半円アーチを多用するのは、ロマネスク様式の特徴の1つでもあります。

内部へ入りました。良い感じです。入口付近から身廊の奥にある主祭壇までを1枚の写真に収めるのが好きです。窓が少なく基本的に内部は暗めですが、奥の主祭壇はパッと明るい雰囲気ですね。

身廊の左右に側廊がある3廊式の教会です。天井はシンプルです。ゴシック様式みたいに複雑なリブではなく、半円アーチで支えられたカマボコ型です(トンネルヴォールト)。ロマネスクって感じがします。

主祭壇です。主催壇があるエリアはアプスと呼ばれます。左右にあるパイプオルガンがイカついです。ゴシック様式の主祭壇はリスボン大地震で崩壊したため、18世紀にバロック様式で再建されているとのことです。

見上げると八角形ドームがあります。

主祭壇辺りから振り返ると、入口上部にバラ窓の美しいステンドグラスが見えます。後で近くまで行きます。

聖堂内部にある礼拝堂などをいくつか紹介していきます。こちらは図面の12.総主教の更衣室です。ガラスの扉があり、中には入れません。

10.エスピリト・サント礼拝堂です。中に入れません。

隙間から写真撮りました。遠くからでも礼拝堂のギラギラした感じが伝わってきます。

こちらは入口付近の14.洗礼堂です。大聖堂内でアズレージョが施されているのはここだけかなと思います。

すぐ近くの13.バルトロメウ・ジョアネス礼拝堂です。14世紀初頭の豪商バルトロメウ・ジョアネス自身により造られました。彼の石棺も安置されています。

円形のゴシック回廊と礼拝堂
続いてリスボン大聖堂の見どころの1つ「円形の回廊」です。主祭壇があるアプスの左右どちらからでも入れます。右側から入りました。先ほどとは雰囲気がガラリと変わりましたね。14世紀にアフォンソ4世によって増築されたゴシック様式の回廊です。天井のリブが複雑化し、尖塔アーチが多用されています。まさにゴシック様式といった感じかなと。

円形の回廊には礼拝堂がいくつも放射線状に並んでいます。いくつか紹介していきます。図面の3.聖セバスチャン礼拝堂と4.聖母マリアの御宿りの礼拝堂です。シンプルな石造りです。ギラギラしてなくて好きです。


5.聖コスマスと聖ダミアン礼拝堂です。ここには2つ石棺が安置されています。

左側はアフォンソ4世に仕えた貴族ロポ・フェルナンデス・パチェコです。剣を手に持ち、お犬さんに守られています。この時代はまだマヌエル様式が確立されていないので、装飾もシンプルですね。

右側の石棺は妻のマリア・デ・ビラロボスです。時祷書(礼拝や祈りの手引書)を読んでいます。石棺の側面のイヌ?のレリーフも可愛らしいです。

7.聖マリア・マイオール礼拝堂です。ステンドグラスが美しいです。

8.聖アンナ礼拝堂。こちらもステンドグラスが綺麗です。石棺も1つありました。

こちらも時祷書を読んでいる女性ですが、身元不明とのことです。

美しいバラ窓
次は上階へ行きます。宝物館がありましたが、写真が手元に全く残っていないのでおそらく撮影NGだったのかもです。

上階からはテラスへ出ることができます(バラ窓の下あたり)。そこまで高い位置ではないですが、リスボンの街を見渡すことができます。

そしてバラ窓です。こんなに近くで見れると思いませんでした。凄い存在感です。

内部からはバラ窓のステンドグラスを間近で見ることができます。イエス・キリストと12使徒です。

さらに聖堂内部を見下ろすことができます。なかなか味わえない構図です。半円アーチがずらりと並んでいます。とても整然としていて上品さがあります。

サンタ・ルジア展望台
リスボン大聖堂から歩いて10分ほどの所に「サンタ・ルジア展望台」(Miradouro de Santa Luzia)という展望台の人気スポットがあります。バス(10B)かトラム(12Eか28E)で行く場合は「Miradouro Sta. Luzia」停留所を降りてすぐです。
アズレージョのベンチがある藤棚です。これは癒されます。人気スポットって感じがします。訪れた時は人は少なかったでしたが、あっという間に賑やかになりました。

アズレージョも可愛らしいです。

リスボンの街並みとテージョ川を眺めることができるスポットです。リスボンは丘が多くて歩くのが大変ですが、見晴らしが良いスポットはたくさんあります。



周囲には本格的なアズレージョがいくつもありました。これは1147年にイスラム勢力からリスボンを奪還した戦いの様子です。

こちらはテージョ川から見たリスボンかな?

まとめ
リスボン大聖堂の観光・見どころのまとめです。
- 12世紀から残っている建築的に貴重な大聖堂
- ロマネスク様式の外観と聖堂内とゴシック様式の円形回廊の対比が面白い
- バラ窓がかなり近くで見れる、ステンドグラスも迫力ある
- 近くにある人気スポット「サンタ・ルジア展望台」はとても素敵なので、ついでに行くのがおすすめ