2023年10月のウズベキスタン旅行記です(料金などは2025年時点のものを分かる範囲で記載してます)。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」を構成する建築物「ビビハニム・モスク」(Bibi Khanym Mosque)を訪問しました。未完成の巨大建築です。圧巻です。
世界遺産「サマルカンド-文化交差路」についての解説は以下。

ビビハニム・モスクとは?
ビビハニム・モスクは、中心部にある「レギスタン広場」から徒歩で10分ほどの場所にあります。
レギスタン広場の脇にある遊歩道(Tashkent road)を歩けば辿り着けます。

この遊歩道では10人乗り程度のミニシャトルバスが走っているので、これに乗ればすぐです。乗車料金は3000スム(35円くらい)でした(2023年10月時点)。


ビビハニム・モスクの外観です。大きな門が2つ見えます。左側が入口の門(35m)、右側が大モスクの門(40m)です。遠くから撮影した写真ですが、かなりの大きさです。その巨大っぷりは街の至る所から見ることができます。イスラム世界でも最大級のモスクです。

ビビハニム・モスクは以下のような構成となってます。

大きな門から入ると中庭があり、3つのモスクがコの字で建っています。1つの空間に複数のモスクがあるのも珍しいですね。中庭中央には歴史的に貴重なコーランの書見台が展示されています。
ビビハニム・モスクはティムール朝の創始者ティムールにより、1398年に建築スタートしました。「ビビハニム」はティムールの妻の名前に由来します。彼がインド遠征で持ち帰った480本の柱を利用して1404年に完成しました。サマルカンドの男性全員が金曜の合同礼拝をできるように1つの場所に3つのモスクが建てられました。
しかし完成したビビハニムモスクの大きさをティムールはお気に召さなかったようで、さらに高くするよう立て直しを命令しました。ティムールの死後も何度も再建が行われましたが、当時の技術からすると急速な造成を行っており、何度も崩れ落ちては補強工事をするという状況でした。
その後ビビハニムモスクは手つかずになり、サマルカンドではレギスタン広場のティラカリ・マドラサ内のモスクが金曜モスクとして利用されました。ビビハニムモスクは何世紀にも渡り未完成状態で放棄され、廃墟と化していきました。
1897年に起きた大地震によりさらに崩壊が進みましたが、1974年のソ連時代にようやく大部分が修復され今に至ります。

ビビハニム・モスクの入場料金
ビビハニム・モスクの入場料金は、2023年10月時点で30000スムでした(350円くらい)。2025年現在では40000スムになっているようです。キャッシュのみ対応でした。ちなみに入場料の下に記載がある撮影料は払わなくても、スマホでの撮影は問題ありませんでした。

ちなみに、今回サマルカンドで訪問した施設でクレカが使えたのはレギスタン広場とシャーヒ・ズィンダ廟のみでした。意外と使えないんだなという印象です。
巨大な入口
ビビハニム・モスクの入口の門です。巨大なアーチと左右の未完成ミナレットで構成されています。高さは35mの巨大門です。上部のタイルが剥がれ落ちており、すでに廃墟感が出ています。

ビビハニム・モスクの側面です。敷地は低い外壁で囲まれています。

外壁にもミナレットが建っていました。レギスタン広場のものと似ています。幾何学模様が美しいです。

入口の巨大アーチの幅が尋常なくらい広いです。

近くで見ると、細かいタイル装飾がよく分かります。

中庭から振り返って見た門です。こちらは装飾あまりなく、積まれたレンガが良く見えます。レンガ積みでこんなに大きな門が造れるのも凄いですね。

3つのモスク
ビビハニム・モスクには3つのモスクがあります。順番に紹介していきます。
入口から入って、右手に位置している小モスクです。

中は廃墟感がありました。ドームはシンプルです。四角形の平面からスキンチ(四角形平面を円形に近づけるために四隅に置かれた部材)を用いて徐々に円形に移行していって、そこに円形ドームが造られているという構造です。ウズベキスタンの多くのイスラム建築がこのようなドームの造り方になっています。ドーム周辺にわずかに残るカリグラフィー(アラビア文字の装飾)が印象的です。

続いて、門を入って左手にある小モスクです。先ほどの小モスクと対をなしており、外観もほぼ同じかなと。

こちらの内部は非常に綺麗でした。修復がしっかりされているのかなと思います。もっと廃墟感があった方が好きですね。

最後に大モスクです。大きな門があり、高さ40mです。左右のミナレットは未完成状態です。

ところどころ剥げ落ちていますが、全体的に綺麗なタイル装飾がしっかり残っています。というかしっかり修復したのかな?

ビビハニム・モスクの入口の門よりも装飾が豊かですね。星や花などがモチーフとなっているようです。

大モスクの横に移動すれば、ドームを見ることができます。ターコイズブルーの綺麗なドームです。

大モスクの内部は入ることができませんが、隙間から覗くことができました。廃墟でした。これから修復されていくのかもしれません。あまり綺麗になり過ぎないで欲しいなと思います。

コーラン書見台
中庭の中央には大理石で作られた豪華な台座があります。ティムールがイラクへ侵攻した際に持ち帰った、「オスマン・クラーン」という世界最古のコーラン(イスラム教の聖典)を置くための台です。元々モスクの中に置かれてましたが、現在は中庭に展示されています。コーラン台の周りを3周すると願いが叶うらしく、何人も回っている人を見かけました。

この台はティムール朝4代目君主のウルグ・ベクが寄進したとのことです。ちなみにオスマン・クラーンはタシュケントのハズラティ・イマーム広場のコーラン博物館に保管されています。

横から見ると、細やかなレリーフが彫られています。イスラムのこういった装飾技術はホント素晴らしいですね。

ビビハニム廟とショブバザール
ビビハニム・モスクのすぐ近くには、ティムールの妻のビビハニムのお墓「ビビハニム廟」と何百年に渡る歴史を持つ「シヨブバザール」があります。

ビビハニム廟はビビハニム・モスクに比べかなり小さいです。レンガ造りの門とターコイズブルーのドームで構成されています。有料で中に入れます。今回中には入りませんでしたが、行っておけばよかったなと思います。

シヨブバザールです。ビビハニムモスクが建造された時代よりも前から残る歴史あるバザールです。

訪問したのが夕方遅めだったので、人は少なかったです。昼間はかなり賑やからしいでので、ビビハニム・モスクに行った際は是非訪れたい場所です。


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