2022年6月のハンガリー旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
ハンガリーの南東の街ペーチ(ペーチュ)。そこにある世界遺産「ペーチの初期キリスト教墓所」を訪問しました。いわゆるカタコンベ(地下墓所)です。
年代的には4世紀頃の古代ローマ時代に遡り、歴史的意義も非常に高い世界遺産です。今も埋葬室に残る美しい壁画は必見です。
この記事では「ペーチの初期キリスト教墓地」はどのような世界遺産か、歴史なども踏まえて解説します。
ペーチ散策の記事はこちら。

世界遺産「ペーチの初期キリスト教墓所」とは?
初期キリスト教の墓地は、「ペーチの初期キリスト教墓所」として2000年に世界遺産として登録されました。
墓所があるペーチは古代ではソピアナエと呼ばれる都市で、ローマ帝国の属州パンノニアの1都市でした。4世紀頃から墓所が建造されはじめ、多くのキリスト教徒が埋葬されました。
これらの墓地遺跡は18世紀以降発見されました。美しい壁画も残っており、歴史的意義が非常に高い世界遺産です。

地下礼拝堂や埋葬室といった遺跡群が、初期キリスト教の歴史、芸術、文化を知る上で非常に重要な価値を持っていると評価されたことが理由で世界遺産に登録されました。
登録名 | ペーチ(ソピアナエ)の初期キリスト教墓所 (Early Christian Necropolis of Pécs (Sopianae)) |
国 | ハンガリー |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3)、(4) |
登録年 | 2000年 |
全部で18の埋葬室や礼拝堂などが構成資産として登録されています。ペーチの街中に分かりやすい地図がありました。



ビジターセンターがある①The Cella Septichora(七角形の礼拝堂)から入って、⑧までの埋葬室や礼拝堂跡を見学できます。⑨~⑫も初期キリスト教関連の埋葬室や礼拝堂跡です。⑬~⑱は非公開とのことです。
初期キリスト教墓地の歴史
ペーチ(ソピアナエ)は、ローマ帝国の属州パンノニアの都市として、4世紀頃大いに繁栄していました。
当時すでにキリスト教は成立していましたが、非合法の宗教として迫害されていました(ローマは多神教なので)。
古代のキリスト教徒らは自らの信仰を守るため、4世紀頃ペーチの北側に地下墓所(カタコンベ)を作り、ここで祈りを捧げるなどして信仰を守りました(ローマの支配地域にカタコンベはたくさんあります)。
キリスト教が公認され、ローマ帝国の国教となった以降も、8世紀まで多くのキリスト教徒たちが葬られたと言われています。
ペーチへのアクセス
ペーチ(Pécs)はブダペストの南東にある街です。ブダペストから鉄道を使ってアクセスできます。
自分らはミシュコルツにいたので、そこからブダペストへ戻り、乗り換えてペーチへ向かいました。ちなみにブダペストから日帰り可能かなと思います。
前もってブダペスト東駅(Budapest-Keleti)→ペーチ駅(Pécs)の乗車券を購入していたのですが、ミシュコルツからブダペストへの鉄道の到着時間が30分ほど遅れ、次の電車への乗り換えに失敗しました。

そしてなんと払い戻しができず!どうやら30分程度の遅れで乗り換え失敗した場合は、払い戻しを受け付けてくれないようです。仕方なく、ブダペスト→ペーチの乗車券を再度購入しました。乗り換えの鉄道チケットはかなり余裕のある時間で購入した方がよいですね。ハンガリーの鉄道に何回か乗りましたが、結構遅れての到着がありましたので。
計画より大幅に遅れてペーチへ到着です。

駅構内にはグランドピアノがあり。子供が遊んでました。

立派な駅ですな。

ペーチ駅にて、24時間乗り放題のバスチケットも買えます。翌日の6/24の朝に買いました。1100フォリントでした(2022年6月時点)。写真は、2022年の6月24日の9:25に買ったよという意味です。

初期キリスト教墓地を巡る
改めて世界遺産の初期キリスト教墓地のマップです。各地に点在してますが、マップを見る限り全て徒歩圏内ですね。


まず訪れたのは①The Cella Septichora(七角形の礼拝堂)ですが、なんとタイミングが悪く工事中でした。ビジターセンターもやってませんでした…。なので①~⑧は観れませんでした。残念すぎます(2025年現在は工事は終わっているみたいです)。


次に向かったのは、マップの⑨The Early Christian Mausoleum(初期キリスト教徒の霊廟)です。外に見えるものはおそらく礼拝堂の基壇かと思われます。柵などもなく保存されていないみたいなので、モニュメント的に最近造ったものかもしれません。向こうに見えるのはペーチ大聖堂です。2022年の訪問時はここにビジターセンターがありました。

ビジターセンターは壁の角の世界遺産マークがあるという、凝ったデザインです。2025年現在は工事は終わっているので、ビジターセンターは①The Cella Septichoraに移動しています。


ビジターセンター内部から⑨The Early Christian Mausoleum(初期キリスト教徒の霊廟)へ行くことができます。入場料は1500フォリントでした(2022年6月時点)。世界遺産ではないですが中世のペーチの大学の遺跡にも入れるチケットでした。2025年現在は、初期キリスト教徒墓所を巡るチケットは3600フォリント、中世ペーチ大学跡のチケットは1600フォリント、どちらも行けるチケットは4200フォリントです。詳細は公式サイトにて。
ビジターセンター内にあった模型です。外にあった礼拝堂の基壇の地下に墓所があるのが分かりますね。

中に進んでいきます。

きましたね!古代のキリスト教墓所!

フレスコ画も残っていて、かなり状態が良いのではないでしょうか?これが今から1700年前のものと考えると興奮しますね。
アダムとイブのフレスコ画です。

大きな石棺です。レリーフもかなり綺麗に残っていますね。

⑨The Early Christian Mausoleum(初期キリスト教徒の霊廟)を後にして、残りの⑩~⑫を目指しましたが、地図を見ながら行こうとしてもどうしてもたどり着けず。世界遺産のマークはあるのに。

⑩The Early Christian Burial Chapel(初期キリスト教徒の墓地礼拝堂)ですが、住宅の中庭にあるような気がしますね。どうしても見たかったので、思い切って呼び鈴を鳴らしました(笑)。しかし誰も出てこず。
⑪と⑫に関しても、人に聞いても誰もわからず。世界遺産なのになぜだ!と思いながら、ビジターセンターに戻り、係の人に聞いてみたら(しつこい)、現在は⑨The Early Christian Mausoleum(初期キリスト教徒の霊廟 )しか観光できないらしい…。
少し腑に落ちませんが、工事完了後にはペーチを再訪しなきゃなと思いました。