ウズベキスタン

【世界遺産】「グーリ・アミール廟」大帝国の創始者ティムール一族が眠る金色の霊廟

グーリ・アミール廟ウズベキスタン

2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。

世界遺産「サマルカンド-文化交差路」を構成する施設「グーリ・アミール廟」(Guri Ami Mausoleum)を訪れました。ティムールの一族を祀る廟で、後のイスラム建築にも大きな影響を与えた歴史的に重要な建物です。

合わせて近郊の「アクサライ廟」(Aksaray mausoleum)も紹介します。

世界遺産「サマルカンド-文化交差路」についての解説は以下。

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グーリ・アミール廟とは?

「グーリ・アミール廟」はサマルカンド中心から西に位置しています。レギスタン広場から徒歩で15分程度です。バスでも行けますが、グーリ・アミール廟の近くにバス停はないようです。

2本のミナレットとターコイズブルーのドームが目立つので、近くまで行けば場所はすぐ分かります。最初間違って裏から入ってしまい、注意されてしまいました。改めて正面へ移動です。

グーリ・アミール廟

敷地の構造はシンプルです。入口の門から入ると中庭(前庭?)があり、正面に廟、左右にはマドラサ(イスラムの神学校)とハーンカー(イスラムの修行場)の跡があります。マドラサとハーンカーは建物自体は無く、基礎部分のみ残っていました。

グーリ・アミール廟

グーリ・アミール廟の「グーリ・アミール」はペルシャ語で「王の墓」を意味します。ティムール朝の建国者ティムールとその家族を祀る廟です。「グル・アミール廟」「グリ・アミール廟」とも表記されます。

グーリ・アミール廟敷地内の初期の建築は、14世紀末にティムールの孫のムハンマド・スルタンにより建てられました。基礎部分のみ残るマドラサ跡やハーンカー跡がこれに該当します。

1403年にムハンド・スルタンが戦死すると、ティムールは彼のためにグーリ・アミール廟の建築をスタートさせ、1404年に完成しました。

翌年の1405年、中国(当時は明)への遠征中にティムールは病死してしまいました。ティムールは彼の出身地であるシャフリサブスの廟への埋葬を希望していましたが、当時シャフリサブスへの道が雪で閉ざされていたため、ティムールの孫ウルグ・ベク(ティムール朝4代目君主)によりグーリ・アミール廟に埋葬されました。その後ウルグ・ベクの治世下で、グーリ・アミール廟はティムール一族の霊廟となりました。ウルグ・ベク本人も埋葬されています。

グーリ・アミール廟は、インドのムガル帝国の廟建築の先駆けとなり、後年造られたタージ・マハルやフマユーン廟に大きな影響を与えました。

1941年ソ連時代に墓が開かれ、ティムールの頭蓋骨から顔の特徴が復元され、また身長が172cmで足を引きずって歩いていたことも確認されました。

ティムール
グーリアミール廟近くにあるティムール座像。右足が悪く、庇うように座っているように見える?

グーリ・アミール廟の入場料金

グーリアミール廟の入場料金は、2023年10月時点で30000スム(350円くらい)でした。2025年現在、調べたところ入場料金は40000スム(460円くらい)になっているようです。情報がかなり少なかったので間違っていたらすみません。

グーリ・アミール廟

撮影料金の記載もありますが、支払わずともスマホでの撮影は可能でした。

キャッシュのみでクレカは使えませんでした。今回サマルカンドで訪問した場所でクレカが使えたのはレギスタン広場とシャーヒ・ズィンダ廟のみでした。意外と使えないんだなという印象です。

入口の門から中庭へ

レンガと青のタイル装飾のコントラストが美しい門から敷地内へ入っていきます。アーチのムカルナス(イスラム建築の蜂の巣のような装飾)の1つ1つに施された細かな幾何学模様が美しいです。

グーリ・アミール廟

中に入ると、整然とした中庭があります。目の前には2つのミナレットと青のドームを持つグーリアミール廟があります。朝9時過ぎ頃ですが、団体の観光客が多かったです。

グーリ・アミール廟

グーリアミール廟の背後から撮影した写真です。ウズベキスタンのイスラム建築でよく見るドームの形です。高さ37mを誇る青のドームはリブでいくつにも分かれていて、それぞれ細かなタイル装飾が施されています。ドームの下部分にあるカリグラフィー(アラビア文字の装飾)が力強いですね。内部や外部から見てもあまり分かりませんが、2重のドームになっています。

グーリ・アミール廟

ミナレットは建物と一体化していました。螺旋模様のタイル装飾が美しいです。頂上にはムカルナスがありました。

グーリ・アミール廟

グーリアミール廟は中央からは入れません。ティムールらが眠るメインの廟へ行くには左の入口から入ります。

グーリ・アミール廟

ちなみに右側の入口から入ると、こちらも簡素ではありますが、廟となっていました。内部には8つほど大理石の棺が置かれていました。パネルの説明を見て調べても分からない人物ばかりでしたが、中にはウルグ・ベクの娘さんも祀られているようです。

グーリ・アミール廟
グーリ・アミール廟

ティムール一族が眠る黄金の廟内

それでは左側の入口からグーリアミール廟内へ入ります。花をモチーフとした綺麗なタイル装飾の門です。

グーリ・アミール廟

中にはグーリアミール廟全体の模型がありました。今は現存していないマドラサやハーンカーもあります。ミナレットも全部で4本あったんですね。当時の建物のイメージが沸きます。

グーリ・アミール廟

中心部へ到着しました。部屋中に4kgもの金が使われており、豪華絢爛です。中央にはティムール一族の大理石の棺が設置されていました。これらの棺の中にティムールらの亡骸があるわけではなく、行くことはできませんが廟の地下に遺体が眠っています。

グーリ・アミール廟

真ん中にある黒い石棺がティムールです。その周辺には、息子のミーラーン・シャー、最愛の孫ムハンマド・スルタン、2代目君主で息子であるシャー・ルフ、4代目君主で孫であるウルグ・ベク、一族ではないですがティムールの精神的指導者であるミール・サイード・バラカの石棺が安置されています。他の小さな石棺も合わせると全部で9つありました。

グールアミール廟のドーム下です。目を見張るような金色の世界です。まさに王者の廟という雰囲気です。

グーリ・アミール廟

四角形平面からスキンチ(四角形平面を円形に近づけるために四隅に置かれた部材)を使って最終的に十二角形へ移行し、そこにドームが造られています。スキンチはドーム建築で頻繁に見られるので、装飾だけでなく、そこに着目してみるのも楽しいと思います。また、スキンチ自体に美しい装飾がされていることも多いです。

グーリ・アミール廟

グーリアミール廟の正面側です。外から入れませんでしたが、本来はここが玄関なのでしょうか?

グーリ・アミール廟

アーチ部分のムカルナスです。下から見ると三角形や四角形、星の形など様々な型で構築されているのがよく分かります。

グーリ・アミール廟

壁面は美しい幾何学模様やカリグラフィーのオンパレードです。1つ1つ丁寧に見ていくと時間がいくらあっても足りないです。

グーリ・アミール廟
グーリ・アミール廟

夜のグーリ・アミール廟

夜のグーリアミール廟はライトアップされるので、また別の美しさを楽しむことができます。

入口の門です。警備の人がいます。施設内には入れるかは分かりませんが、外側から見るだけで十分堪能できました。

グーリ・アミール廟

美しいですね。廟というよりお城とか宮殿という雰囲気です。

グーリ・アミール廟

拡大したので画質は悪いですが、ドームを分割してるリブそれぞれに施された幾何学模様が綺麗です。昼間よりも夜の方がドームの美しさが際立って見えます。夜の訪問はかなりオススメですね。夜のレギスタン広場よりも訪問者も少なく、静かな空間を味わえます。

グーリ・アミール廟

夜は人通りは少ないですが、特に治安の悪さは感じませんでした。もちろん100%安全とは言えませんが、ウズベキスタンの治安は中央アジアの中でもかなり良いとされています。ありがたいですね。

近郊にある「アクサライ廟」

グーリアミール廟のすぐ近くには、同じく世界遺産を構成する施設である「アクサライ廟」があります。アクサライ廟は、グーリアミール廟から30mくらい地点です。

アクサライ廟の「アクサライ」は「白い宮殿」という意味です。同名の宮殿がティムールの出身地シャフリサブスにあります。

アクサライ廟は詳細不明な部分が多いですが、15世紀に建造され、7代君主アブー・サイードの子孫を祀る廟と言われています。1924~1925年にほぼ原型に近い形にまで修復されました。

アクサライ廟は装飾がなく、レンガ造りの質素な外観です。入場料は格安!10000スム(115円くらい)でした(2023年10月時点)。2025年時点の入場料は分かりません。

アクサライ廟

質素な外観とは裏腹に、内部はグーリアミール廟に負けないほど豪華でした。

アクサライ廟

これが10000スムで見られるのは本当ラッキーです。さらにほとんどの観光客はグーリアミール廟を見て終わりなので、ここはめちゃ静かです。自分が訪問した時は他に誰もいませんでした。

アクサライ廟

ドーム下は万華鏡の世界です。天体のようにも見えてきます。

アクサライ廟

天井だけでなく、周囲の壁も金がたくさん使われています。全体としてギラギラしているというは印象はなく、上品な雰囲気があると思いました。

アクサライ廟
アクサライ廟

アクサライ廟は穴場でオススメです。グーリアミール廟を訪れた際は是非行って欲しい場所ですね。

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